ホーム > NEWS > 佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2013 『セビリャの理髪師』。今年は兵庫県内5会場で、 楽しさ直球勝負の日本語上演!
毎年夏、兵庫県立芸術文化センターで行われる佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ。2013年の演目となる『セビリャの理髪師』の製作発表が、1月22日行われた。
『セビリャの理髪師』は1816年に初演されたジョアキーノ・ロッシーニによるオペラ・ブッファ(喜劇)の傑作。モーツァルトの作品で知られる『フィガロの結婚』と同じ、ボーマルシェの戯曲を原作とし、『フィガロ~』の前日談に当たる。昨年は、ダニエル・アバドによる演出のもと、日本勢とアメリカ・ヨーロッパ・アジア勢のダブルキャストで、ドラマティックな『トスカ』を上演した佐渡裕プロデュースオペラだが、今年は一昨年の『こうもり』以来の喜劇に戻り、楽しさ直球勝負の日本語上演で「お腹の底から笑える」エネルギッシュな舞台を届ける、という。
製作発表には芸術監督の佐渡裕をはじめ、今回演出を担当する飯塚励生(れお)、ロジーナ役の林美智子、フィオレッロ/アンブロージョ役の晴雅彦が出席し、上演に向けての抱負を語った。
また今年は、広く兵庫県の人々に本物のオペラを楽しんでもらいたい、という佐渡裕芸術監督の希望を受けて、西宮に続き、篠山、洲本、姫路、豊岡の県内5会場で計12公演を行う。
チケットは現在発売中の西宮公演に続き3月17日(日)に、 篠山、洲本、姫路、豊岡が発売される。(公演日程は右をご参照ください)
■林美智子(ロジーナ)-いつもとは違った興奮を感じています!
この佐渡裕芸術監督プロデュースオペラは『ヘンゼルとグレーテル』でヘンゼル、『カルメン』ではカルメンを演じさせていただき、今回、ロジーナを森麻季さんとダブルキャストで演じます。震災後、佐渡さんをはじめ、スタッフのかたがたが一丸となって取り組んできたこのオペラですが、その努力と実績には非常に誇りを感じていて、そのレールの一端に乗せていただいていることは喜びでいっぱいです。このロジーナという役は私のメゾソプラノという声域、そして私の性格にぴったりなんですが、完全オペラ上演で演じるのは実は初めて。しかも日本語上演ということで、いつもとは違った興奮を感じながら稽古に入るのを楽しみにしております。
■晴雅彦(フィオレッロ/アンブロージョ) -大きな夢がかなった。
私の仕事では地方と呼ばれる場所を回ったり、体育館で歌って、子供たちとに聴いてもらったり、ということが 多いんですが、そんな中で、初めてオペラ歌手が歌っているのを聴いて、こんなにいいものだとは思わなかったなんて言っていただいてるのを聞くと、ああこういうきっかけっていうのはとても大事なんだと思わずにはいられませんでした。ですから今回オペラをまるごと持って、各地へ向かわせていただくというのは、大きな夢が叶った気持ちがして、ほんとに幸せな気持ちでいっぱいです。それと、私は関西人でございまして、関西に住んでおります。ですからこの関西に音楽を愛する人が増えて、その活性化につながればこんなうれしいことはありません。
■飯塚励生(演出)-みんなが一緒に笑える時間を作りたい。
今回の演出のキーワードは、コメディア・デラルテ!16世紀のイタリアで生まれた即興的な喜劇です。コメディア・デラルテに登場するキャラクターにはいろんな名前が付いていて、演劇やオペラに大きな影響を与えました。例えば『セビリャの理髪師』に登場するフィガロはコメディア・デラルテのアルレッキーノに当たります。彼はとても素早く、歌もうまく、そしてご主人様の恋の仲立ちをするキャラクターなんです。『セビリャの理髪師』はこのコメディア・デラルテを使って出来上がったのだけど、私が今回やりたいのは それを逆にして、このオペラを思いっきり喜劇にしてみたいということ。普通のオペラよりも、もっとファミリーエンターテインメントな舞台になるはずです。おとなから子供まで、みんなが一緒に笑える時間を作りたいと思います。
■佐渡裕(指揮)
-重要なのは劇場が、本当のオペラの面白さで満ちること。
このオペラシリーズが西宮を出て、県内のいろんな地域を回るというのは、これは兵庫県立芸術文化センターでオペラをやる上で、一番最初から、大きな僕の課題でありました。とは言え2005年にオープンして、どうもあの西宮の公演が面白いらしい、という評判が生まれ、それが東京の方にも届き、チケットも動いているぞ、という状況になるまでには、少し時間がかかるとは思っていたんですね。舞台を持って行った時に、僕らの側の「来ましたよ。観に来てください」ではなく、お客さんの側の「来てくれた。観に行きたい」という、この期待の矢印というようなものが、やはり大切だと考えたんです。そうした中で、ついにこの夏の芸術文化センターの賑わいを、兵庫県内の各ホールに持っていく時が来た、と思っています。そしてこの賑わいを、よりダイレクトにお届けするために、日本語上演ということを決めました。
何より重要なのは、この県立の劇場である芸術文化センターが本当のオペラの面白さで満ちること。そしてその楽しさがいろいろな劇場に広がって行くことだと思います。その意味でも、昨年の『トスカ』は、ひとつのチームは海外の一流チームであったわけですが、今回のチームはこの芸術文化センターでしか作れないチームです。これからみんなで練習を繰り返して、しかも全員が頭の中には、この公演を西宮以外にも持って行ってオペラが初めてに人にも出会うんだ、という想像力を持って『セビリャの理髪師』の舞台を作っていきたいと思います。
(2013年2月18日更新)
兵庫県立芸術文化センター/佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2013
〈全2幕/日本語上演・字幕付き/新制作〉
【音楽】 ジョアキーノ・ロッシーニ
【台本】 チェーザレ・ステルビーニ
【指揮】 佐渡 裕 (兵庫県立芸術文化センター芸術監督)
【演出】 飯塚励生
【装置】 イタロ・グラッシ
【衣裳】 スティーヴ・アルメリーギ
【照明】 マルコ・フィリベック
【合唱指揮】 矢澤定明
【演出助手】 家田 淳
【衣裳助手】 小栗菜代子
【日本語訳詞】 森島英子
【プロデューサー】 小栗哲家
【出演/ダブルキャスト】
〔林組〕
【アルマヴィーヴァ伯爵】 鈴木 准
【バルトロ】 久保和範
【ロジーナ】 林美智子
【フィガロ】 高田智宏
【バジリオ】 ジョン・ハオ
【フィオレッロ/アンブロージョ】 晴 雅彦
【ベルタ】 谷口睦美
〔林組〕 7/12(金):7/14(日):7/17(水):7/20(土)
〔森組〕 7/13(土):7/15(月・祝):7/19(金):7/21(日)
■篠山公演
【公演日程】 7月24日(水)6:30PM開演(6:00PM開場)
■洲本公演(演奏会形式)
■姫路公演
【公演日程】 7月27日(土)3:00PM開演(2:00PM開場)
■豊岡公演(演奏会形式)
【公演日程】 7月28日(日)3:00PM開演(2:30PM開場)