吉幾三、2年半ぶりの大阪で
芸能生活50周年の特別公演
6月4日(土)より大阪・新歌舞伎座で幕を開ける芸能生活50周年「吉幾三特別公演」。第一部は吉が原案と音楽を手掛ける、下町人情が懐かしいハートフルコメディーの芝居『親はがっかり! 子はしっかり!』を上演、第二部は『酒よ』『雪國』『酔歌』など数々のヒット曲はじめ、歌の世界をたっぷりと楽しめる歌謡ショー『50th Anniversary in 新歌舞伎座 頼り...頼られ...ありがとう』を展開する。
2019年12月以来の大阪公演だ。第一部の芝居の見どころを尋ねると、「この物語では、妻を早く亡くして、ふたりの娘を育てた父親の役なのですが、娘と仏壇に向かってしゃべる場面は毎回、泣いています」と吉。名古屋でも上演した本作、この場面では客席から男性の嗚咽が聞こえたこともあったという。とはいえ、コメディ作品だ。「私のアドリブのところは皆さんに大いに笑っていただこうと思います。泣かせます、笑わせます、あとは知らんぞと(笑)」。
吉のヒット曲も楽しめる第二部の歌謡ショーでは、故・志村けんさんのために書いた楽曲『二人のブルース』も披露する予定だという。志村さんとのエピソードを尋ねると、「思い出は歌に全部書いているんですけど…」と前置きしつつ、こんな話をしてくれた。「一度、青森まで来てくれて。僕も向こうもテレビの取材だったんですよ。私が青森にいるところを訪ねてくれて。僕のおふくろが車いすになっちゃったんですけど、志村さんはおふくろのために花火を打ち上げてくれたんですよ。でかい花火。志村さんは本当、優しい人でした。志村さんは天才だよね。未だにいろんな番組を見るけど、やっぱり何やったってすごい人ですよ」。
続いて、公演中1日は弟子の真田ナオキも来るのではないかと話す。「いつ来るかわかんないけど、大阪の方でキャンペーンがあるのでお邪魔するって言ってたんで。別に来なくても大丈夫だよって言ってたけど、来るでしょうね、あいつのことだからね。1日ぐらいは来るような話はしていました。名古屋も来たんですよ。来て、とっとと帰っていきました! 何か隙を見て(自分の)レコードを売ると思います!」。
ともに年を重ねてきたバンドメンバーについても、笑いも交えながら話す。「(新歌舞伎座には)うちのメンバー全員、来るんですけども、みんな年なんで。70いくつの人もいますからね。舞台で死んでもいいって言ってるけど、死なれちゃ困るわけですよね(笑)。『雪國』やってって言っても別の曲弾いてるしね。コーラスも全員、60代後半から70代ですよ。でもありがたいですよ、私を40年近く支えてくれたバンドですからね。できる限り体にムチ打ってもやりたいっていう連中ばっかりだから、ギリギリまで一緒に仕事ができたらいいなと思っています」。
芸能生活50周年を迎えた吉。今後の展望を尋ねると「やることがいっぱいあるんで。やりたいお芝居もいっぱいあるし、大阪でやっていない芝居がありますので、もう1、2年は頑張ってやってみたい」とますます意欲的だ。
公演は6月4日(土)から12日(日)まで、大阪・新歌舞伎座にて。チケット発売中。
取材・文:岩本
(2022年6月 3日更新)
Check