NEWS

ホーム > NEWS >  木琴の魅力が際立つ優しい調べ 『アマリリス』のメロディとその変容で楽しむ 通崎睦美の『今、甦る!木琴デイズ』Vol.13


木琴の魅力が際立つ優しい調べ
『アマリリス』のメロディとその変容で楽しむ
通崎睦美の『今、甦る!木琴デイズ』Vol.13

戦前から戦後にかけて活躍した木琴演奏の第一人者、平岡養一(1907~81)。その足跡をたどる通崎睦美のコンサートシリーズ『今、甦る!木琴デイズ』Vol.13が10月27日(火)、京都文化博物館別館ホールで開催される。今回のテーマは音楽の教科書や「NHKみんなのうた」でもおなじみのあの『アマリリス』(作曲:H.ギース)。フランス民謡として紹介され、ひと頃はルイ13世作曲とも伝えられていたこの作品は、平岡養一の生涯にわたる愛奏曲でもあった。
 
平岡の最も古い『アマリリス』の録音は1929年のもの。最初の渡米を前にポリドールに録音したSP盤(1931年1月新譜)音源は、今ではYoutubeなどで聴くことができる。録音の古さを超えて伝わってくるのはその演奏の瑞々しさと、『アマリリス』という曲が際立たせる木琴の音色の魅力だ。そして2005年に平岡の楽器(※①)を受け継いで木琴奏者としての活動を始めた通崎睦美が、そのレパートリー開拓のために立ち上げたのが「アマリリス・プロジェクト」である。これはさまざまな作曲家に『アマリリス』を題材とする木琴のための作品を委嘱するもので、今までに8曲が生まれている。今回はこの中から3曲と新作2曲、さらに平岡養一版と平岡版ギター伴奏バージョンを加えた計7曲を散りばめながら、木琴ならではの味わいに満ちた作品の数々を披露する。
 
通崎睦美が2007年にリリースした『1935』というCDがある。それまでマリンバ奏者として活動していた彼女が初めて平岡の木琴を使って録音した、いわば木琴奏者宣言のようなCDだが、その冒頭には早くも『アマリリス』(編曲:松園洋二)が置かれていて興味深い。新旧の木琴奏者は、ともに楽器の魅力を活かし切る響きをこの曲に見て取ったのかも知れない。コンサートではあの愛らしいメロディの変容に耳を傾けながら、そんな音楽と楽器の幸福な関係を楽しむことができそうだ。なお、新型コロナウィルス感染防止対策として、今回は休憩なしの60分4回公演。マンドリンとギターを迎えた「アマリリスを囲む時間」とピアノとのデュオによる「アマリリスのある風景」の2つのプログラムで贈る。2つとも聴く(観る)のだ、という人はこちらからどうぞ。

200x200_P2_G5933156W.JPG
『1935』 ALM RECORDS
2007年8月7日発売 2,800円(+税)
木琴:通崎睦美
オーケストラ:京都フィルハーモニー室内合奏団
 
タイトルは平岡養一の楽器の製造年から。木琴に新たな可能性を見出した演奏家の喜びがパッケージされた作品だ。『アマリリス』の変容は2014年のCD『スパイと踊り子』でも楽しめる。他にも聴きどころ多数。会場ほかでお求めを。

(※①)ディーガン・アーティスト・スペシャル・ザイロフォンNo.266
(1935年、1962年改造/ディーガン社 アメリカ)



(2020年10月 8日更新)


Check

通崎睦美コンサート
今、甦る!木琴デイズ vol.13
「アマリリスのある風景」

●10月27日(火)
京都文化博物館別館ホール
全自由席-2500円
Pコード 188-078 チケット発売中

Aプログラム【アマリリスを囲む時間】
 ゲスト:柴田高明(マンドリン) 
    :永田参男(ギター)

踊子の紅い花~木琴と奏者の声のための~ 伊左治直(初演)
「ピアノの本」より 林光
チャールダシュ モンティ / 藤井敬吾編
ユーカリ ヴァイル / 永田参男編
アマリリス ギース / 永田参男編
庭の千草 アイルランド民謡 / 野田雅巳編
舞踏の夢 アルトホッフ
快適な生活のためのバラード ヴァイル / 野田雅巳編
グランド電柱 林光 / 野田雅巳編
バレエ ~「小組曲」より ドビュッシー / 野田雅巳編

Bプログラム【アマリリスのある風景】
 ゲスト:松園洋二(ピアノ)   

チャールダシュ モンティ
ルイ13 世の歌とパヴァーヌ クライスラー
アマリリス 当摩泰久
アマリリス ギース / 平岡養一編
アマリリス ギース / 野田雅巳編
アマリリス・ラプソディ 池上敏(初演)
スペイン舞曲 第1番 モシュコフスキー
金髪のジェニー フォスター / 松園洋二編
歌劇「椿姫」より ヴェルディ/ 松園洋二編
鐘になったアマリリス 松園洋二  他

第1回公演 Aプログラム 12:40 開場 13:00 開演
第2回公演 Bプログラム 14:40 開場 15:00 開演
第3回公演 Aプログラム 16:40 開場 17:00 開演
第4回公演 Bプログラム 18:40 開場 19:00 開演
※各回140 席限定

 企画・主催:通崎睦美 
【問い合わせ】otonowa 075-252-8255

チケット情報はこちら