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阪神タイガースOB・嶋尾康史演出の最新作は
心温まる家族の物語

元プロ野球選手で、現在は俳優として活躍する嶋尾康史が率いる劇団「Team337」の最新作、第6回公演『最後の望み』。原作は、アミの会『惑:まどう』(新潮社・実業之日本社文庫)に収録されている矢崎存美の同名小説。Team337では、今作より女流作家集団「アミの会」と、良質なドラマを作る脚本家を育てるため2000年に創設された「シナリオ・インキュベーション」とのコラボレーションを始動。本公演はその第1弾で、脚本をシナリオインキュベーション26期メンバーの圡山由紀子が担った。

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虫の息をしている倉石悦司(伊原侑蔵)の前に現われた死神(柊子)が悦司にひとつだけ望みをきいてやると言う。悦司は、家族がありながらも孤独のうちに自殺してしまった長女・理佳子(辻千恵)を救いたいと、死神とともに理佳子の生涯を巡ることに――。

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東京公演に先駆け、1月26日~28日に大阪・スタジオACTで上演。物語は、原作に忠実に描きながらも、オリジナルの設定やシーン、キャラクターもプラスされている。たとえば、小学生、高校生、大学生、社会人...と年代ごとに見られる理佳子の素顔は、本公演ならではのものだ。彼女がどんな青春期を過ごし、どのように大人になっていったのか。そのアナザーストーリーでも理佳子という人物像をくっきりと描いていった。

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唯一、人ならざる者である死神を演じる柊子は終始、ポーカーフェイスで、黒づくめの佇まいもあり氷のような冷たさを全身に漂わせている。だが、ときおりチャーミングな姿も見せ、観客の笑いも誘う。どうして死神になったのか、その理由は最後まで謎のままだが、柊子が見せるわずかな表情から、実は体温の高い、優しい心の持ち主ではないかと思わせた。

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ファンタジーでありながらも、家族間のリアルなセリフのやり取りに気持ちが引き寄せられる。親と子、兄弟・姉妹など、この物語に出てくる家族の関係性は世代を超えて誰しもに当てはまる。だからこそ、様々な立場で登場人物たちの心情に寄り添うことができる。時には家族には言えなかった言葉を倉石家の人々が代弁してくれているような感覚にもなり、幕が下りる頃には胸にじんわりと温かい気持ちが広がった。

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大阪公演の千穐楽を迎え、「大阪公演を無事に終えることができました。東京公演でも頑張れるようにぜひ拍手で送りだしてください」と、ほっとした表情を浮かべて挨拶した嶋尾。会場は優しい拍手に包まれた。東京公演は2月28日(水)から3月3日(日)まで、東京・赤坂レッドシアターで上演。チケット発売中。

取材・文/岩本
撮影/福家信哉




(2024年2月14日更新)


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Team337 第6回公演『最後の望み』

チケット発売中 Pコード:523-920
▼2月28日(水)19:00
▼2月29日(木)19:00
▼3月1日(金)14:00/19:00
▼3月2日(土)13:00/17:00
▼3月3日(日)13:00/17:00
赤坂RED/THEATER
全席指定-5500円 
[原作]矢崎存美
[脚本]圡山由紀子
[演出]嶋尾康史
[出演]柊子/辻千恵/伊原侑蔵/宮下修司/生田拓馬/文月あや
※未就学児童は入場不可。
[問]サンライズプロモーション東京■0570-00-3337

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