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ホーム > NEWS > 児玉宏を指揮に迎える大阪交響楽団5月の定期は、 ドイツ=オーストリア音楽の最後の光芒を聴く 「二人のリヒャルト」

児玉宏を指揮に迎える大阪交響楽団5月の定期は、
ドイツ=オーストリア音楽の最後の光芒を聴く
「二人のリヒャルト」

 5月28日に行われる大阪交響楽団の定期演奏会は、指揮に音楽監督・首席指揮者児玉宏、ピアノに2010年10月以来の定期出演となる石井克典を迎え、「二人のリヒャルト」と題して贈る。ひとりは後期ロマン派最大の才能と謳われたリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)。そしてもうひとりは彼よりも11歳年下で、現在は忘れられた作曲家のひとり、と言えそうなリヒャルト・ヴェッツ(1875-1935)である。
 ふたりの生きた時代を見ると興味深い事実が認められる。まずヴェッツの生まれる前年には調性音楽に訣別を告げたシェーンベルク(1874-1951)が生まれており、1910年前後からはすでに無調による作品が生み出されている。また、ふたりのリヒャルトの生涯の真ん中には第一次世界大戦(1914-18)というヨーロッパの文化史的な断裂が横たわっており、19世紀的な音楽の在り方は一変した。リヒャルト・シュトラウスの管弦楽作品の代表作はほとんどこの大戦の始め頃までに書かれており、その後は劇音楽や声楽、室内楽に移行していくことになる。
 今回演奏されるふたつの作品、組曲「町人貴族」「交響曲第二番 イ長調」が作られた1919年とは、このような背景を持った時代である。児玉宏は「シェフからのメッセージ」(大阪交響楽団HP)の中でリヒャルト・ヴェッツを“最後のロマン派作曲家”と呼んでいるが、以上のような事情を踏まえる時、この言葉は単なるレトリックには留まらない。伝統的な和声法に支えられたヨーロッパの音楽が急速に終焉に向かう中でひとりは自らの劇付随音楽を元に傑作を残し、もうひとりは前世紀の遺産のような手法で交響曲を残した。リヒャルト・ヴェッツという“知られざる作曲家”を聴く事で、音楽史における激動の1ページが見えてくるような、そんな興味をかき立てられる演奏会だ。




チケット好評発売中! チケット情報はこちら

大阪交響楽団
〈第166回定期演奏会〉

●5月28日(月)19:00
ザ・シンフォニーホール

チケット発売中 Pコード 160-413
A席-5000円 B席-3000円 C席-2000円 オルガン席-1000円 

【指揮】児玉宏
【ピアノ】石井克典

【プログラム】
リヒャルト・シュトラウス:組曲「町人貴族」
リヒャルト・ヴェッツ:交響曲 第2番 イ長調

【問い合わせ】大阪交響楽団■072-226-5522

(2012年5月 7日更新)


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 ■児玉宏(指揮/音楽監督・首席指揮者)      ■石井克典(ピアノ)

■大阪交響楽団の「ディスカヴァリー・クラシック」

「ディスカヴァリー・クラシック」とは、現在、演奏される機会の少ない作曲家の作品を取り上げ、録音していこうという大阪交響楽団と音楽監督・首席指揮者、児玉宏のプロジェクト。ザ・シンフォニーホールでの演奏を主な音源として、これまでにスウェーデンのアッテルベリ、ロシアのグラズノフ、タニェエフ、映画音楽の作曲家として知られるイタリアのロータなどの作品が3枚のCDに収められ、販売されている。2012年にはミャスコフスキー、ヘンゼルト、F・シュミットの作品を収録した4枚目のCDの発売も予定されている(ヘンゼルトとシュミットは、常任指揮者 寺岡清高が指揮)。

   ■アッテルベリ 交響曲 第6番「Dollar交響曲」

     アッテルベリ:交響曲 第6番 ハ長調「Dollar交響曲」
     エルガー:セレナード ホ短調

     キングレコードKICC792 定価2000円(税込)


   ■グラズノフ 交響曲 第5番

     グラズノフ:交響曲 第5番 変ロ長調
     ウォルトン:バレエ組曲「賢い乙女たち」(バッハの曲による)

     キングレコードKICC861 定価2000円(税込)


  ■タニェエフ 交響曲 第4番/ニーノ・ロータ 交響曲 第4番

     タニェエフ:交響曲 第4番 ハ短調
     ニーノ・ロータ:交響曲 第4番「愛のカンツォーネに由来する交響曲」

     キングレコードKICC953 定価2000円(税込)