建て替えのため、2008年に閉館した、フェスティバルホールが4月10日(水)、大阪、中ノ島のフェスティバルタワーに再びオープンする。赤を基調とした印象的な内装、座席数2700(オーケストラ・ピット使用時は2524席)の広壮な空間は以前のまま、ステージ面積は旧ホールのほぼ倍の面積となり、袖舞台や奥行きが増えたことにより、より迫力ある演出が可能になった。
1958年4月、国際的な音楽祭を開催するにふさわしいホールとして、中ノ島に誕生したフェスティバルホール。以来、クラシック音楽の殿堂として、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座など錚々たる顔ぶれを迎え、関西の文化拠点として多大な足跡を残している。「天上から音が降り注ぐ」その優れた音響特性はポピュラー音楽の分野でも発揮され、ディープ・パープルの『ライブ・イン・ジャパン』、マイルス・デイビスの『アガルタ』『パンゲア』など、海外の優れたライブ作品の舞台となり、国内においても山下達郎、さだまさし、中島みゆきら、多くのアーティストがこのホールへ信頼を寄せている。音楽のみならず50年の歴史のうちに上演されたジャンルは、舞踊、能、狂言など多岐におよび、閉館直前には延べ4000万人に及ぶ来場者数を記録している。
オープンに先駆けた4月3日には関係者を集めた開場記念式典が行われた。大阪府立淀川工業高等学校吹奏楽部のファンファーレが響く中、朝日新聞社 代表取締役社長 木村伊量 氏の挨拶に続き、来賓代表として祝辞を述べたのはフェスティバルホールにゆかりの深い歌手、さだまさし。旧ホールでの202回に及ぶコンサートの思い出などを味わい深い語り口で披露し、会場を魅了した。緞帳披露・贈呈式を経て、上演されたのが、観世流の梅若玄祥、大槻文蔵による能『猩々(しょうじょう)乱(みだれ)』(写真上)。その幽玄な舞いが前半を締めくくった。休憩をはさみ、記念演奏を行ったのは下野竜也と大阪フィルハーモニー交響楽団(写真下)。ベートーヴェン、ヨハン・シュトラウスⅡ、シベリウス、そしてソリストにバスの妻屋秀和を迎えたワーグナー。かつて朝比奈隆とともにフェスティバルホールの歴史を刻んだ「大フィル」が、若きマエストロ、下野の指揮のもと、瑞々しい音楽を響かせ、ホールに新たな息吹を吹き込んだ。同時にその演奏は新ホールの可能性を存分に示すものでもあった。
ロリン・マゼール指揮・ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、佐渡裕指揮・BBCフィルハーモニック、熊川哲也率いる『Kバレエカンパニー』、野村万作、野村萬斎らによる『万作・萬斎祝祭大狂言会』、立川志の輔 、立川談春 の『志の輔・談春 祝祭落語会』、さらにはさだまさし、井上陽水、南こうせつ・伊勢正三など、すでに錚々たるラインナップが決定する中、ヴェルディゆかりのベネツィア、フェニーチェ歌劇場による、オペラ・ガラコンサートが、新たなフェスティバルホールのオープニングを飾る。
『フェニーチェ歌劇場日本公演2013』
〈第51回大阪国際フェスティバル〉
【ガラ・コンサート】
●4月10日(水) 19:00
[出演]フェニーチェ歌劇場※Sold Out!
【ヴェルディ作曲 歌劇「オテロ」】(写真)
●4月11日(木) 18:30
[指揮]チョン・ミョンフン
[出演]フェニーチェ歌劇場※Sold Out!
【特別コンサート】
●4月13日(土) 14:30
[出演]フェニーチェ歌劇場※Sold Out!
フェスティバルホール■06(6231)2221
(2013年4月 5日更新)
■フェスティバルホール これからの公演より
『熊川哲也 K-BALLET COMPANY』
『志の輔・談春 祝祭落語会』
『マラーホフの贈り物 ファイナル