NEWS

ホーム > NEWS > 西村朗、オーボエ協奏曲『四神』新作初演 いずみシンフォニエッタ大阪の「今」が詰まった 第40回定期演奏会「幻想と衝撃の夢体験」


西村朗、オーボエ協奏曲『四神』新作初演
いずみシンフォニエッタ大阪の「今」が詰まった
第40回定期演奏会「幻想と衝撃の夢体験」

  関西ゆかりの凄腕演奏家集団にしていずみホールのレジデント・オーケストラ、いずみシンフォニエッタ大阪〔ISO〕。その定期演奏会が2月10日(土)、第40回を迎える。近・現代音楽を主たるレパートリーとし、数多くの新作の初演も手がけてきたISOが、これまでの歴史に想いを馳せつつ、その本領を存分に発揮したユーモアと衝撃のプログラムを披露する。

DSC_0535_180.jpg 開幕を飾るのはISOプログラム・アドバイザーとして鬼才を発揮する川島素晴の編曲作品『ローマのいずみ』。オットリーノ・レスピーギの絢爛たる交響詩『ローマの噴水』を室内オーケストラ版に編み直すという大胆な試みだ。ひらがな表記の「いずみ」はもちろん、ホールと楽団名に因んだ川島流のユーモア。ローマは1日にして成らず、されど、すべての道はローマに通ず。近・現代音楽の演奏という茨の道を切り開くISOの40回を言祝ぐにふさわしい題名と言えるだろう。2016年「第20回バッハ国際コンクール」オルガン部門で日本人として初の第1位に輝いた冨田一樹〔写真左〕の参加も聴き逃せない。
 
 ISOは2000年7月、そのデビュー・コンサートで音楽監督・西村朗のオーボエ協奏曲『迦楼羅』を初演し注目を集めたが、その拡大版とも言えそうなのが今回初演される西村の新作、オーボエ協奏曲『四神』である。独奏は前回と同様トーマス・インデアミューレ。オーボエの表現領域を更新し続ける世界的巨匠とのコンビの再来だ。中国神話などに登場する四神―青竜、朱雀、白虎、玄武をオーボエ属の4つの楽器で表現するという極限的な演奏に挑む。因みに今回の公演タイトル「幻想と衝撃の夢体験」は西村の命名によるもの。神秘の響きと超絶技巧が織り成す世界に期待したい。
 
 そして本公演のフィナーレとなるのがアルゼンチン出身の現代作曲家マウリシオ・カーゲルのまさしく『フィナーレ』である。この作品については多言は要すまい。2001年2月、ISOの第1回定期演奏会で日本初演された、指揮者が最後に絶命するというあの『フィナーレ』である。テレビのバラエティ番組などに採り上げられ、とかくキワ物的に見られがちな作品ではあるが、作曲者カーゲルの思いに注ぐ指揮者、飯森範親のまなざしは限りなく真摯である。初演以来5回目の絶命を果たすマエストロの演技には迫真の勢いがこもり、観る者を圧倒するであろう。特に最前列の人、要注意。
 
  以上3曲。まさに「今」のISOが詰まった充実のプログラム。40回のありがとうに加えて、これからもよろしく!の勢いに溢れた現代音楽の最前線である。いずみシンフォニエッタ大阪は常に新しいのだ。

カーゲル・フィナーレ480.jpgカーゲル:フィナーレ 2001年2月15日 いずみシンフォニエッタ大阪第1回定期演奏会より。日本初演。



(2018年1月10日更新)


Check
        【音楽監督】西村朗(C)東京オペラシティ 撮影:大窪道治
【指揮】飯森範親(C)山岸伸         【オーボエ】トーマス・インデアミューレ

いずみシンフォニエッタ大阪《第40回定期演奏会》
「幻想と衝撃の夢体験」

~超人的オーボエ!インデアミューレを迎えて~

●2月10日(土)16:00開演(15:15開場)
15:30~ロビー・コンサート
15:45~プレトーク

いずみホール 一般-5000円(指定)
Pコード 343-563 チケット発売中

【プログラム】
レスピーギ:ローマのいずみ〔室内管弦楽版/川島素晴編〕
西村朗:オーボエ協奏曲『四神』(委嘱新作)
カーゲル:フィナーレ(1980/81)

【指揮】飯森範親
【オーボエ】トーマス・インデアミューレ

【問い合わせ】
いずみホールチケットセンター■06-6944-1188

チケット情報はこちら


■いずみシンフォニエッタ大阪・アーカイブプロジェクト

いずみホールが現在、最も力を入れているのが、いずみシンフォニエッタ大阪のアーカイブ・プロジェクト。演奏会を楽曲ごとに収録した映像・録音を、Youtubeを通じて配信する試みだ。2015年10月1日の配信以来、すでにアメリカ、ヨーロッパ、アジアの各国で視聴されており現・近代音楽に対する新たな取り組みとして各方面から注目を集めている。

いずみシンフォニエッタ大阪:Youtubeページへ