指揮に三ツ橋敬子、ヴァイオリンに木嶋真優を
迎えた女流競演。華やかな雰囲気に包まれた
大阪フィル「ソワレ・シンフォニーVol.6」
秋も深まり、音楽がひときわ心に沁みる季節。そんな11月に似合うコンサートが11月17日(火)、ザ・シンフォニーホールで行われる大阪フィルハーモニー交響楽団のソワレ・シンフォニーVol.6だ。通常よりもやや遅めの19:30の開演。リーズナブルな3500円という料金など、仕事帰りなどにも足を運び易い工夫が好評を得て、順調に回を重ねている。
今回、大阪フィルが迎えるのは、気鋭の女性指揮者、三ツ橋敬子。2008年、アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクールで日本人初の優勝を飾り、2010年にはアルトゥーロ・トスカニーニ国際指揮者コンクールで女性初の受賞者として準優勝。併せて聴衆賞も獲得するなど高い評価を収め、現在、ヴェネチアを拠点に国際的に活躍する存在である。開幕はロッシーニの『ウィリアム・テル序曲』。おなじみの「スイス軍の行進」の主題が、聴く者を一気に音楽の世界に引き込んでゆく。
ソリストとして登場するのは近年、進境著しいヴァイオリニストの木嶋真優。女流同士の華やかな競演を、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲 ホ短調で迎える。はかなく美しい冒頭の旋律から情熱に満ちたクライマックスまで、全編に魅力漂う名曲をこの機会にたっぷりと味わいたい。そしてメインプログラムは、ストラヴィンスキーが自らのバレエ音楽を組曲として再構成した『火の鳥』。ロシアの伝承を題材に、魔王カシチュイと火の鳥に導かれた王子の戦いが、極彩色の響きで描かれてゆく。曲の終わり、どこまでも上昇してゆくような響きが暖かな余韻となって、オーケストラを聴く醍醐味を感じさせてくれるだろう。
いつになく華やいだ雰囲気に包まれた今回の「ソワレ」。クラシックを聴き込んだ人にはもちろん、クラシックはこれから、という人にもぜひお勧めしたいコンサートだ。
◆ぴあ関西版Webをご覧の方に、
(2015年10月 4日更新)
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