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80年代小劇場ブームを牽引した生田萬が
「夜の子供2 やさしいおじさん」の新演出に挑む!

独自の演劇企画を精力的に発表、劇場の存在感を示している伊丹市のアイホール。「現代演劇レトロスペクティヴ」も、そのひとつだ。1960年代以降の、時代を画した現代演劇作品を、関西を中心に活躍する演劇人によって上演し再検証、新たな演劇表現の可能性を探る企画。2009年から実施し、昭和史に残る名作戯曲を関西の演出家達が上演してきた。

7回目となる今回は、80年代小劇場ブームを牽引した1人・生田萬(いくたよろず)が、自身の作品「夜の子供2 やさしいおじさん」の新演出に挑むという特別企画。キャストは、オーディションで選ばれた関西の若い俳優たちに加え、PM/飛ぶ教室の蟷螂 襲(とうろうしゅう)、虚空旅団の高橋 恵、また劇団太陽族の主宰者であり、アイホールディレクターの岩崎正裕ら、ベテラン勢が加わる。作・演出の生田(写真左)、主演のサリngROCK(突劇金魚/写真右)を迎え、大阪で会見が行われた。

70年代アングラを担ったグループから、生田が銀粉蝶と結成した“ブリキの自発団”。1986年初演の「夜の子供」の続編として、「夜の子供2」がバブル崩壊期の90年に上演された。物語の舞台は、20世紀(ニジッセイキ)最後の大みそかの日。1964年の東京オリンピックを目前に控えた夏の日を追憶して描いている少女マンガ家の話だ。

「26年経って読んで、劇団という凝縮したエネルギーを前提とした作品だと強く感じた。メッセージは、さよならニジッセイキ。何にさよならを言っているのか、書いた時と今とでは変わっているはずで、その行方は作って行く中で見えてくるのでは、と思う。昭和の暑苦しさの中で、平成の若者達にガンガンやってもウザイと言われないので、劇団のノリにこだわって作っているところです。台本はラストのエピローグだけ直し、あとはそのままやろうと思っています」。生田は人間性にこだわり、簡単に答えを求めない演出で、稽古しながら次のシーンを考えていく。稽古の中で、サリngROCKを「新しい発見がどんどんあって、僕にとって刺激的」と言う。彼女は「作品は言葉が詩的でいいなと思います。劇中で歌ったり踊ったり、演奏したり。その選曲や歌詞から生まれる世界観も好みのイメージで。経験していないけど、ちょっと懐かしいような感情が呼び醒まされる感じです」。


リオの熱戦が終わった先にある、2020年の東京オリンピック。東京オリンピックをキーワードに、時代性が今と2重写しになるだろう。「さよなら昭和、に近いイメージがあるかな」と生田。観る人それぞれが、それぞれの昭和を感じる舞台になりそうだ。


取材・文/高橋晴代




(2016年8月25日更新)


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現代演劇レトロスペクティヴ<特別企画>
AI・HALL+生田萬
『夜の子供2 やさしいおじさん』

発売中

▼9月15日(木)19:00
▼9月16日(金)19:00
▼9月17日(土)14:00/19:00
▼9月18日(日)14:00★
▼9月19日(月・祝)14:00
★=終演後、シアタートークあり。

AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)

一般前売-3000円 当日-3500円
学生前売-2500円 当日-3000円
※日時指定・整理番号付自由席。

※未就学児童の入場不可。

[問]アイホール[TEL]072-782-2000

アイホール
http://www.aihall.com/yoru-no-kodomo/