ホーム > NEWS > 注目のヴァイオリニスト、クララ=ジュミ・カン登場。 広上=京響5年目の成果を示す、個性溢れる響き
2012年度を締めくくる京都市交響楽団、3月24日(日)の定期演奏会は、常任指揮者、広上淳一を迎える。
オープニングはハチャトゥリアンの組曲『仮面舞踏会』を。同名戯曲の劇音楽を1944年に組曲として再構成した作品で、近年、演奏機会の増えた『ワルツ』を含む全5曲から成り、光と影が明滅するような劇的な音楽が繰り広げられてゆく。
続くヴァイオリン協奏曲ニ長調は、1947年に初演されたコルンゴルトの作品。神童として20世紀初頭のウィーンに登場し、後年、ハリウッドに映画音楽の基礎を築いたコルンゴルトの個性が際立つ作品である。ソリストとして2010年、仙台国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門で優勝、同年インディアナポリス国際ヴァイオリン・コンクールでも優勝 を果たすなど、今注目の女流ヴァイオリニスト、クララ=ジュミ・カンが登場。現在、ドイツ・ミュンヘンを拠点に活動を行う彼女の、表現力豊かな演奏が期待できる。
そして、メインプログラムとなるのが、プロコフィエフの交響曲第7番嬰ハ短調。1952年にモスクワで初演された、プロコフィエフの最後の交響曲である。“ソビエトの青年たちのために書いた”とする作曲者の言葉から、『青春』の標題で呼ばれることも多い作品だが、叙情的で郷愁を湛えた旋律や、そこに漂うわずかなほろ苦さからは、帝政期のロシアに生まれ、亡命、そしてソビエト帰国という波乱の生涯を送ったプロコフィエフ自身の人生を回顧するような響きを聴き取ることもできるかも知れない。
いずれも20世紀の個性的な響きに満ちた今回の演奏会。広上=京響5年目の成果をぜひ、確かめたい。
(2013年1月11日更新)
〈第566回定期演奏会〉