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渡辺えりが上田岳弘のSF純文学を舞台化、
のんが初舞台!

女優の渡辺えりが、脚本・演出を務める新作舞台『私の恋人』を上演する。今年芥川賞を受賞した上田岳弘の三島由紀夫賞受賞作『私の恋人』を下敷きに、独自の恋物語を描き出す。共演に小日向文世、本作が初舞台となるのんを迎え、3人で30もの役を演じ分ける。約15曲の楽曲で綴るユニークな音楽劇だ。
 
主人公の“私”は、博愛の精神に満ちた「理想の恋人」に出会うまで、輪廻転生を繰り返し、10万年もの時空を生き続ける。クロマニヨン人からユダヤ人、そしてフリーターとして現世に生きる井上由祐に至るまで。恋人探しの一方で、浮き彫りになるのは無くならない戦争の歴史だ。
 
SF的世界観から本質を炙り出す手法は、渡辺戯曲とも共通する。渡辺は、上田が描くテーマにも共感するという。「大きく言えば人類愛ですよね。なぜ人間は同じ過ちを繰り返すのか。いま断捨離が流行っていますが、忘れてはいけないような過去まで全部捨てるような時代になっている。合理化や分業化が進み、誰もが自分の保身に走ったり、日本人の良さである思いやりや情の部分が消えつつあるなと。そこを今回はお節介おばさんのように問い直したい。原作からは一部だけをお借りして、残りの9割は私の創作です(笑)」。
 
原作通りにやれば「5時間は必要」な10万年の恋物語も歌やダンス、ユーモアを盛り込み、約1時間40分に凝縮する。情報量満載の展開だが「わけの分からなさを楽しんで」と渡辺。「だって、のんちゃんが主人公や彼が飼っている猫になったり、今お母さん役だった小日向さんが、次はお父さん役で出てくるわけですから。そこは笑って楽しんで。ピカソやマグリットも、パッと見は何の絵かは分からないけど、惹かれるから見るでしょ。それの演劇版です(笑)」。
 
30年来の付き合いになる小日向は「段取りで芝居をしない信頼のおける役者」。一方、のんは天才肌の女優として一目置く。「一緒に映画や舞台を見に行っても視点が面白く、表現する言葉の選び方も天才的。センスだと思うんですけど。シュールでグロテスク、少しはみ出したものに惹かれる嗜好も似ていて、年齢差を感じさせない魅力がある」。のんは初舞台を目標に、以前から歌や踊り、英会話の特訓に勤しんでいるという。「猫背気味だった姿勢も直しましたから、努力家です。今は映像で流した方が楽だし儲かる時代だけど、一回しかない公演に命懸けてやる人もいる。色々と選択肢がないとつまらない。役者が目の前で汗を流しながら演じる、こんな贅沢は演劇だけですから。面白いと思いますよ」。
 
公演は8月9日(金)、10日(土)兵庫県立芸術文化センター、8月28日(水)から9月8日(日)まで本多劇場にて上演。その他、地方公演あり。チケット発売中。

取材・文:石橋法子



(2019年7月29日更新)


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オフィス3○○『私の恋人』

【東京プレビュー公演】
▼8月7日(日)東大和市民会館ハミングホール

Pick Up!!

【兵庫公演】

チケット発売中 Pコード:492-873
▼8月9日(金)・10日(土) (金)19:00 (土)12:00/16:00
兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
A席-7500円 B席-4500円
[原案・原作]上田岳弘
[劇作・脚本][演出]渡辺えり
[出演]小日向文世/のん/渡辺えり/三枝伸太郎(ミュージシャン)/他
※未就学児童は入場不可。
[問]芸術文化センターチケットオフィス■0798-68-0255

【鹿児島公演】
▼8月13日(火)宝山ホール
【山口公演】
▼8月15日(木)山口市民会館 大ホール
【福岡公演】
▼8月17日(土)・18日(日)大野城まどかぴあ 大ホール
【岩手公演】
▼8月22日(木)久慈市文化会館 アンバーホール 大ホール
【山形公演】
▼8月25日(日)やまぎんホール

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