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フェスティバルホールでおくる野村家一門の大狂言会

フェスティバルホールの建て替え後、2013年のオープニングシリーズより2年に1度開催している『祝祭大狂言会』。5回目の今回は、人間国宝・野村万作を筆頭に、息子・野村萬斎、孫・野村裕基ら三代がそろった野村家一門の出演で贈る。通常の狂言会は400~600席規模の能楽堂での上演がほとんどだが、『祝祭大狂言会』は2700席あるフェスティバルホールの大空間を活かした演出となり、その新たな味わいに狂言初心者から通まで人気が高い。今回は萬斎の楽しくわかりやすい解説に始まり、『二人袴』、『月見座頭』、関西初登場の新作『鮎』という狂言三作品のプログラム。その見どころと意気込みを万作、萬斎が語った。
 
「フェスティバルホールでは舞台上の人間が小さく見えます。俯瞰して見るという目線で人間の滑稽な側面を描き、人間っていいもんだなと愛おしくみせるのが狂言。この広いホールで俯瞰した目線を持つことは、かえって客観的に観ることができて楽しい。そういう特性があるのではないかと思いますね」と萬斎。この広さでの狂言会は東京にもなく、“グランド狂言会”という捉え方でこのホールならではの演出を生み出してきた。最初の演目『二人袴 三段之舞』は、「まずはコロナ禍で閉塞感を感じている時に、大笑いして底抜けに楽しんでいただきたい。大甥の太一郎と息子の裕基が兄弟を演じるのは本邦初公開です。三段之舞でお囃子も入れてにぎにぎしくお見せします」(萬斎)。
 
次に「狂言の中で異色な曲」と萬斎が言う『月見座頭』は、万作とふたり、息の合った親子共演で。「人間の両面性が盛り込まれている狂言です。昔なら盲目の人を哀れな人と演じていたと思いますが、私は現代的に捉え、人間を考えるテーマに磨きをかけてやりたいと思っております」と万作。盲目の人が見る月とは…その至芸を秋野の風情の中で。
 
そして、池澤夏樹の作品を萬斎が演出・補綴し、2017年に国立能楽堂で初演。今回が関西初上演となる『鮎』について萬斎は「狂言ならではの機知に富んだ演出で鮎たちを表し、その鮎が劇を進行していく。視覚的なおもしろさと、都市と地方、若者の未来を考えるテーマを含んだ作品です」。フレッシュなドタバタもの、不条理な月の世界、新しい発想の新作。違った味わいが楽しめる三演目だ。「三世代それぞれの良さを味わっていただき、狂言で心を解放して生きることへのエールを送れるように。皆さんが勇気と覚悟を持って劇場に来てくださるからには、ますます頑張って、その行動にお返ししたい思いでいっぱいでございます」(萬斎)。
 
公演は、4月25日(日)大阪・フェスティバルホールにて上演。チケット発売中。
 
取材・文:高橋晴代



(2021年2月22日更新)


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会見に出席した、野村萬斎、野村万作

『祝祭大狂言会2021』

チケット発売中 Pコード:504-078
▼4月25日(日) 15:00
フェスティバルホール
S席-8000円 A席-6000円 B席-3500円
SS席-10000円 BOX席-12000円
[出演]野村万作/野村萬斎/野村裕基/他
※狂「二人袴 三段之舞」 狂「月見座頭」 新作狂言「鮎」
※バルコニーBOX席の取り扱いはなし。未就学児入場不可。
[問]フェスティバルホール チケットセンター■06-6231-2221

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