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大阪交響楽団と充実の共演を重ねる
若きマエストロ、川瀬賢太郎。
楽劇『ばらの騎士』よりハイライト・シーンを振る!

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 大阪交響楽団には2012年に初登場、以来充実した共演を重ねて来た指揮者・川瀬賢太郎。現在は神奈川フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者、名古屋フィルハーモニー交響楽団指揮者も務める彼が、7月20日(金)に行われる第220回定期演奏会でR.シュトラウスの楽劇『ばらの騎士』を振る。といっても今回は「組曲」ではなく、登場人物であるマルシャリン(元帥夫人)とオクタヴィアン、ゾフィーの3人を中心に、川瀬が自ら選び抜いたハイライト・シーンを演奏するというもの。マルシャリンを関西二期会より木澤佐江子、オクタヴィアンとゾフィーには同じく上村智恵と北野加織、ファーニナルを黒田まさきがそれぞれ歌う。(写真左:大阪交響楽団(C)飯島隆)
 
 楽劇『ばらの騎士』は1911年の初演以来、オペラ作曲家としてのR.シュトラウスの最高作として位置づけられて来た作品である。18世紀、マリア・テレジア治世下の貴族階級を舞台に、元帥夫人とその若い愛人であるオクタヴィアン、好色なオックス男爵と彼に求婚されるゾフィーの4人を中心とした愛のドラマが描かれる。R.シュトラウス(台本はホフマンスタール)独特の流麗な展開の中に、移ろい行く時のほろ苦さが巧みに溶かし込まれ、物語の最後で愛し合うようになったオクタヴィアンとゾフィーの姿を前に、毅然として身を引く元帥夫人の姿が美しい。川瀬はこのオペラから5つの部分を巧みに抜粋、物語冒頭のマルシャリンとオクタヴィアンがベッドの中で交し合う甘美な二重唱から、さまざまな思いの交錯する終幕の三重唱までを魅力溢れる音楽のドラマに仕上げている。
 

 「こんなに美しい『Yes』が出てくるオペラは、ばらの騎士の元帥夫人が言う、Ja Jaとフィガロの結婚で伯爵夫人が言うe dico di si しか僕は知らない」。川瀬賢太郎は、大阪交響楽団HP 第220回定期演奏会「シェフからのメッセージ」にそのように書いている。ぜひ、全文をご一読の上、彼のこのオペラに寄せる思いの丈を感じ取ってほしい。前半にはモーツァルトのセレナード第9番『ポストホルン・セレナード』の交響曲稿を。2006年、東京国際音楽コンクールに入賞(1位なしの2位)した川瀬が、翌年のデビュー・コンサートで指揮した1曲である。1984年生まれの若きマエストロ、川瀬賢太郎。その真価を伝える充実の演奏会だ。

■『ばらの騎士』は人と音楽が
完全に一体となったオペラだと思いますー川瀬賢太郎
 

DSC_0837-200.jpg この『ばらの騎士』は、とにかくその美しさで僕を魅了し続けているオペラです。しかも作曲家も台本を書いたのも男性なのに、なんでこんなに女心を描くのがうまいんだろう、と思うんです。この作品に触れる時、もちろん僕は音楽を学んでいる、オペラを見ているという事実はあるんだけど、同時に女心を学んでいるみたいな部分があるわけです。僕はどうしても男だから。もちろんオペラだから言葉はあるんですが、言葉では決して言い表せない心の「移ろい」としか呼びようのないものが、すべてオーケストラのハーモニーで表現されている。その意味でこの作品は、人と音楽が完全に一体となったオペラだと思います。例えば「好き」って言う言葉はあるし「大好き」っていう言葉もあるけど、「好き」から「大好き」を結ぶ線の上にある言葉ってないじゃないですか。だけどそこには無数の言葉にできない感情があって、R.シュトラウスはそれを音楽で描いているんです。

 
 『ばらの騎士』はほぼ1日の出来事です。オペラって舞台の上で起こることの前や後にも物語があって、登場人物たちのバックボーンをイメージすることで、その世界が広がっていきます。僕はまだ、そこに描かれていることを表現するのに精一杯ですが、それでも知れば知るほどその世界は奥が深くて、これからも色々な作品を手がけていければと思っています。今の僕がこの『ばらの騎士』に思うことは、このオペラはマルシャリンの成長の物語だということ。第1幕の独唱では彼女の中にまだ迷いとしてあったものが、最後の最後に彼女の心に深く落ちていきます。その最後の言葉「Ja,Ja(そうですわね)」に至る彼女の成長の物語だと考えています。今回はその部分も歌っていただきますが、それが肯定の言葉なのか、あきらめの言葉なのかは、木澤さんにおまかせしたいと思います。



(2018年6月29日更新)


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【指揮】川瀬賢太郎(C)Yoshinori Kurosawa

  大阪交響楽団 〈第220回定期演奏会〉


【元帥夫人】木澤佐江子        【オクタヴィアン】上村智恵


【ゾフィー】北野加織         【ファーニナル】黒田まさき

●7月20日(金)19:00
ザ・シンフォニーホール
S席-6500円 A席-5500円 B席-4000円 
C席-2500円 オルガン席-2000円
チケット発売中 Pコード 101-580

【プログラム】
モーツァルト:交響曲 ニ長調 K.320
(セレナード 第9番『ポストホルン』の交響曲稿)
R.シュトラウス:楽劇「ばらの騎士」より、抜粋

【問い合わせ】
大阪交響楽団■072-226-5522