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チェリスト・吉川よしひろによる
斬新で楽しい、大盛り上がりの
“1人チェロ・パフォーマンス”

 たったひとり、立ったままでチェロを演奏する。チェロだがクラシックの演奏会ではない。会場を埋めた観客は大喜びで、掛け声を飛ばす、手拍子する、一緒に歌う。チェロ1本で音楽を自在に操り、客席を大いに盛り上がらせ楽しませる。これが、独自の音楽性を追求してきたチェリスト・吉川よしひろによる“1人チェロ・パフォーマンス”だ。
 
 「チェロ=クラシック、じゃなくて、チェロ=自由、なんです」。吉川は生まれつき片耳に聴覚障害があり、そのハンディキャップを補うため独特の演奏スタイルを編み出した。演奏会では、ジャズ・ヒーリング・民族音楽などを融合したオリジナル曲をはじめ、幅広いジャンルの曲を披露。また、演奏活動に加え、ハンディを題材にした講演依頼も多い。今後はコンサートの新たな展開を目指す彼が、これまでの活動から学んだ生き方とは?
 
 最初はコントラバス奏者としてスタートしたが、片耳が不自由なためアンサンブル編成では自分の音が聞こえず、いじめられた学生時代。「じゃあ、耳が半分しか聞こえない人は、音楽やっちゃいけないの?」と発奮。30代半ばからチェロも演奏、ジャズチェリストとして活動し、50歳で単身渡米。オリジナリティの大切さを知り、今の演奏スタイルのきっかけをつかんだ。「チェロは男性の低い音域から女性の高い音域まで出せる、人間の声に一番近い楽器。なのに、限られた音楽でしか表現されていない。その枠を誰も越えないなら、自分でやろうと」。4弦のチェロを5弦に、高い音色まで出るよう改造。アンプを用い、新たな電子機器も駆使して「1人弦楽四重奏や、1人ジャスバンドも表現できます(笑)」。
 
 全国津々浦々をキャンピングカーで巡り、土地の空気を肌で感じながら演奏活動を続け、観客の求めるものを学んできた。「演奏曲目も構成も、開演5分前まで決めません。お客さん次第です」。おとなしく聴いていた観客が、ソーラン節に「どっこいしょ!どっこいしょ!」と大声で合いの手を入れ、笑顔になる。東北出身の宮沢賢治の詩を、自身の故郷・山形県の東北弁で「雨ニモマケズ…」と朗読すると、涙する。演奏スタイルも、曲目も、チェロが持つ既成のイメージやクラシックの常識の枠組みから解き放ち、自由を得た。
 
 「僕は、たまたま表現するすべがチェロだったけど、三味線でもなんでもいい。自由に奏でていいんだよっていうこと。いろいろ言われてもいいじゃない。人は人、私は私。片耳しか聞こえなくても、可能性を表現できる。今まで生きて来たこと、ずっと積み重ねて来たもの、そのままストレートに出して具体的に行動するだけ。それをブレないで押し通す。これまでメチャクチャ回り道してきたけど、ひとつも無駄はなかったね」。
 
 公演は、6月19日(日)京都・文化パルク城陽 ふれあいホールにて開催。チケットは発売中。

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取材・文:高橋晴代



(2016年5月16日更新)


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吉川よしひろ

Live

発売中 Pコード:292-405
▼6月19日(日) 14:00
文化パルク城陽 ふれあいホール
指定席一般-3000円
※未就学児童は入場不可。車椅子の方はチケット購入前に会場まで要問合せ。
[問]文化パルク城陽■0774-55-1010

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