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柳家三三、ナレッジシアタ―で東京落語をたっぷりと

6月11日(土)、大阪・ナレッジシアターで柳家三三の独演会が開催される。ナレッジシアターでの独演会は、2018年の8月から5か月連続で行った『任侠流れの豚次伝』以来と、実に約3年半ぶりのこと。今回は昼夜2回公演で、昼公演は『豊志賀』と『大工調べ』を、夜公演では『文七元結』と『笠碁』を披露する。
 
三遊亭圓朝作の怪談噺である『豊志賀』。大阪ではめったに聞けない“三三の怪談”だ。「『豊志賀』は他の噺よりも笑いを物語の推進力にしていないので、より登場人物の心情を描いているのですが、いわゆる“怖い話”と違って、因縁や男と女の絡み、執念など、人の怖さを描いています。ただ、だからといって演じる時は他の噺とそんなに変わりません。ただ目の前に浮かぶ風景や見えているものをそのまま喋るという感じです」。
 
一方の『大工調べ』は、今回は通しで口演。この噺の後半はめったに演じられないという。「大家がちょっと意地の悪いことを言うので、大工の棟梁が堪忍袋の緒が切れて、啖呵を切って…というところまでが前半で、後半はそこからお裁き、裁判になります。そこはあまり演じられないんですよね。それは時間の関係もありますし、そんなに面白くないと思われているのかもしれません。でも僕は面白いと思っているので、いいんじゃないかなと。後半はテレビの時代劇で見るようなお白洲の場面なので、そこも楽しんでもらえたらと思います」。
 
夜公演では三三の十八番といっても過言ではない『文七元結』を披露。さっぱりとした江戸前の語り口でぐいぐいと物語に引き込む三三。その魅力を十分に感じられる一席だ。「『文七元結』は起伏に富んで面白い噺ですから、ストーリーを追うだけでも楽しいと思います。せっかく久しぶりの大阪なので選んでみました」。
 
もう一席の『笠碁』は上方では演じ手の多くない、シンプルな会話劇。「東京の落語は、基本的にはもともと大阪の噺をいただいて、東京にアレンジしたものが多いのですが、今回は四席とも東京でできた噺とか、東京で演じられるもので。今現在、大阪であまり聞く機会のないものにしました。なので、東京っぽいといいますか、渋いセレクトになっています。『笠碁』を関西で披露するのも久しぶりです」。
 
コロナ禍前は、精力的に全国各地で落語会を行っていた三三。ようやく全国での公演が再開されつつある今、「移動の感覚を忘れていましたね」と笑うが、「マイナスなことを言うと長距離の移動は大変なんだなっていうことを思い出しましたけど、それ以上にいろんなところで落語ができるのは楽しいです。これからもそうであってほしいですね」と願う。
 
また、2020年3月からはライブ配信も始めたが、改めて生の舞台の思いがけない効果に気づいたと話す。「お客様の反応があって初めて出てくる言葉もあるんだと実感しましたね。配信だと予定した通りのものになって、それはちゃんとしたものをお見せするという、そういう良さもあるのですが、生の舞台は同じ噺でもその場のお客さんの息遣いで変わるところもありますし、セリフがまったく異なる場合もあります」。常々、落語を演じることを「目の前に見えている風景を話している感覚」と話す三三。そんな風景も観客の存在に影響され、二度と同じものはできないという。
 
「お客さんがいてこそ、その日に完成する落語があると思います。別に日々、進歩しなくていいと思っていて(笑)」。ただ、その日が一番、楽しければいいなと。なので、皆様もぜひ、思い思いに楽しい時間を過ごしてほしいと思います」と、変わらず飄々と、久しぶりのナレッジシアターで観客と対面することを心待ちにしている様子だ。

取材・文:岩本



(2022年6月 8日更新)


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『柳家三三 独演会』

チケット発売中 Pコード:511-493

『豊志賀』『大工調べ』
▼6月11日(土) 13:00
『文七元結』『笠碁』
▼6月11日(土) 17:00

グランフロント大阪 北館4F ナレッジシアター
全席指定-3800円
[出演]柳家三三/桂弥っこ
※未就学児童は入場不可。37.5℃以上の発熱がある方は入場をお断りさせて頂きます。公演中止の場合を除き、お客様都合による予約変更・払い戻しはできません。

[問]キョードーインフォメーション■0570-200-888

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