シルビア・グラブ
「最高に面白い作品を作ってます!」
2007年に役者、ダンサー、振付師、演出家とパワフルな女性たちにより結成されたパフォーマンス集団junkiesista(ジャンキーシスタ)。翌年の2008年には男性メンバーで編成されたjunkiebros.(ジャンキーブロス)が誕生。今年、結成15年目を迎えるjunkiesista×junkiebros.の新作舞台『GOHCAGO~御加護~』が7月2日(土)、大阪・近鉄アート館で初日を迎える。
時代劇完全オリジナル(パロディ)ミュージカルを展開する本公演。時は、江戸。お上の裁けぬ悪を人知れず裁く“仕事人(しごとびと)”がいた。仕事人が出会ったのは、ひとりの少女、シン。シンには新興宗教団体に家族を奪われた悲しい過去があった。仕事人はシンの仇を討つべく動き出すも、その先に待っていたのは、血で血を洗う抗争と、思いもよらぬ真実だった――。
演出家で振付師の林希、ダンサーで振付師の大村俊介(SHUN)、JuNGLEらjunkiesista×junkiebros.のメンバーに加え、毎公演、超豪華ゲストが登場。大阪は天真みちる、香月蓮、彩羽真矢が各回に登場する。
また、グランドミュージカルで欠かせない存在のシルビア・グラブも出演。2020年に上演予定だった本公演、当時は日替わりゲストだったが、2022年版では新興宗教団体の教祖役を担う。
演出の林とはユニットを組むなど公私ともに交流のあるシルビア。今回の出演にいたっては次のように話した。「普通にプライベートで会っているときに、その時期、舞台が1本なくなっちゃったんだよねって言ったら、だったらこっちできるじゃんと言って、連絡が来て決定しました。プライベートでそういう話をしていなかったら、知らない間に公演が過ぎ去るか、日替わりゲストでの出演だっただろうと思います(笑)」。
シルビアに取材をしたのは、稽古で初めて通しをした翌日だった。「昨日、頭から終わりまで無理矢理、通してみました。junkieのメンバーって、いろんなキャラクターの方々が多くて見どころ満載なのですが、エンターテインメント性がすごく強いので、自分が出ていない場面は笑いながら観たりして。真剣にふざけて、真剣に面白いものを作るという感じでした。本番までまだ時間があるので、何とか面白いものを提供できるのではないかという手応えを感じました」。
稽古場では忌憚ない意見が活発に飛び交っているという。「百戦錬磨の振付師たちが集まっているので、遊びながら楽しく作っています。お互いをリスペクトしあってやっているので、みんながちゃんと思ったことを口に出せて、それでいて空気が悪くならないんです」。
一流の振付師やダンサーたちの芝居にも注目だ。「それこそ、普段お芝居をしている姿をなかなか観られない人たちが、どういうふうに演じるのかを観るのも面白いし、ダンサーの方々のキャラクターの作り方も、考えたことのないような角度から来て、なるほどなと勉強になります。みんなスーパーダンサーなので、ダンスのシーンも最高にかっこいいんですよね。踊ってる姿はめちゃめちゃかっこよくて、クールなのに、しゃべったら声のトーンにギャップがあったりとか、こんなに歌がうまかったのかとか、他の舞台ではなかなか観られない個々の姿が楽しめます」。
ミュージカルが好きな人にはたまらない、名曲のパロディもjunkiesista×junkiebros.の魅力だ。「オリジナルのミュージカルの名曲を知っていると、もう『空耳アワー』なんですよね。原曲の英語に聞こえるけど、日本語だったという。ミュージカルを知っていれば知っているほど面白い。でも、知らなくても楽しめる作品になっています」。
大阪公演の会場は近鉄アート館。「すごく観やすい劇場で、一体感もあるので、作品の空気感を一緒に共有できると思います。大きい劇場だとどうしてもステージと客席に距離感がありますけど、出演者としてもお客さんとしても、小劇場はすごく楽しいなと思います」。
先日、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演することが発表されたシルビア。小池栄子演じる北条政子と対決する政治家・藤原兼子役で、撮影はこれからだそう。「あの時代の女性陣は、相当政治にも物申せたというか、北条政子しかり強い女性陣が多くて。他の役者さんたちもめちゃめちゃキャラクターが濃いじゃないですか。その中に埋もれないように頑張らないと、と思っています。今のところ言われているのは“藤原兼子はめちゃめちゃ怖い人だったんだよ”と。どこまで怖くできるかわからないですけど(笑)」。
「この2年間、東京公演ができても大阪に行けなかったりして、大阪に行く回数が少なかったので本当に楽しみにしています。私はおそらく『GOHCAGO』で今年の大阪公演が最後になってしまうので、ぜひ観に来てほしいと思います。今、誠意を込めて、最高に面白いものを作っています!」といざなう。大河ドラマでの“怖いシルビア”にも期待しつつ、まずは近鉄アート館でその魅力を直に感じてほしい。
公演は7月2日(土)・3日(日)大阪・近鉄アート館、7月8日(金)~18日(月・祝)東京・中目黒キンケロ・シアターにて。チケット発売中。
取材・文:岩本
(2022年6月29日更新)
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