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創設15年を迎えた関西の精鋭オーケストラ
いずみシンフォニエッタ大阪の、色彩感溢れる
近・現代音楽の世界「天女散花、恋は魔術師♡」

 創設15年を迎えたいずみホールのレジデントオーケストラ、いずみシンフォニエッタ大阪。7月18日(土)、その第35回定期演奏会「天女散花、恋は魔術師♡」が開催される。「天女散花」は西村朗作曲のギター協奏曲。「恋は魔術師」はマヌエル・デ・ファリャの女声独唱付き音楽劇。作品名をふたつ並べてハートマークで結んだタイトルが、本公演の色彩感溢れる魅力を物語っている。オープニングはブラジルの鬼才エイトル・ヴィラ=ロボスのブラジル風バッハ第9番。弦楽アンサンブルによる壮麗な対位法の響きが、まずは聴く者に強い印象を残す。
 
 ギター協奏曲《天女散花》。この作品に聴くギターの音色は、一般的なこの楽器のイメージとはやや異なるものと言えるかも知れない。京劇に描かれた東洋的な浄土の世界に、ギターは彩雲のように美しく溶け込み、撥弦楽器としての出自を改めて物語るかのような新鮮な響きを放つ。独奏は2012年に初演者として西村朗が希望し、被献呈者ともなった鈴木大介。そのヴィルトゥオーゾとしての魅力は、単独で演奏されるヴィラ=ロボスの前奏曲第3番イ短調『バッハへの讃歌』でも十分にうかがい知ることができるだろう。
 
 「天女散花」が浄土の風景を描くとすれば、「恋は魔術師」は煩悩覚めやらぬ地上の人間のドラマ。ただし舞台はスペイン、アンダルシア地方である。元カレの亡霊の嫉妬に悩まされるジプシー娘と恋人が、魅力的な別の女性に亡霊を誘惑させてその隙に…という、奇想天外な恋物語。今回演奏されるのは、オリジナルの1915年版。フラメンコの光と影を色濃く宿し、作曲者ファリャの出世作となった作品である。林美智子の艶やかな歌唱を得て『きつね火の歌』や『愛の戯れの踊り』など、妖かしと情熱の旋律がかき鳴らされてゆく。
 
 これらの作品の間に在って存在感を放つのが「関西出身若手作曲家 委嘱プロジェクト」として取り上げられる、坂東祐大(ばんどう・ゆうた)の新作『めまい』である。坂東祐大は1991年、大阪府高石市生まれ。東京藝術大学を首席で卒業し、CMなどの分野でも活躍。今年8月30日に発表される第25回芥川作曲賞にもノミネートされている気鋭の作曲家である。この作品については、坂東祐大自身のコメントによって、その一端が明かされているのでご参照を。
 
■作曲家 坂東祐大-アートの領域に許された可能性を追求
 

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今回の作品である『めまい』はアルフレッド・ヒッチコック監督の同名映画を題材にしています。バーナード・ハーマンの音楽も印象的ですし、映画そのものに、ヒッチコック独特のフェティシズムやトラウマ的な要素があってそこを拡げてみたいと思ったんです。なぜそんな不快なものを、と思われるかも知れませんが、もともと人には怖いもの見たさという欲求があるのに、最近はSNSなどで過敏な反応を恐れるあまり、臭いものにはフタみたいな風潮がある。それを音楽で打破してみたいというのが、創作の動機です。不快が快感に変わる瞬間。これはある種、危ない領域ではありますが、こうしたことを追求できるというのが、アートの領域に許された可能性だと思うんです。今回は夏の機会をいただいたのでホラー映画を観た時みたいにああ怖かったね、面白かったね、といった感覚で楽しんでもらえたらいいな、と思っています。
 



(2015年6月10日更新)


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              【指揮】飯森範親(C)山岸伸
【メゾソプラノ】林美智子(C)toru hiraiwa       【ギター】鈴木大介

いずみシンフォニエッタ大阪 
第35回定期演奏会「天女散花、恋は魔術師♡」

●7月18日(土)16:00 いずみホール
一般-5000円(指定)
Pコード 257-601 チケット発売中

チケット情報はこちら


【指揮】飯森範親
【ギター】鈴木大介
【メゾソプラノ】林美智子

【プログラム】
ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ 第9番
ヴィラ=ロボス:前奏曲第3番イ短調『バッハへの讃歌』
西村朗:ギター協奏曲《天女散花》
坂東祐大:『めまい』~関西出身若手作曲家委嘱プロジェクト~
ファリャ:恋は魔術師(オリジナル版 1915年)

※15:30よりロビー・コンサート、15:45よりプレトークあり。

【問い合わせ】
いずみホールチケットセンター■06-6944-1188