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内田勘太郎のスライドギターが奏でるアメリカの風景
「毛利嘉孝と聴く映画『パリ、テキサス』」

 『パリ、テキサス』は西ドイツのヴィム・ヴェンダース監督が1984年に発表した西ドイツ、フランスの合作映画である。タイトルが意味するものはテキサス州、パリス。別れた妻を捜す放浪者を主人公にアメリカ映画とは異なるタッチで、その荒野と都市を映し出し、第37回カンヌ映画祭でパルム・ドールに輝いた作品である。そしてこの映画に流れ、全編に特異な効果をあげているのがライ・クーダーのスライド・ギターだ。
 
 10月12日(土)、大阪のあいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホールでは、憂歌団の内田勘太郎、そして気鋭の社会学者、毛利嘉孝を迎え、コンサート「毛利嘉孝と聴く映画『パリ、テキサス』」を開催する。これは同ホールのレクチャーコンサートシリーズ「映画は音楽に嫉妬する」の一環。今回はこの『パリ、テキサス』を手がかりに、内田の演奏、毛利の解説をまじえてブルース音楽の深奥に迫る。
 スライドギターは今や、ロックミュージックなどの分野では一般化した奏法で、弦の上にスライドバーと呼ばれるガラスや金属などを滑らせて音を奏でる。酒瓶の首を割ったものが多く使われたため、これをスライドバーに用いた奏法はボトルネック奏法とも呼ばれる。その源流は深南部を発祥とする、アフリカ系アメリカ人のブルースにあり、野趣に富んだ独特の音響を聴くことができる。
 当日の聴きものはなんと言っても内田勘太郎が披露するブルース、スライドギターの名曲の数々。日本を代表するブルースギタリストの演奏が存分に楽しめる、レクチャーコンサートならではの超レアなステージだ。
 
 もちろん毛利嘉孝の解説も聞き逃せない。ブルースを起源とする音楽はアメリカの社会にどのように受け入れられていったのか、そしてその中でギターが果たした役割とは何だったのか。そんなアメリカ音楽の断面を分かりやすく伝えてくれることだろう。そしてコンサート終了後には『パリ、テキサス』の全編を上映。ライ・クーダーのスライドギターに耳を傾けながら、ヨーロッパ人、ヴィム・ヴェンダースの見たアメリカの風景を感じ取りたい。

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■「パリ、テキサス」
監督:ヴィム・ヴェンダース
1984年 西ドイツ・フランス合作 146分
出演:ハリー・ディーン・スタントン
   ナスターシャ・キンスキーほか



(c) 1984 REVERSE ANGLE LIBRARY GMBH, ARGOS FILMS S.A. and CHRIS SIEVERNICH, PRO-JECT FILMPRODUKTION IM FILMVERLAGDER AUTOREN GMBH&CO.KG



〈レクチャーコンサートシリーズ25 「映画は音楽に嫉妬する vol.6」〉
伊東信宏 企画・構成
毛利嘉孝と聴く映画 『パリ、テキサス』


●10月12日(土)16:00
あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール

チケット発売中 Pコード 201-497
指定席-3000円

【曲目】
ミシシッピ・シード、グッバイ・クロスロード/他      

【講師】毛利嘉孝
【ギター】内田勘太郎

※レクチャーコンサート終了後に映画全編を上映(上映終了予定20:50)

【問い合わせ】
ザ・フェニックスホールチケットセンター
■06-6363-7999(平日10:00~17:00)

(2013年9月25日更新)


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(c) 1984 REVERSE ANGLE LIBRARY GMBH, ARGOS FILMS S.A. and CHRIS SIEVERNICH, PRO-JECT FILMPRODUKTION IM FILMVERLAGDER AUTOREN GMBH&CO.KG

   ■毛利嘉孝と聴く映画『パリ、テキサス』

     ■毛利嘉孝(もうり・よしたか/講師)

 1963年長崎県生まれ。東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科准教授。京都大学経済学部卒。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジPh.D(社会学)。MA(メディア&コミュニケーションズ)。社会学・文化研究の立場からポピュラー音楽、現代美術、メディアへの批評活動を行なう。著書に『ストリートの思想』(日本放送出版協会)、『増補 ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房)ほか。翻訳に『ブラック・アトランティック』(P・ギルロイ著/月曜社)ほかがある。



   ■内田勘太郎(うちだ・かんたろう/ギター)

 日本を代表するブルースバンド「憂歌団」のリードギタリスト。1970年「憂歌団」結成、75年レコードデビュー。ブルースを基調としながらもそのオリジナリティ溢れるサウンドは、今も尚、音楽シーンに影響を与え続けている。98年アルバム『マイ・メロディ』でソロデビュー。憂歌団の活動停止後はソロ活動とともに、多くのアーティストとのセッションやCM音楽なども手がける。カルピスの瓶首を使った独特のスライド奏法は有名。今年9月、15年ぶりに憂歌団を始動。