和の手妻と洋のマジックを堪能!
日本古来の伝統的な奇術「手妻」を現代に継承する手妻師・藤山新太郎が、9月8日(土)、大阪・国立文楽劇場で『水芸 手妻&マジック』を上演する。公演に向けて、見どころや意気込みを語った。
藤山が披露するのは、豪華絢爛な「水芸」や幻想的な「蝶の戯れ」など。「蝶の戯れ」は、紙でできた蝶を扇子の風で落ちないように扇ぐというもの。一羽の蝶が伴侶と出会い、結ばれ、死して多くの子を残すというドラマ仕立ての芸で、手妻の最高傑作といわれている。今回は、新内節浄瑠璃の人間国宝・鶴賀若狭掾(つるがわかさのじょう)が作曲し、語りを担当するのが見どころのひとつとなる。「先生の語りに合わせて、蝶々を飛ばすとどうなるか。ろうそくを前後に付けて、蝶々を飛ばしながら客席にもおりてみようかと思います。西洋のマジックにはストーリーがないけれど、和の場合は往々にしてストーリーがあるのが面白いところ。一度観ると、みんな虜になっちゃいますね。また観たいなって思っていただけると思います」。
また、手妻とマジックの違いを見せるべく、ゲストにはマジシャンを迎えてカードマジックなどを披露する。「海外で活動する、世界大会総なめの伝々さんは、マジックなんですけど、和のスピリットを感じる芸をされる。きっと“いいもの観たな”という充実感を得られると思います。手妻とマジックの違いは、型があるかないか。手妻はルールにのっとってやる芸で、そこにストーリーがついて、表現する。つまり、マジックの技に演劇と舞踊の技が絡んだ芸で、言わば芝居と同じなんです」。
トリに披露するのは藤山新太郎による「水芸」。元々は「水からくり」と呼ばれていた日本古来の奇術で、藤山が豪華なイリュージョンとして進化させたもの。絢爛豪華な幻想絵巻が繰り広げられる。「水芸は非常に華やかで、芝居心と型が生きたうまみのある芸。“蝶々”はしっとりとした渋い墨絵の世界ですが、水芸はあっけらかんとした芸。どちらもタイプの違う面白さがあります。もっともっといろんな人に観ていただきたいですね」。
ラジオなどで活躍する鈴木美智子がナレーションで演者をつなぎ、音楽は和楽器を使った生演奏となる。「昨年、生演奏がとても好評だったので、今回も尺八、三味線、太鼓、筝など垂涎ものの豪華メンバーを揃えました。邦楽ってゆっくりなイメージを持つ人が多いのですが、私のショーはとてもテンポがよくて、邦楽って面白いんだなって思ってもらえることが多い。かなり濃厚な日本文化をお見せしますので、ご堪能いただければ幸いです」。
『水芸 手妻&マジック』は9月8日(土)、大阪・国立文楽劇場にて上演。チケットは発売中。
取材・文:黒石悦子
(2018年8月22日更新)
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