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内野聖陽主演、愛の衝撃作
「誰しもに起こることと捉えていきたい」

昨年、紫綬褒章を受章した俳優の内野聖陽が舞台『M.バタフライ』に主演する。1988年トニー賞受賞作、日本では32年ぶりの上演となる。舞台は1960年代文化大革命の北京。駐在フランス人外交官ルネ・ガリマール(内野聖陽)は、京劇のスター女優ソン・リリン(岡本圭人)と20年に及ぶ愛に溺れる。その実、ソンは毛沢東政府のスパイであり、男だった―――。国家機密情報漏洩の罪により投獄されたルネは、オペラ「蝶々夫人」と対比させながら自らの正当性を観客に説いていく。あまりにも残酷で衝撃的な、実話がベースの愛の物語だ。
 
「ぜひ内野さんで」とのオファーを受けて台本を読み「役者として挑戦しがいのある作品」と出演を快諾したと話す内野。「現実に見ていたものがまったく真実ではないと分かったとき、人間はどうなってしまうのか」。そこに興味と面白味を見出す。ルネ役については「ロマンチストなのかな。彼には妻がいて、外交官としての出世を選んだ。愛は捨て去ったつもりでいたが、たまたま東洋の女優に恋をし、彼女に理想の女性像を投影してしまう。女性に擦れていない人で、東洋の神秘性に強い憧れや敬意を持っているような男性。戯曲を読んでいると、とても切なくなる時があります」。続けて「愛には幻想が含まれる」とも。とりわけ恋愛において人は、相手を見たいようにしか見ない。その意味で「僕からも皆さんからも遠くない、誰しもに起こること。ご覧になる方がこれなら騙されるな、と納得できる点を掘り起こしていきたい」と語る。

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作品の肝であり見どころのひとつに「ルネが東洋の神秘に絡めとられる」様をあげる。そんなルネのみならず、観客をも惑わすのがソン役の岡本圭人だ。内野は「イギリスで7年間の留学経験があり、アメリカでも演技の英才教育を受けている。非常に勉強熱心な方」と岡本の印象を語る。「舞台は2度目で新人に近い初々しさがありますが、役と向き合う粘り強さや気迫を感じる。ルネが真実めいた虚像に絡めとられていくという要の部分も、彼となら丁寧に描いていけるはず」と稽古を心待ちにする。
 
物語は投獄されたルネの独白で始まる。「観客を60年代当時に心地よくお連れする水先案内人のような役。途中でハラハラし、最後にあっと驚くみたいな回想劇のような組み立てです。100%フィクションではないところが興味深い。彼がどういうふうに恋をして、いかに国家機密の罪に陥ったのか。皆さまの心にも起こるであろう間違い、錯覚も含めて楽しんでいただけたら」とアピールした。
 
公演は6月24日(金)から7月10日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて、7月13日(水)から15日(金)まで、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。チケットぴあでは、5月10日(火)10:00から15日(日)23:59まで2次抽選先行を受付。一般発売は5月21日(土)より。ほか福岡、愛知公演あり。

取材・文:石橋法子



(2022年5月 9日更新)


Check

『M.バタフライ』

【東京公演】
▼6月24日(金)~7月10日(日)
新国立劇場 小劇場

Pick Up!!

【大阪公演】

5月21日(土)一般発売 Pコード:511-322
▼7月13日(水) 18:00
▼7月14日(木) 13:00/18:00
▼7月15日(金) 13:00
梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
全席指定-10500円
[原作]デイヴィット・ヘンリー・ファン
[翻訳]吉田美枝
[演出]日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)
[出演]内野聖陽/岡本圭人/朝海ひかる/占部房子/藤谷理子/三上市朗/みのすけ
※未就学児童は入場不可。本公演チケットを「チケット不正転売禁止法」の対象となる「特定興行入場券」として販売致します。興行主の同意のない有償譲渡は禁止されています。インターネットオークション等で購入されたチケットでのご入場はお断りさせていただく場合もございます。また、トラブルについての責任も負いかねますのでご注意ください。車いす席をご利用のお客様はチケットをご購入の上、事前にお問い合わせ先にご連絡ください。今後の社会情勢に応じて、公演内容・開演時間並びにチケットの販売等につきましては、変更となる可能性がございます。最新の情報については公演ホームページをご確認ください。
※発売初日は、5/21(土)10:00より専用URL(https://w.pia.jp/t/m-butterfly/)にて受付。店頭での受付はなし。お1人様1申し込みにつき1公演2枚まで。
[問]梅田芸術劇場■06-6377-3888

【愛知公演】
▼7月30日(土)・31日(日)
愛知県産業労働センター ウインクあいち

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