2021年新春を彩る名手たちの響き
ジャパン・ヴィルトゥオーゾ・
シンフォニー・オーケストラ第9回兵庫公演
日本全国のプロ・オーケストラからコンサートマスターや首席奏者を中心に編成されたジャパン・ヴィルトゥオーゾ・シンフォニー・オーケストラ〔JVSO〕。その第9回となる兵庫公演「名手たちの交響楽団 ニューイヤーコンサート」が2021年1月4日(月)、兵庫県立芸術文化センターで開催される。作曲家・三枝成彰プロデュース、大友直人の指揮により、今回はコンサートマスター8名、首席奏者31名に副首席・次席を含む59名という編成でJVSOならではの輝かしい音色を届けてゆく。
新年の幕開けにふさわしく、第1曲目に置かれたのはヘンデルの水上の音楽(ハーティ版)。1717年、イギリス王ジョージ5世のテムズ川における舟遊びに際してヘンデルが作曲したとされる組曲で、オーボエやホルン、トランペット、フルートなどをまじえた管弦楽の響きが聴く者を晴れやかな気分へと誘う作品だ。続くモーツァルトのピアノ協奏曲第20番に迎えるのは、実力・人気ともに日本を代表するピアニスト、仲道郁代。この顔合わせによる第20番は、今回の大きな聴きどころとなることだろう。モーツァルトが遺した2曲の短調の協奏曲のひとつであり、デモーニッシュな迫力が横溢する作品。仲道の表現力とオーケストラの技巧が絡み合う、最高の燃焼度を持ったモーツァルトが期待できそうだ。そしてメインプログラムとなるのはベートーヴェンの交響曲第7番。全4楽章にリズムの生気が満ちる傑作である。1年に1度、全国の名手たちが一堂に集う喜びに溢れながら、2020年のベートーヴェン・イヤーを覆ったコロナの影を吹き飛ばすような快演を聴かせてくれるに違いない。
今年1月の第8回で、JVSOは兵庫県下の3つの合唱団で編成されたメモリアル合唱団を伴い、三枝成彰の作品『カンタータ〈天涯。〉(自由人の祈り)』を演奏。阪神淡路大震災から25年を経た兵庫の人々の心に寄り添った。その素晴らしい感動をひとつの記憶として、今回JVSOはその本来の魅力を訴求するべく古典派以前のプログラムに立ち返る。日本のオーケストラの最前線の輝きを、存分に味わってほしい。
(2020年12月11日更新)
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