ホーム > NEWS > 今年は懐かしい日本の歌を中心に。 日本を代表するソプラノが贈る 心暖まるコンサート「わが母の教え給いし歌2012」
日本を代表するソプラノ、佐藤しのぶが毎年、母の日に因んで行っているコンサート「わが母の教え給いし歌」が、今年は5月6日、サンケイホールブリーゼで開催される。佐藤自身が母親となったことを契機に、命の尊さや母への感謝の思いなどを伝えたい、という気持ちからスタートしたというこのコンサート、18回目を迎える今回は、懐かしい日本の歌を中心とした構成になるという。
すでに昨年、3月11日の東日本大震災の余波の中で、日本の歌について考えることが多くなった、と語っていた佐藤しのぶだが、今年、その思いはさらに深いものとなっていったのかも知れない。予定曲には「アヴェ・マリア」や「わが母の教え給いし歌」といったこのコンサートに欠かせない作品と並んで、團伊玖磨の「花のまち」やオペラ「夕鶴」からの作品が取り上げられている。コンサートに先駆けて大阪を訪れた佐藤は、次のように語ってくれた。
「團伊玖磨先生の『夕鶴』は、木下順二さんの戯曲を基にした作品です。もともとは皆さんよくご存知の『鶴の恩返し』のお話なのだけど、今の私たちにとても大切なことを伝えてくれているような気がします。主人公の与ひょうは、素朴で、お金なんかいらなかった人。だけど、鶴の化身である、つうが織る織物を、周りのみんなに、あれはいいものなんだ、たくさん売ってお金が儲かればつうも喜ぶからって言われて、変わっていってしまう。私たちにとって、本当に必要なものって何だろう。そんな問いかけを1951年にまだ20代だった團伊玖磨先生がなさっているんですね。民話を題材にしながら、そうしたとても深いテーマを持っていて、ぜひ、歌いたいと思いました」
日頃、遠い場所になりつつある日本の風景。今回はその美しさに思いを馳せながら、佐藤しのぶの素晴らしい歌声と暖かな人柄が醸し出す宝物のようなひとときを、大切な人と一緒に楽しんでみてはいかがだろう。心の底から優しい気持ちになれるコンサートだ。
(2012年4月 5日更新)
佐藤しのぶ「わが母の教え給いし歌2012」