明日海りお“やんちゃ”に魅せる「ミーマイ」開幕!
宝塚歌劇花組公演『ME AND MY GIRL』が4月29日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。本作は1937年にロンドンで初演された大ヒットミュージカルで、宝塚歌劇でも1987年の初演以降、再演が重ねられてきた人気作。今回、トップスター明日海りお、花乃まりあを中心とする花組で上演されている。

舞台は1930年代のロンドン。下町・ランベスで育った名門貴族の世継ぎ・ウイリアム(ビル)が、一人前の紳士に成長するまでを、恋人サリーとの恋物語を絡めて描いたハッピーミュージカル。粗野で下町なまり丸出しのビルを、伯爵家の世継ぎらしい振る舞いや言葉遣いができるように教育しようとするマリア侯爵夫人。ビルと共にやってきた恋人サリーはひとり下町へ帰ろうと決意するが、ビルは地位や財産よりも愛を選び、サリーをどこまでも追いかける…。他にも、ビルに色仕掛けをするジャッキー、マリアと同じ遺言執行人のジョン卿など、一人ひとりの想いがうまく絡み合わないことから起きる騒動がユーモアたっぷりに、楽しい楽曲で彩られながら描かれていく。
ビルを演じる明日海りおは、粗野でありながらチャーミングな雰囲気がピッタリ。コミカルな演技でも楽しませてくれつつ、一本芯の通ったカッコ良くもお茶目なビルで魅せる。また、サリーを演じる花乃も、元気いっぱいの無邪気な雰囲気。ビルに幸せになってほしいという思いで身を引くサリーが健気でいじらしい。ナイスカップルなふたりの掛け合いが微笑ましく、ほっこりさせられる。
第1幕の最大の見どころは、有名な「ランベス・ウォーク」。伯爵家継承披露パーティで堂々とホストを務めたビルは伯爵家を安心させるが、ランベスの仲間を連れてきたサリーが雰囲気を一変させる。楽しく踊り歌う仲間たちの雰囲気に伯爵家の者たちものまれ、最後には全員が笑顔で踊り歌い、ハッピーな空気に包まれる。また第2幕では、ビルがランベスに戻ったサリーを探しに行き、街灯の下で待ち続けるシーンが美しい。軽やかに口笛を吹きながら、街灯に寄りかかる姿がカッコよくも切ない。
他の主要な登場人物はほとんどが役替わりで、この日ジョン卿を演じた芹香斗亜は、落ち着いた貫禄を出しながら、どこか頼りないのが憎めないところ。そしてジャッキーを演じる柚香光は、気が強くしたたかに魅せていた。“やんちゃ”な明日海ビルを中心とした2016年版花組の『ME AND MY GIRL』は、個性豊かな面々によって楽しくハッピーなミュージカルに仕上がっている。
兵庫・宝塚大劇場公演は6月6日(月)まで。また、6月24日(金)から7月31日(日)まで、東京宝塚劇場にて上演される。東京公演は5月22日(日)一般発売。
取材・文:黒石悦子
撮影:三上富之
(2016年5月 9日更新)
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