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ユーモアと共存する底知れない深さ
伊藤信宏企画・構成 レクチャーコンサート
三輪眞弘作品集「声のような音/音のような声」

 現代音楽の最前線を走る作曲家・三輪眞弘。その注目すべき作品を集めた演奏会が12月25日(日)、大阪のザ・フェニックスホールで開催される。三輪眞弘は1958年東京生まれ。国立ベルリン芸術大学で作曲をイサン・ユンに、および国立ロベルト・シューマン音楽大学でギュンター・ベッカーに学ぶ。1980年代からコンピュータを用いたアルゴリズミック・コンポジションと呼ばれる手法で数多くの作品を発表。1989年第10回入野賞第1位をはじめ、2004年芥川作曲賞、2007年プリ・アルスエレクトロニカ(ゴールデン・ニカ)、2010年芸術選奨文部科学大臣賞などを受賞している。一方で「人間の声」の再現に関心を寄せ、電気的な発信音に強度や速度を与えることで人工的な声の合成を行う「フォルマント合成」の手法(実在の人物の声をサンプリングする、初音ミクなど「ボーカロイド」とは根本的に発想が異なる)を追求。佐近田展康とのユニット「フォルマント兄弟」では、これを「兄弟式日本語鍵盤音素変換標準規格」として展開し、岡野勇仁によるキーボード演奏で「NEO都都逸」「せんだいドドンパ節」を、またMIDIアコーディオンを用いて「夢のワルツ」などの作品を発表している(現在は「兄弟式国際ボタン/音素変換標準規格 BBPTSI」まで開発が進められている)。

 架空の伝統芸能に基づく「ありえたかもしれない」音楽や、コンピュータ内部で行われる、一定の法則に基づく現象を現実世界で模倣する「逆シミュレーション音楽」など三輪眞弘の音楽には社会に対するペシミスティックなまなざしとともに、どこか人を喰ったようなおかしみが漂う。そのユーモアは「フォルマント兄弟」が創り出す「歌」に顕著だ。だが、その声が肉体も人格も持たない「音」の変形であることに思い至る時、聴く者はもう一度、三輪眞弘の創り出す世界の底知れない深さに戦慄するのである。




伊藤信宏企画・構成 レクチャーコンサート
三輪眞弘作品集「声のような音/音のような声」

●12月25日(日)16:00
あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール
指定席-3000円
チケット発売中 Pコード 305-197

【出演】
三輪眞弘(講師)
丸谷晶子(ソプラノ)
岡野勇仁(MIDIアコーディオン)
山名敏之(チェンバロ)
Orphe Choirs(合唱)
佐近田展康(フォルマント兄弟)
大阪大学「芸術計画論」受講者有志(キーボード)
【音響技術】
ウエヤマトモコ

【曲目】
三輪眞弘:
・言葉の影、またはアレルヤ
・合唱曲 新しい時代 The New Era
・ポップソング wach jetzt auf!
・再現芸術における幽霊、
 またはラジオとマルチチャンネル・スピーカーシステムのための
 新しい時代
・独唱曲「訪れよ、わが友よ」+「新しい時代」
・独唱曲「天使の秘密」
・フォルマント兄弟の「スターバト・マーテル」

【問い合わせ】
ザ・フェニックスホールチケットセンター■06-6363-7999

 

(2016年12月 9日更新)


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伊藤信宏企画・構成 レクチャーコンサート
三輪眞弘作品集「声のような音/音のような声」

    三輪眞弘〔講師/作曲・情報科学芸術大学院大学(IAMAS)教授〕


           伊東信宏〔聞き手/大阪大学教授
  あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール音楽アドヴァイザー〕


             丸谷晶子〔ソプラノ〕


          岡野勇仁〔MIDIアコーディオン〕


             山名敏之〔チェンバロ〕