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ホーム > NEWS > 『MINAMI WHEEL 2013』の出演者の中から 独断と偏見と愛をもってススめる 帰ってきたミナホ“推しメン”企画・第2弾は ライター鈴木淳史さんからの熱いレコメン!

『MINAMI WHEEL 2013』の出演者の中から
独断と偏見と愛をもってススめる
帰ってきたミナホ“推しメン”企画・第2弾は
ライター鈴木淳史さんからの熱いレコメン!

 大阪ミナミ一帯のライブハウス20ヵ所以上を舞台に繰り広げられる、関西音楽シーンの秋の名物イベント『MINAMI WHEEL』。パス1枚で1日ライブ見放題のスタイルで、これからの音楽シーンを担う注目新人を中心に、今年は初の3連休に開催ということもあって過去最大の400 組以上が出演する(!)同イベント。そこで、ぴあ関西版WEBでは、毎年好評のカウントダウン企画として、関係各者が選んだオススメアーティストをピックアップする『MINAMI WHEEL 2013 帰ってきた“俺の推しメン” 』を今年も実施! 第2回目は、音楽からお笑いまで、時にはイベントも開催と幅広く活躍する、ライター・鈴木淳史さんがレコメンド!

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 今年で3度目となる、この原稿。一昨年は4組、去年は遂に3組となり、今年はまさかの2組かと思いましたが、3組からでお願いされているので、一昨年と去年紹介させて頂いた7組以外の3組を今年も紹介させて頂きます。

 まずは、ゾンビちゃん。何ちゅう名前やねんと思いましたが、下北沢の問題児と呼ばれる18歳の女子シンガーソングライターなんですよ。下北の名門インディーレーベル、UKプロジェクトが送り込んできた新人ですが、下北のヴィレッジバンガードでは店頭に“全国的にはあまちゃんですが、下北的にはゾンビちゃんがオモシロイです!!!”とドデカいポップが飾られております。しか~し、某音楽雑誌の某氏のレビューでは、“この方向で行くなら、いろいろ勉強不足”と一刀両断されております。私、これには“プッチーン!!”ときました。我々の職業、言葉で人を殺せるということを自覚しておかねばなりません。もちろん、好き嫌いはあっても仕方ない。あるからこそ、嫌いであれば書かなければエエのです。なので、僕なんかは毎回数を絞って紹介するという方法を取っています。だって、ちょうちん記事を書いても仕方ありませんから。

 ちなみに僕は、『すーさいどへる』のPVで一瞬にしてファンになりました。アコギをかき鳴らし、緩やかに“世界の終わりが見てみたい”と甲高い声で歌うんですよ。一見、素っ頓狂さもあるのですが、とにかく鷲摑みにされる。それは何なんだろうと考えると、とにかく彼女はあざとくない。よくアコギで若い女子が何か歌い出すと、たまに臭みを感じるんですよね。嘘っぱちを歌っていたり、エキセントリック少女ガールを演出していたり、でも彼女は思ったことを素直に、そのまんま何の装飾もなしにぶつけてきている。だから弾き語りだけでなく、バンド演奏でのパンクチューンもあれば、愉快なテクノもあるんですよね。思うがままの自由自在…それが心地よいし、何かキュンキュンとくるんです。

 1stミニアルバムのラストナンバー『世界滅亡』では、北朝鮮や原発という言葉も出てきて“世界はいつも不安定で それで安定”と歌うんですね。前述の某誌は“反体制なだけで実は何も言ってない歌詞”と切り捨てていますが、僕は“戦争にはちょっと反対さ”と過剰にならず身の丈に合った表現をした下北沢の重鎮を思い出したんです(後ほど紹介する、そう、あの人です)。便利なツールが溢れ過ぎて、情報量も尋常じゃない世界で、彼女は至って自分のペースで揺ぎない感情を吐き出すだけ。さっきも言いましたが、あざとさがないから、信用出来る。これね、ゾンビちゃんに対して3度目くらいに書くセリフですが、本当のことなので再度書いておきますね。僕はすごく好きです。

 2組目は、北海道出身の爆弾ジョニー。今年3月に初めてKYOTO MUSEで、彼らのライブを観ました。今年知った新人バンドでぶっちぎりのナンバーワンだと思いますし、3月のその日もライブを観て、ぶっ飛びました。とにかく、彼らは19歳や20歳といった若さなのに堂々としている。何にも恐れてないし、動じてない。でも、ふてぶてしいわけでもなく、愛嬌はある。まぁ、前述のゾンビちゃんとも共通していますが、我が道を自由自在に行っているというか。ギターのキョースケはギュインギュイン鳴らし、ドラムのタイチは上半身裸で立ちながらドカドカ叩き、鍵盤のロマンチック☆安田は足を上げてビューインビューイン弾き、ベースの小堀くんは長髪を揺らしながらブンブン唸らしている。まるで幼稚園児みたいな表現をしましたが、彼らには小難しい表現はいらないし、それぞれが好き勝手にやっているのに、1つの和になっていてかっこいいんですよね。そこにボーカルのりょーめーが登場するんですが、彼はロックンロールを自由自在に操ってきた伝説のカリスマヒーローたちを思い出す。奇抜な色の髪に、奇抜な色の服…圧倒的なオリジナリティを今の時代においては感じてしまう。

 5人が繰り出す音楽が怒涛のように押し寄せてきて、気が付いたら一緒に歌っちゃう…。曲間に『雨上がりの夜空』が歌われ、客席からはステージより投げ込まれたクラッカーが鳴らされたりもする。何というのか…日本語ロックの歴史を感じさせてくれるんですよね。ちゃんとルーツがあってレールに乗っかっていて、でも、観たことのない列車を走らせる…だから、観ている僕らは夢中になってしまう。ブルースもファンクもポップスもロックンロールも全部呑み込んだ、彼らが吐き出す音楽…やっぱりバンドは最高なんだよって、いつもライブを観たら思っちゃう。カッコつけないバカな音楽…たまにステージ上でメンバーの不和も見えたりするけど、それも含めて爆弾ジョニー。危うささえ、堪らない魅力に映る。とにかく、カッコいいんです。

 さぁさぁ、熱く新人2組を語った後は、まさかの曽我部恵一師匠。まさかのっていうのは、何でかと言うと『MINAMI WHEEL』って新人発掘の青田買いみたいなイメージもあるイベントなんですよね。だから、『5upよしもと』(吉本若手の劇場)に、カウスボタン師匠が出てくるみたいな…。まぁ、これは上手いのか下手なのか、よう分からない表現になりましたが…。

 てか、サニーデイ・サービスとしては'93年にインディーデビューしているんですね、曽我部さんは。’00年に解散しましたが、’08年に再結成しております。渋谷系やロックンロールサウンドではなく、70年代のフォークを基調に極上のポピュラリティロックを表現したのが、サニーデイだと思っております。でも、大爆発的に売れたバンドではないんですよね。毎回アルバムを出せばオリコン10位以内に入るようになっていたし、売り上げだって10~15万枚はあったはずです。今のCDが売れない時代なら、大ヒットの枚数。

 解散後、曽我部さんは’01年にシングル『ギター』で復活するわけですが、ここから個人的には曽我部恵一という人間が大爆発していく感じがするのです。優しいメロディで鳴らされる曲ですが、娘の名前を出したり、“戦争にはちょっと反対さ”などという感情も描かれる。物語の様式美があったサニーデイとは全く違うスタイルに、驚くファンも多かったようですが、その人間臭さが僕には堪らなかったのです。曽我部恵一バンドというスタイルでは、いわゆるロックンロールな音源やライブも見せていくんですね。個人でもギター1本持って、全国各地どこへでも飛んでいっちゃう。

 11月1日(水)発表の曽我部恵一名義でのアルバム『超越的漫画』をひと足先に聴かせてもらったんです。タイトルからして、何なのよ!?という興奮を覚えちゃいましたね。楽曲も『うみちゃん、でかけようよ』や『そがべさんちのカレーライス』など生活を匂わせたり、世間を辛らつに斜めから観察した『ひとり』や『バカばっかり』などがロック要素やファンク要素やフォーク要素…いろいろな視点から歌われます。43歳曽我部恵一の集大成…そんなアルバム。

 でも、この人は休むことを知らない人だから、引き続き大量生産していくだろうし、引き続き極上の音楽を聴かせてくれると思っております。下北沢にレーベル兼事務所を構え、下北沢でも普通に見かける曽我部さん。街の匂い、生活の匂い…だからこそ彼の音楽には常に惹きつけられるのです。




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ライター / インタビュアー 鈴木淳史
Twitter: @suzudama13


夏の野外イベント『OTODAMA~音泉魂~』の勝手に後夜祭(!?)『SUZUDAMA~鈴木魂~』という主催イベントが、今年で5年目を迎えます。『SUZUDAMA’13~浪花熱筆編~ -MINAMI WHEEL EDITION-』…今回は何と『MINAMI WHEEL』の関連祭! 10月25日(金)19:00から梅田Shangri-La で、DOBERMANとザ50回転ズの一騎打ちを、見届人にセックスマシーンを迎えて催します!! 実母の鈴木オカン玲子(66)と僕(35)の親子は、“おもてなし”という前説をさせて頂きますので、どうぞ皆さまいらしてください!!

(2013年10月 4日更新)


Check
ゾンビちゃん●10/12(土)17:15~北堀江club vijon
爆弾ジョニー●10/13(日)15:00~BIGCAT
曽我部恵一●10/12(土)19:15~心斎橋JANUS

MINAMI WHEEL 2013
帰ってきた“オレの推しメン!”特設サイト

他のセレクターも続々登場! 出演者やタイムテーブル
お得情報に関連イベントetcはこちらをチェック!!

https://kansai.pia.co.jp/special/minamiwheel2013/


Live

『MINAMI WHEEL 2013』

チケット発売中 Pコード206-861(1日券)
▼10月12日(土)~14日(月・祝)14:00
ミナミ・ライブハウス各所
土曜日券3500円 日曜日券3500円 
月曜日券3500円 ※3日通し券はSold Out!!
【お問合せ】FM802 リスナーセンター info@funky802.com
※6歳以上は有料。出演者、会場、開演時間は変更となる場合があります。

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