新生星組の魅力たっぷり、“スカピン”が開幕!
2008年に宝塚歌劇で日本初演され、大好評を得たミュージカル『THE SCARLET PIMPERNEL』。2010年にも再演され、劇団の人気作のひとつとなった作品が7年ぶりに登場。星組の新トップコンビ紅(くれない)ゆずる、綺咲愛里(きさき・あいり)の宝塚大劇場お披露目公演として、3月10日(金)、兵庫・宝塚大劇場にて幕を開けた。
舞台は王政が廃止され、ロベスピエールを指導者とするジャコバン党が恐怖政治を行っていた18世紀末のフランス。無実の罪で処刑される貴族を助けようと、「スカーレット・ピンパーネル」と名乗り、正体を隠して暗躍するイギリス貴族パーシー・ブレイクニーとその仲間たちの冒険活劇を、男女の三角関係を絡めて展開。フランク・ワイルドホーンによる名曲「ひとかけらの勇気」をはじめ、美しい楽曲の数々で彩られている。

正義感にあふれ、時におどけた演技でコミカルに、時にクールにカッコ良く。正体がバレないようにさまざまな顔を見せるパーシーは、二枚目も三枚目も柔軟に演じる紅にピッタリの役だ。見た目の華やかさはもちろん、初日ではピコ太郎で笑いを取るなど、さすがのコメディセンスで楽しませてくれた。トップ娘役の綺咲は、フランスの元女優で、パーシーの妻・マルグリット役。家族にも正体を隠して生きるパーシーへの疑念と、彼女自身も秘密を抱えている後ろめたさから、パーシーと少しずつ距離が生じてくる。そんなマルグリットの寂しさやもどかしさを繊細に演じ、元女優らしい美しい立ち居振る舞いでも魅せる。
また、スカーレット・ピンパーネルの正体をつきとめようと、血眼になって探しまわる革命政府の公安委員ショーヴランを演じるのは、芝居も歌も圧倒的な実力を持つ礼真琴(れい・まこと)。おどけた振る舞いをしながらヒーローとして活躍するパーシーが“光”の人なら、鋭い目つきでどこか狂気をまとったショーヴランは“影”の人物。革命を正義だと信じ、内から沸々と湧き上がる熱をストレートにぶつけるショーヴランと、七海(ななみ)ひろきが演じる独裁者・ロベスピエールの冷酷さとその裏に垣間見える孤独も、物語を深めている。

衣裳がコロコロと変わるのも見た目に楽しく、特に一幕ラストの仮面舞踏会のド派手なシーンは見どころのひとつだ。華やかさとスリルと軽妙な笑いが絶妙なバランスで絡み合う物語は、ハラハラしながらも、スカッと痛快。紅率いる個性豊かな新生星組の、これからの期待も高まる幕開けとなった。
4月17日(月)まで兵庫・宝塚大劇場にて上演中。その後、5月5日(金・祝)から6月11日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは4月2日(日)10:00より発売開始。
取材・文:黒石悦子
撮影:三上富之
(2017年3月17日更新)
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