レイ・ハラカミ41歳の“お誕生会”
「広い世界」が京都METROにて開催

  今年７月に逝去したレイ・ハラカミ。彼と交流のあった音楽家たちが集う“お誕生会”「広い世界」が、12月10日（日）京都METROにて開催される。この出演者がなんとも豪華！

　アニメ「鉄腕アトム」の足音を作ったことで知られる音響デザイナー大野松雄が、映像作家の由良泰人とともにオープニングアクトを務めるほか、生前最後の音源となったユニット、U-zhaanｘrei harakamiを筆頭に、suzukiski、AUTORA、イルリメ、INNER SCIENCE、HARP ON MOUTH SEXTET、yabemilk、saitoneらがライブを行い、DJで原雅明、Satoshi Endo、mikirov、DJ iToy a.k.a.PsysExが参加する。
　このメンツを取りまとめたのが京都在住の音楽家、RUBYORLA。雅楽＋エレクトロニカの大所帯プロジェクトHARP ON MOUTH SEXTETを率いるほか、テノリオン（※1）演奏の国内第一人者であり、関西電子音楽シーンの重要人物である。同じ京都を拠点に活動するミュージシャンとして、ハラカミとは10年来の交流がある彼に、このパーティーについて話を聞いた。

　「ちょうど初七日のときに、こんなアイデアがあるって話したら、そこに集まっていたミュージシャン仲間も乗ってくれたので、すぐに企画は進みました。あと、本人も“ちょっと落ち着いたらメトロでパーティやりたい”って言っていたと聞いて、後押しされた感じです。ほかにも出演を熱望してくれたけどスケジュールが合わずに断念したアーティストも結構いますね。あまり湿っぽいものにはしたくなかったから、追悼イベントとか音楽フェスではなく、単なる“お誕生日会”。お誕生日会らしい楽しいパーティーになると思います」

　ちなみにこのパーティー直後の12月14日には、レイ・ハラカミと矢野顕子とのユニットyanokamiの新作『遠くは近い』もリリースされる（インスト盤も同時発売）。
「まだ完成していなかった音源も一部ありましたし、このアルバムが形になってよかったと思います。作業中にいくつか音源を聴きましたが本当に素晴らしい内容だったし。ほかにも、以前から彼は“アルバム３枚分くらいの楽曲はある”って言ってましたから。何らかの形で世に出せるといいんですけどね…。彼とは家も近かったので、しょっちゅう遊びに行ってCDやDVDや漫画の貸し借りをしたりする中２的な関係で（笑）、yanokamiに限らず発売前のものや未発表の音源などよく聞かせてもらってました」

　パーティーのタイトルである「広い世界」は、ハラカミの超初期カセット音源のタイトルなんだとか。「20歳そこそこのころの楽曲みたいなんですけど、その時点で彼の音楽性の柱は完成されてたと思いました」という。ちなみに誕生会ならではのサプライズ（これ…かなりすごいです！）もあるとのことで、単なるライブイベントとはまったく異なるスペシャルな内容になるだろう。
「夏以降、彼が出演するはずだったイベントでは、急に電源が落ちたり、録画していたビデオにハラカミさんそっくりの声が入っていたり、結構いたずらしに来てるんですよね、あの人。だから今回も何かあるかも知れません（笑）」。

　本当にフラっと現れて、明け方に「龍門」（※2）でラーメン食べてるハラカミさんに会えそうな、そんな楽しいパーティーになるだろう。彼の音楽を愛したすべての人が、そして何より、レイ・ハラカミ本人が喜びそうな盛りだくさんの一夜。今回は参加できなかったアーティスト（これまた豪華！）を集めた来年の企画も早くも進行中とのことだが、まずは12月10日、ぜひ多くの人たちでお祝いを！

 

 

 

（※1）YAMAHAとメディアアーティスト岩井俊雄によって共同開発された電子楽器。縦横それぞれ16、計256個のLEDボタンからなるインターフェイス。RUBYORLAは、2008年に東京国際展示場で行なわれたグッドデザインエキスポ2008のTENORI-ON THE LIVEのメインアクトを務めた他、各地のテノリオン公式イベントに出演。 2010年にはRUBYORLA PLAYS TENORI-ON名義でアルバム「16×16」をリリース。

 

（※2）会場のMETROに近く、朝まで営業していることから多くのミュージシャンにも人気の中華料理店。

（2011年11月21日更新）

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