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中村壱太郎・尾上右近・中村隼人、
花形たちの思いあふれる春の南座

京都・南座で「三月花形歌舞伎」が上演中だ。5回目を迎える今年は中村壱太郎、尾上右近、中村隼人の次代を担う花形俳優たちが軸となり、熱い思いを結集させた舞台。今回は初めて午前の部・松プロ、午後の部・桜プロと違う演目で挑む(15日以降は午前の部・桜プロ、午後の部・松プロ)。 また劇場空間では、歌舞伎を身近に親しんでほしいと3人で考えた企画を設営、訪れた人たちも笑顔で楽しんでいる。"愛""情""艶(あで)"のテーマで贈る、松と桜の2公演を開幕2日目に観劇した。

劇場前で南座 宣伝部長のキャラクター"みなみーな"がお出迎え。入って右奥のフォトスポットでは、3人のキメ写真にみんながスマホを向ける。壁に貼られた桜の木は、感想やメッセージを書いて貼る桜花の付箋で三分咲だったが、すぐ満開になりそうだ。ほかに福井県越前市の大河ドラマ館の紹介コーナーや、演目にちなみ今年没後300年となる近松門左衛門の出生地・鯖江市とコラボした観光案内、ロビーのお土産売り場も「三月花形歌舞伎」グッズがそろう。

まずは松プロ『乍憚(はばかりながら)手引き口上』。定式幕が引かれた舞台。客席後方から扮装のまま登場した隼人に客席がどよめく。舞台前まで進み『三月花形歌舞伎』の成り立ちや思い、舞台に上がって幕前で演目解説と意気込みを語る。みなみーなも登場して撮影タイムの後、2人で花道から退場。桜プロは壱太郎の出演で。

『心中天網島』が素材の『河庄』は中村鴈治郎の指導により、心中を決意した遊女・小春と治兵衛の不倫の"愛"を描く。苦しい胸の内が心に響く壱太郎の可憐な小春、隼人が演じる治兵衛の兄・孫右衛門の兄弟愛と心情、そして注目は江戸っ子・右近が演じる治兵衛。上方和事の代表作で、おかしみと切なさが交じり合う難しい演技に挑んでいる。

次に『忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの) 将門』は妖怪・滝夜叉姫VS光圀。派手な立廻りあり、屋台崩しありのスペクタクルな舞踊劇だ。"艶"やかな壱太郎と戦う、かっこいいイケメン武将・光圀役を松プロは隼人、桜プロは右近で。役替わりの上に衣裳も演出も変えて上演する。

桜プロ『女殺油地獄』は片岡仁左衛門の監修。油屋のどら息子・与兵衛(隼人)が金に困り、同業者の女房お吉(壱太郎)を頼るが断られ殺害する物語。両親やお吉らの"情"がからみながら悲劇へと展開し、見せ場は油まみれの殺害シーン。隼人が無我夢中の境地から狂気へ、最後に我に返る気持ちの変化を映し出す。松と桜、双方に違ったおもしろさが楽しめる挑戦の舞台だった。公演は3月24日(日)まで、南座にて。チケット発売中。

取材・文/高橋晴代
(C)松竹




(2024年3月11日更新)


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『乍憚手引き口上』中村壱太郎
『河庄』左から尾上右近、中村隼人、中村壱太郎
松プログラム『将門』中村壱太郎、中村隼人
桜プログラム『将門』中村壱太郎、尾上右近
『女殺油地獄』左から中村隼人、中村壱太郎

三月花形歌舞伎

チケット発売中 Pコード:523-688
▼3月24日(日)まで上演中
11:00/15:30
南座
一等席-12000円 二等席-7000円 三等席-4000円 
[出演]中村壱太郎/尾上右近/中村隼人
※3/14(木)休演。特別席の取り扱いはございません。日時・席種により取り扱いのない場合あり。4歳以上はチケットが必要。本公演チケットを「チケット不正転売禁止法」の対象となる「特定興行入場券」として販売いたします。興行主の同意のない有償譲渡は禁止いたします。お申込み、ご購入いただくチケットにはお申し込み時のお名前が印字されます。※午前の部、午後の部で演目が変わります。2日~13日は午前の部松プロ・午後の部桜プロ、15日~24日は午前の部桜プロ・午後の部松プロ。詳しい演目・配役につきましては、HPをご確認の上、お申込みください。
[問]南座■075-561-1155

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