『MINAMI WHEEL 2015』の出演者の中から
独断と偏見と愛をもってススめる
大好評ミナホ“推しメン”5周年企画・第8弾は
ぴあ関西版WEB音楽担当 奥“ボウイ”昌史のイチオシ

　大阪ミナミのライブハウス20ヵ所以上を舞台に繰り広げられる、関西音楽シーンの秋の名物イベント『MINAMI WHEEL』。パス1枚で1日ライブ見放題のスタイルで、400 組以上が出演するこの巨大イベント。そこで、ぴあ関西版WEBでは、毎年大好評のカウントダウン企画として、関係各者が選んだオススメアーティストをピックアップする『MINAMI WHEEL 2015 “俺の推しメン” 5th Anniversary』を実施！　そう、今年で5周年なんです!!　第8回目にして今年もラストを飾るのは、顔面同様濃いインタビューでアーティストの深層心理に迫る、当ぴあ関西版WEB音楽担当 奥“ボウイ昌史”がレコメンド!!

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　この1年、本当にいろいろありました。骨折したり、入院したり、手術したり、Facebook始めたり、インスタ始めたり、髭が生えたり、ワイハに行ったり、占い師にすごいこと言われたり、歳をとったり、生まれて初めて靴を洗濯機で洗ってみたり…でも、人生に何があっても、何に一度の“俺の推しメン”はやってくるんです。最近では「“俺の推しメン”に載ってた！」、もしくは「何で俺たちを載せてくれないんですか！」「俺にも“推しメン”をやらせて欲しい！」「“推しメン”を始めて、何だか身体が軽くなった」「“推しメン”したら久々に会った同級生から、“キレイになったね”なんて言われて…」 「1日たった30分“推しメン”するだけで、月額30万稼げるメソッド」などなど…地道に5年もやってると、いろんな方に認知されてきたようで本当に嬉しいです。

　毎年、ミナホ前はむちゃ忙しいんですが今年も例に漏れず、「何でみんな10月にばっかライブやんねん！　アホか！」と心の奥に潜む(奥ボウイだけに)DEVILがささやくほど、追われに追われて会議室のテーブルの上で両手を広げて仮眠するほど、わらをも掴む想いでした。ウォシュレットがあるのに作動しなかったときと同じくらい、裏切りと絶望の日々でした。だから、毎年全アーティストの音を試聴してから選ぶというストイックな行為にいそしんでいたはずの私が、今年はまさかの試聴Nothing’s Carved In Stoneです。なので、せめてもの償いにミナホHPのアーティスト一覧の写真を見て気になるやつをググりました。ただ、その写真がなぜかジャッキー・チェン初期作のオープニングのように人が縦長に見えるので、正しい判断が出来ていたかは分かりません。予めご了承ください。

　そんな初日は、小林太郎から始めたい。この人マジすごいから観てください。早くして注目された男ですが、今でも本物だと確信してます。そして名前が気になって聴いてみたらよかったのが、とけた電球。平均年齢20歳。やっぱり名前にセンスを感じるアーティストは音もアタリ！　藤原さくらとかみぬまゆうたろうも間違いないです。ここ1年で音を聴いて衝撃を受けた才能です。あ～こんな人たちが売れる世の中なら楽しいな～やり甲斐あるな～。歌い始めて10秒以内にそれを分からせる人たちです。チラ見でもいいから覗いて欲しいですね。あと、僕も関わっている音エモン主催の『LIVE BURGER next』に出てくれたFABLED NUMBERもモハメドもイイからな～。この夏の『見放題』で観てやっぱこの人の世界観好き！と思ったJELLYFiSH FLOWER'S、取材後にポロッと言ったひと言でいきなりスパーク、音から感じる表面的な情報より全然奥が深いのを知ったSuck a Stew Dryとジョゼにも会いたい。ていうか呑みたい。儚く切ないけど芯があって不器用な生き様が好きな“ちーさま”こと(勝手に呼んでる)見田村千晴もイイですよ。声ズルいわ～絶対天然やわ～。声がズルいと言えばLAMP IN TERREN。先日の大阪でのライブが凄まじく良く(満身創痍だったらしいですが)、これは想像以上に大バケするかも。LAGOONも興味本位で観たいソニー損保。そして、The denkibranやsoratobiwoと普段は裏方もしてる関西のバンドも出ますが、この2組に共通する何やかんや言って諦めてない感が好きなんで、その炎が消えないようここに名前を出しておきます。夢見せてくれ。

　2日目は、shimmerから始めたい。オーディションで出会った彼らですが、久々に観て成長してたな～ちゃんと鳥肌立ったもん。鳥肌は自分すら誤魔化せないレーダーですから。洋邦を行き来出来る若き才能です。NECOKICKSの人なつっこさとタフさも好きだし、忘れらんねえよは今が最強なんで、一度観たことがある人も改めて観て欲しい。笑えて泣ける『犬にしてくれ』は今年よく聴いたな～。あと、ガールズバンドのSEKIRARAのちっちゃさとキャッチーさスゴいです。ワシワシしたくなる愛くるしさと今後の可能性は買いです。でね、林青空。この子持ってますよ。声の貫通力とメロディセンスは光るものがあります。数値化出来ない“予感”という期待をしっかり感じさせるアーティストです。おかもとえみ(ex.ＴＨＥラブ人間)も、ソロ音源聴いて納得しました。そらソロやるわと。謎の色気もイイですね。単独のライブは初めて観るので楽しみ。あとは、これぞ“歌モノ”のお手本ヒラオコジョー・ザ・グループ・サウンズとか。もうね、ド変態プラ板シンガーソングライター浜田一平と彼の新しい友達とか、同じジャック・デュラン使いのuchuu,曲エモい超イイとか、『東京流星群』やってくれるか毎回ソワソワする大好きSUPER BEAVERとか、音クールかつ夜走りで東京帰るのに打ち上げ最後まで出る人柄を兼ね備えた1000sayとかは、毎年のように推してるんで当然観てください。

　最終日。書いてこれだけ疲れてるということは、当日はもう「奥さん、ちょっと髭伸びたね」と言われるくらい消耗してるはずです。何だろう、すごい疲れてきた。この原稿を書いているのが前日の23:30だからかな。知らず知らずに焦っているのかな。そんな風に揺れて揺れて今心が何も信じられないままこっくりさん的にタイムテーブルで目に入ったのが、関取花。関西圏では神戸女子大のCMソングでおなじみの彼女の、噺家のように流暢なMCとグッと引き込まれる歌声のギャップ。惹かれます。いつか国民的名曲を書きそうな気がする。どこか懐かしい感じもします。大学時代の彼女にちょっと似てるからでしょうか。元気かな？　ひどい別れ方したな。ごめんね。ノスタルジックな気持ちになったところで、目が覚めるように鮮やかなポップソングを聴かせるビッケブランカをオススメ。彼がすんごいよく分かるインタビューを読んでみてください。そして、この日の大本命、ROTH BART BARON。こんな人たちが日本にいるんですよ。誇りですよ。神々しいほどの歌声と大胆かつ緻密に練られたサウンドスケープとそのスケール…。音楽好きのコアなリスナー以外にもちゃんと支持されて欲しい逸材です。サポートメンバーを含めた人間性も大信頼。絶対に観てください。

　ざっと触れてきましたが、もちろんカバーし切れてない部分もあります。だから俺を知る全てのバンドマン、シンガーソングライターの皆さま、「今年の“推しメン”で奥さんにエア推しされてさ、まいっちゃったよ」と公言してもらって結構です。それでは週末、ミナミでお会いしましょう。


追伸
1年前のとあること、したためてます。よかったらこちらも。

（2015年10月 9日更新）