モントリオール国際音楽コンクール第1位
20歳を迎えたヴァイオリニスト辻彩奈が、
ザ・シンフォニーホールにリサイタル・デビュー!!
2016年、モントリオール国際音楽コンクールに優勝を果したヴァイオリニストの辻彩奈。すでに各方面から注目を集めている彼女の関西では初めてとなるソロリサイタルが4月22日(日)、ザ・シンフォニーホールで行われる。岐阜県出身。2013年第82回日本音楽コンクールヴァイオリン部門第2位、2015年、第11回ソウル国際音楽コンクール第2位など、国内外のコンクールで高い評価を収めてきた彼女がモントリオールを制したのは18歳の時。併せて5つの特別賞を受賞するなど、完全優勝と呼ぶにふさわしい快挙を果している。
「勝ちたいって一番強く思った人が勝つんだと思いました。そう思うことで初めて自分が持っている以上の力が出せるんだって」。リサイタルに先駆けて大阪を訪れた辻彩奈は、モントリオールでの優勝をそう振り返る。喜びも悔しさも全部顔に出る。そんな若さに溢れた表情が好ましい。それ以前のコンクールでは、ファイナルに進出しながら、1位優勝を果せない経験が続いた。弾き続けたのは一番好きだと言うシベリウスのコンチェルト。これで1位を獲れなかったら当分シベリウスは弾かない。モントリオールのファイナルにはそんな気持ちで臨んだと言う。「でも、それだけではなくて」。先ほどの強い気持ちの表現に、少しはにかんだように辻彩奈は続ける。「モントリオールを経験して気づいたのは、聴いている人にどれだけ私の演奏を“もう一度聴きたい”って思っていただけるかということでした。以前のコンクールではどうしても上に行きたくて、技術的な部分にばかり目が行っていたように思います。でも、私の音をもう一度聴いてもらおうと思ったら、どれだけ音楽的に私の感情を表現できるか、ということ。そのためには自分の中に、どれほどたくさんの感情を持つことができるかということが大事なんです」。そしていつか「この音は辻さんにしか出せない音だね」と言われる音楽家になりたい、と語る。
今回のリサイタルは彼女の言葉によれば「ヴァイオリンと言えば!の名曲集」。とは言え小品を散りばめつつ、前半にはベートーヴェンのソナタ第9番『クロイツェル』、後半にバッハの無伴奏パルティータ第2番より『シャコンヌ』、さらにサン=サーンスの序奏とロンド・カプリッチョーソを置いたプログラムは、現在の彼女を存分に表現する聴き応え十分な内容だ。昨年3月の東京デビュー・リサイタルと同じく、ピアノには常に共演者からの信頼厚い江口玲を迎える。これを機会に関西での公演が増えるといいですね、と話しかけると「楽しみ!食べ物がおいしいから」と満面の笑顔が浮かんだ。20歳の素顔が覗いた。
(2018年3月 9日更新)
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