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上方落語の大ネタで挑む30周年
記念ツアー幕開けの2日間 
“勝負師”立川談春、その心意気

立川談春の30周年記念ツアーが間もなく始まる。「大阪で育ててもらった部分がとても大きい、例外的な芸人だ」と自負する談春が初日に選んだ場所が、大阪のフェスティバルホールだ。開催は2日間。各日それぞれ上方落語の大ネタを披露する。
 
振り返ること約5年半前、一時閉館直前のフェスティバルホールで、誰もなしえなかった独演会を開催。談志の十八番「芝浜」を口演し、賞賛の嵐を巻き起こした。思えばそれは東京の落語家である談春が関西で初めて挑んだ大勝負だった。以来、月1回独演会を1年間、大阪、神戸で開催、しかも東京落語だけを聴かせるなど、幾度となく挑戦し、関西の落語ファンの心を掴んできた談春。今回のフェスティバルホールでの2夜も、ファンにはたまらない“待ってました!”の大勝負と言えるだろう。
 
初日は「こんなに救いようのない話を成立させているのは間違いなく芸だと、その感動を伝えたい」と、桂米朝の十八番でも知られる「除夜の雪」と、「志ん朝、松鶴、談志という水脈をたどってきた噺を自分がやるとどうなるのか?」というチャレンジも込めての「らくだ」。そして2日目は「たちきり」(上方落語では「立ち切れ線香」)他を披露する。「演劇でもない、音楽でもないと思ってもらえるような『たちきり』ができるかもしれない。というよりも、やりたい。そのスリル、賭けがなければ、上方落語はやっちゃダメだ」と自身を追い込んでゆく。
 
これら3ネタに共通するのは「人の死」。25周年から30周年の間に、師匠である立川談志を亡くし、中村勘三郎を亡くした。「明確に“人は死ぬんだ”とわかった。もう死んだんだよと区切りをつけたかった」との胸の内も明かした。
 
また、ツアータイトルの『もとのその一』は千利休が詠んだ「稽古とは一より習い十を知り 十よりかへるもとのその一」から名づけた。この句を知り、「十より返るんだ。明日は七、一年後は八、は甘えなんだ」と“目からうろこ”、今の年相応のポジションにもぴったり当てはまったそうだ。
 
「フェスティバルホールは本当に、日本が世界に自信を持って誇れる、芸術に関して世界と同じ土俵で勝負ができる場所。縁あって、これからフェスティバルホールがフェスティバルホールになっていく姿、プロセスに立ち会えることが本当にうれしい」と、その舞台に立つことを楽しみにしている様子。関西で数々の“名勝負”を繰り広げてきた立川談春、このツアー開幕2番勝負も見逃す手はない!
 



【プロフィール】
川談春

たてかわだんしゅん●1966年生まれ、東京都出身。1984年に立川談志に入門。1988年に二つ目、そして1998年に真打ちに昇進した。鋭い眼光で迫り来るかと思いきや、情感豊かに涙を誘うなど、緩急自在の落語は実に聴き応えあり。2008年末、一時閉館間際のフェスティバルホールにて独演会を開催。関西に一躍その名を知らしめることとなった渾身の「芝浜」で満員の観客を黙らせ、唸らせ、大いに喜ばせた。2012年は大阪、神戸で月1回の独演会を開催。そして2013年にはリニューアルオープンした新生フェスティバルホールで兄弟子の立川志の輔との落語会を開き、成功裏に収めた。2008年には師匠への思いを切々と綴ったエッセイ『赤めだか』(扶桑社)を上梓。同年、第24回講談社エッセイ賞を受賞した。

(2014年5月24日更新)


Check

談春 大阪二夜
立川談春 三十周年記念落語会
『もとのその一』inフェスティバルホール

発売中 Pコード:434-474

▼5月31日(土) 15:00 「らくだ」「除夜の雪」
▼6月1日(日) 15:00  「たちきり」他
フェスティバルホール
S席-4860円 A席-3240円
[出演]立川談春
※未就学児童は入場不可。

[問]キョードーインフォメーション
[TEL]06-7732-8888(10:00~19:00)

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