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片岡仁左衛門、親子孫三代で演じる
南座「顔見世」を語る

昨年の新開場から1年を経た京都・南座。令和元年の「吉例顔見世興行」は、一周年記念を祝うにぎやかな演目と華やかな出演者がズラリと並ぶ。今回は昨年に引き続き、十五代目片岡仁左衛門が、息子・孝太郎、孫・千之助とともに、松嶋屋三代で出演するのが見どころのひとつだ。昼の部で『仮名手本忠臣蔵』「祇園一力茶屋の場」の大星由良之助、夜の部では『堀川波の鼓』で小倉彦九郎を勤める仁左衛門が、取材会で思いを語った。
 
『仮名手本忠臣蔵』は、討ち入りで有名な忠臣蔵の事件をモチーフに全十一段で描く物語で、「祇園一力茶屋の場」は通称“七段目”。討ち入りが噂されるなか、祇園の一力茶屋で遊びにふける大星由良之助のもとへ、息子・力弥が密書を届けに来る。遊女となって店にいたお軽が、それを盗み読みしているのに気付いた由良之助は…という物語だ。
 
由良之助の仁左衛門に、お軽の孝太郎、力弥を初役で千之助が演じる。「役者の家に生まれてこの配役でできるのは本当にうれしいです。おそらく、三代そろっての七段目でこの組み合わせは歌舞伎史上初めてだと思うので、これまでにない楽しみがありますね」と喜びながら、千之助を心配する。「忠臣蔵の中でも、七段目の力弥が一番やさしそうに見えて一番難しい。どれだけやれるか、ひとつの試金石になります。まだこれからだから、荷が重い。でも、役者は経験していかないと成長しないものですから」。伸び盛りの千之助の演技にぜひ注目を。

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また、由良之助の役については「雰囲気が必要。遊興に浸っている雰囲気を、作るのではなく醸し出せるように。演技力ではなく、身に付いたものがものを言うので非常に難しいですね」と語る。9回演じてきたが「七段目は完成度が高く、特に変えようと思って変えたところはないですね。やっている間に、その時の自分の気持ちで自然と変わっていくんです」という仁左衛門の至芸を堪能したい。
 
夜の部『堀川波の鼓』も仁左衛門が好きな狂言だ。夫・彦九郎が単身赴任中、酒の勢いで過ちを犯した妻・お種を軸に描く人間ドラマ。「彦九郎はお種に怒りはなく、同情も哀れみもある。しかし、武士として成敗しないといけない。そこにドラマの深さがあります。彦九郎の心が凝縮された最後の一言に、お客様も涙してくださるんじゃないかな」。
 
夜の部最後の演目は『越後獅子』。昨年は中村鷹之資とふたりで『千社祭』を演じた千之助が、今年は中村隼人、橋之助、梅丸改め莟玉(かんぎょく)の若手4人で勤める。仁左衛門は「こんな企画をこれからもどんどんやっていただきたい」と、若手の成長に期待し応援している。

取材・文:高橋晴代



(2019年11月13日更新)


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片岡仁左衛門

『當る子歳 吉例顔見世興行』

<東西合同大歌舞伎 南座新開場一周年記念>

チケット発売中 Pコード:497-477

「<昼の部>信州川中島合戦 輝虎配膳/戻駕色相肩/祇園祭礼信仰記 金閣寺/仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場」
▼11月30日(土)~12月20日(金)・22日(日)~26日(木) 10:30
南座
1等席-25000円 2等席A-12000円 2等席B-10000円
3等席-8000円 4等席-6000円
[出演]坂田藤十郎/片岡仁左衛門/中村梅玉/片岡秀太郎/中村時蔵/中村雀右衛門/中村鴈治郎/中村扇雀/中村芝翫/片岡進之介/片岡孝太郎/片岡愛之助/中村亀鶴/中村壱太郎/中村隼人/中村橋之助/片岡千之助/中村莟玉

「<夜の部>堀川波の鼓/釣女/新皿屋舗月雨暈 魚屋宗五郎/越後獅子」
▼11月30日(土)~12月26日(木) 16:45
南座
1等席-25000円 2等席A-12000円 2等席B-10000円
3等席-8000円 4等席-6000円
[出演]片岡仁左衛門/中村梅玉/中村時蔵/中村雀右衛門/中村鴈治郎/中村扇雀/中村芝翫/片岡孝太郎/片岡愛之助/坂東秀調/中村亀鶴/中村壱太郎/中村隼人/中村橋之助/片岡千之助/中村莟玉

※特別席の取り扱いはございません。日時・席種により取り扱いのない場合あり。
※貸切=12/21(土)10:30。

[問]南座■075-561-1155

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