大阪フィルハーモニー交響楽団指揮者、角田鋼亮
2015ショパンコンクールファイナリスト、
小林愛実共演「ソワレ・シンフォニーVol.8」
通常よりもやや遅めの19:30の開演。リーズナブルな3500円という料金など、仕事帰りに足を運び易い工夫が好評を得て順調に回を重ねる大阪フィル×ザ・シンフォニーホール「ソワレ・シンフォニー」。昨シーズンからは台頭目覚しい若手演奏家たちにスポットを当て、次々と新鮮な演奏を届けている。聴き易いだけではなく、聴き応えのある演奏会として注目のシリーズなのだ。10月21日(金)、そのソワレ・シンフォニーVol.8で大阪フィルを率いるのが角田鋼亮。今年4月、大阪フィルハーモニー交響楽団指揮者に就任した。
「大阪フィルが特別だと思うのは、楽団の皆さんが奏でる音の中に息遣いや表情、人間性までが垣間見える点。良い意味で個性的な“顔の見える”オーケストラなんです。大阪フィルにしか出せない色彩。そのことを常に感じます」。公演に先駆けてザ・シンフォニーホールを訪れた角田鋼亮はそのように語った。1980年生まれ。指揮者への夢は中学・高校時代、母校の学生オケの指揮を務めて以来だという。来日したクラウディオ・アバドとベルリン・フィルの演奏に感銘を受けた。「その後、留学先のベルリンで、アバドのリハーサルに触れる機会があり、彼のオーケストラへの接し方に非常に感動しました。決して高圧的にも要求過多にもならず、オーケストラと同じ目線で、実に暖かく音楽を導いていく。今日求められる指揮者像の理想形を見た思いがして、自分もそこに近づきたいな、と心がけているんです」と角田。言葉の端に誠実さが滲む。
2015年ショパン国際ピアノコンクールのファイナリスト、小林愛実との共演も、今回の「ソワレ」の話題のひとつ。ピアノ協奏曲第1番を演奏する。「小林さんは幼少の頃からお名前をうかがっていた方。共演できてうれしく思います。ピアニストの個性が全体の印象を決めることの多い曲ですが、そこに依存することなく、オーケストラもしっかりと音を出していきたい」と語る。ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」については「普遍的な力を持った名曲。大阪フィルの持っている深く厚い響きを基調としながら、緊張が弛緩しない、一筆書きのような力強い演奏を目指したいと思います。一方で細部にも注意を払いつつ、全体から音のグラデーションが聴こえてくるような演奏ができれば」と力を込めた。
(2016年9月30日更新)
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