人間国宝「引退」の決断に密着!
大阪を愛した稀代の名太夫・竹本住大夫を
描いたヒューマンドキュメンタリーが放送!
ナレーションを勤めた桂南光が語る、その人生
2012年から約2年半にわたって文楽を取材し続けてきた関西テレビが、大阪の伝統芸能を牽引してきた人間国宝、竹本住大夫を描いたヒューマンドキュメンタリー番組を制作した。そして番組のナレーションを担当し、住大夫の人生を語るのは、上方落語の桂南光。南光は、補助金問題などで揺れた文楽の危機に際しても、積極的に発言してきた人物。今年5月末、東京の国立劇場で行われた引退公演を鑑賞し、楽屋で住大夫師匠と初対面を果たすことに。そしてこのドキュメンタリー番組のナレーションを担当することを報告した。
そこで、住大夫に初めて会った時の印象や、ナレーション撮りの感想、番組の見どころについて、南光に聞いた。

--初めて、竹本住大夫師匠に会われての印象を教えてください。
とっても感激しましたし、お元気だなと思いましたね、89歳で。怒ってはるときもそうやし、もちろん舞台も。まだ引退せんとやってほしいなと思っていましたけど、その決断はすごいことだと思います。後輩などにも厳しいけど、一番自分に厳しい方なんでしょうね。文楽の世界であれだけやってこられて、普通に話をしてもらえて、ほんまもんの人っていうのは“普通”なんだなと。特別な構えもないしね。短時間の間に、ほんまに芸の真理を教えてもらえたなと思って感激しました。
--今回、番組のナレーションを引き受けようと思われた理由は何ですか?
やらせてもらえるなんて夢にも思わなかったので、お話をいただいて喜んで、私でよければと。住大夫師匠が引退される番組のナレーションを自分ができるっていうのは、私にとっても人に自慢できることやと思いますので、文楽の方々にも喜んでもらえるように頑張りたいと思いました。大阪弁しかしゃべられへんけど、それでいいんですよね?(笑)
--南光さんの思いをちりばめたナレーション原稿になっていますが、いかがでしたか?
ありがとうございます。できれば私の本当の感想を言いたいなと思ってたんです。こんなん珍しいですね。ドキュメンタリーとかノンフィクションといっても、大概決められて演出されますけど、今回はそうじゃない。本当のドキュメンタリーをしていただきたいですね。ナレーターとして、そんなえらそうなことは言えませんけど(笑)
--ナレーションを撮り終えて、いかがですか?
私も文楽が好きで、住大夫師匠が引退されるのは残念やなと思ってましたので、ちょっと気が入りすぎています(笑)。収録途中で気が付いたんですけどね(笑)。映像を見てても私なりにいろいろと思うところもありますし。でも、引退されるけども、元気な師匠でラストを迎えられているので、私はとてもうれしいです。
--最後に『ザ・ドキュメント「芸の鬼」』の見どころをお願いします。
関西テレビがずっと撮り続けて、住大夫師匠の笑顔もあれば、恐ろしい顔もあって、一文楽ファンとしても、とてもうれしい番組です。でき上がったVTRを家で2回見たんですけど、要所要所で感動して泣きました。これまで全く文楽を見たことがない人も、「もう住大夫師匠は舞台に出られないけど、次の人たちはどう頑張ってるんか見に行ってみよう」と思って頂ければと思います。
(2014年6月 3日更新)
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