引き込まれるほど美しい
花組『ポーの一族』が開幕!
宝塚歌劇団花組の『ポーの一族』が1月1日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。
『ポーの一族』は、漫画家・萩尾望都の代表作であり、漫画史上に残る不朽の名作。本作を「いつかミュージカル化したい」と夢見て宝塚歌劇団に入団した演出家・小池修一郎による、念願の舞台化だ。永遠に年を取らず生き永らえていくバンパネラ“ポーの一族”。人間であった主人公エドガー・ポーツネルが、唯一の肉親である妹・メリーベルを守るために一族に加わり、哀しみをたたえつつ仲間と共に時空を超えて旅を続ける物語。


トップスター・明日海(あすみ)りお扮するエドガーが一輪の赤いバラを手に持って現れるプロローグ。漫画の雰囲気そのままの、美しくも妖しい、憂いを帯びた佇まいに引きつけられ、思わずため息がこぼれる。バンパネラの一族に育てられていることを知らず、メリーベルと共に無邪気に過ごしていた日常から一転、一族の儀式を覗き見し、自身の運命を悟るエドガー。バンパネラとなった後もその運命を受け入れられない思い、人間の血に反応してしまう身体、終わりのない命を持つことの哀しさ…。そのひとつひとつの感情を明日海は繊細に表現。血を吸う姿もゾクッとするほどになまめかしい。
トップ娘役・仙名彩世(せんな・あやせ)が演じるシーラ・ポーツネル男爵夫人は、ポーツネル男爵との愛を貫き、婚約のために一族に身を捧げる女性。色気のある妖艶な佇まいで魅せる一方、エドガーの義母として、孤独なエドガーを優しく包み込む存在でもある。権力者の息子のアラン・トワイライトを演じる柚香光(ゆずか・れい)も作品の幻想的な世界観にナチュラルに溶け込み、複雑な環境の中で孤独に生きるアランを好演。傲慢な振る舞いの裏で見せる寂しさ、エドガーやメリーベルと出会ってからの変化を丁寧に見せている。

宝塚歌劇だからこそ表現し得る神秘的な世界観。中でも、エドガーとアランのふたりが並ぶシーンは息を呑む美しさだ。エドガー、シーラ、アランのほか、華優希(はな・ゆうき)演じるメリーベル、瀬戸かずや演じるフランク・ポーツネル男爵など、すべてのキャラクターが漫画から抜け出してきたようなオーラを放つ。満を持して、小池修一郎と花組生が心血を注いで作り上げた『ポーの一族』。その世界にどっぷりと浸ってほしい。
公演は、2月5日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、2月16日(金)から3月25日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。宝塚大劇場では枚数限定で当日券を販売。ご観劇当日の10:00(11:00公演実施日に限り9:30)からおひとり様1枚、先着順で販売いたします。詳細は劇場ホームページまで。
撮影:三上富之
(2018年1月18日更新)
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