藤岡幸夫×オーギュスタン・デュメイ
白熱のバルトーク!すべてが聴きどころの
関西フィルハーモニー管弦楽団 第278回定期演奏会
「指揮者オーギュスタン・デュメイの音楽というのは強烈な個性を持っている。破綻の無い演奏が歓迎されがちな現代にあって、彼の音楽についていくというのは大変なことなんだ。そんなデュメイとしっかりと向き合って、あれだけ完成度の高い演奏を聴かせることができるというのが、関西フィルの素晴らしいところだと思う」。オーギュスタン・デュメイと関西フィルの関係を、首席指揮者藤岡幸夫はそのように評する。秋を迎え、いよいよ音楽監督デュメイとの本格的なシーズンに突入する関西フィルだが、その中で、まさに“最高のヴァイオリニスト”、デュメイの魅力が堪能できるのが第278回定期演奏会だ。今年デュメイは関西フィルの9回のステージに登場。弾き振りやアンサンブルでの演奏を聴ける機会はこれまで以上に増えているが、純然たるソリストとしての登場は今回のみ。しかも首席指揮者、藤岡幸夫との大阪での定期演奏会初共演となれば、クラシックファンの血は騒がずにはいられないところだろう。
演目はバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番。バルトーク独特の野趣と強靭な構築性に富んだ、20世紀を代表するヴァイオリン協奏曲である。デュメイにとってはキャリア初期からの重要なレパートリーのひとつであり、これまで多くのステージで名演を残している。高度な技巧の応酬が連続する中、マエストロ藤岡幸夫とヴァイオリニスト、オーギュスタン・デュメイの白熱の演奏が、さらなる高揚と熱狂へと観客を誘う。そんなステージが体験できそうな予感がする。「オーギュスタン・デュメイとはこれまでモーツァルトとブラームスで共演した。ステージでも思わず聴き惚れてしまうんだ。彼の音をいつまでも聴いていたいと思う瞬間がある」。藤岡幸夫はデュメイの演奏の魅力をそのように語っている。
プログラムは他に吉松隆の『夢色モビールⅡ』。吉松作品の多くの初演を手掛け、その理解者でもある藤岡ならではの選曲だ。そして後半にはシベリウスの交響曲第2番。藤岡と関西フィルが進めるシベリウス・ツィクルスの第5弾となる。全編が聴きどころと言える演奏会である。
〔写真上:左より関西フィルハーモニー管弦楽団事務局長・朝倉祥子、オーギュスタン・デュメイ、藤岡幸夫の各氏。同楽団練習場にて〕
(2016年8月26日更新)
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