ホーム > NEWS > 渡辺謙、三谷幸喜の新作コメディで 12年ぶりに舞台に立つ! 舞台『ホロヴィッツとの対話』 東京公演をレポート!
三谷幸喜の作・演出による舞台『ホロヴィッツとの対話』が、東京・渋谷のPARCO劇場にて上演中だ。12年ぶりの舞台出演となる渡辺謙、初舞台を踏む和久井映見など注目のキャストが揃った本作は、三谷が芸術家に焦点を当てて描いてきた舞台『コンフィダント・絆』(07年)、『国民の映画』(11年)に続くシリーズの第三弾。天才ピアニスト、ウラディミール・ホロヴィッツと彼の専属調律師であったフランツ・モアとの間に起きた実話エピソードをもとに綴る、大人の笑いがふんだんに盛り込まれた人間ドラマである。二人の関係をホロヴィッツの妻ワンダ(高泉淳子)とフランツの妻エリザベス(和久井)を介してにぎにぎしく軽やかに描くなかで、神に選ばれた天才ホロヴィッツ(段田安則)と神に雇われた職人フランツ(渡辺)の互いへ向けた深い敬意と信頼が浮き彫りにされる、三谷流ユーモア&ペーソス満載のウェルメイド・コメディだ。
物語は、フランツとエリザベスがホロヴィッツ夫妻をディナーに招いたある一夜に展開する。“天才”が初めて我が家を訪れることに興奮し、また天才ならではの傍若無人ぶりに憤慨するエリザベスを、和久井が持ち前の演技力で生き生きと表現。くるくると変化するチャーミングな表情に引きつけられる。歩くだけで笑いを誘う見事なホロヴィッツ像を作り上げたのは段田安則だ。その愛らしい姿は、天才たる所以の傲慢さや神経質な行動も苦笑いで許してしまうほど。幼児のような無邪気なふるまいと鋭利な才能がのぞく強い視線、そのギャップが巧い! さらに高泉が、ホロヴィッツの怪人ぶりを上回る豪快な妻を演じ、規格外の個性を発揮。段田との息の合った掛け合いが会場中の笑いを引き出していた。自由にはじけまくる3人の濃厚な魅力を、実直な職人気質をただよわせた渡辺演じるフランツがしっかりと受け止めて、物語は愉快にテンポよく転がっていく。しかし終盤、それぞれの人生の痛みが感情とともにこぼれ落ちる場面にさしかかると、渡辺の放つ静かな熱が確かな存在感となって舞台空間を圧倒する。天才を支え続けてきた人間が持つ充足と悲哀、その複雑な心情に胸を揺さぶられる瞬間だ。
シリーズ全作に音楽で関わってきたピアニストの荻野清子が、“音”の出演者として劇中の要所要所で活躍するのも小粋な味わい。滑稽なやりとりで笑わせながら、二組の夫婦の在り方をリアルに納得させるのはやはり役者の力だろう。三谷が会心の笑みをもらす最高の顔合わせ、4人の役者が奏でる音の妙味は絶品。これを見逃しちゃもったいない!
(取材・文 上野紀子)
(2013年3月 5日更新)
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Pコード:424-915
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シアターBRAVA!
S席-9950円
A席-8500円
[作][演出]三谷幸喜
[出演]渡辺謙/段田安則/和久井映見/高泉淳子
※未就学児童は入場不可。
[問]キョードーインフォメーション
[TEL]06-7732-8888