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木管楽器の響きを追求するアルボラダ木管五重奏団が
軽やかに奏でる東洋と西洋の出会い

 フルート、オーボエ、バスーン、クラリネットと言った木管楽器。これらにホルンを加えた木管アンサンブル、アルボラダ木管五重奏団が11月20日、大阪のザ・フェニックスホールでコンサートを行なう。アルボラダ木管五重奏団のメンバーは、京都市交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、日本センチュリー交響楽団といった、関西に拠点を置くオーケストラの主要奏者たち。2010年の結成以来、柔らかな木管合奏の可能性を追求する、ジャンルにとらわれない活動を行なっている。リーダーを務めるベルギー出身のフルート奏者、ニコリンヌ・ピエルーをはじめ、フランス、アメリカ、日本とメンバーの出身地も多彩だ。
 プログラムにはフランセやツェムリンスキーらの、木管五重奏用のオリジナル作品や、モーツァルト、ラヴェルの作品が取り上げられているが、今回の注目は、これらに加え、京都在住の気鋭の作曲家、平野一郎の新作「いそぽのふゎぶらす~語りと木管五重奏による天草版伊會保(イソップ)物語」が初演されることだ。
 「アリとキリギリス」「北風と太陽」などで知られるイソップ(アイソポス)物語はすでに安土桃山時代、キリシタンたちの手によって、九州、天草地方にもたらされていた。それを題材に平野は6つの話を選び出し、音楽と語りを交えた組曲風の作品を作り上げた。さらに今回の公演では原典の文章が古典狂言の言い回しに非常に近いことから、京都の名門、茂山千五郎家から若手狂言師のホープ茂山童司が参加、語りを務める。木管五重奏と狂言のまさに異色といってもよいコラボレーションだが、堅苦しい伝統芸能とは異なり、蛙やねずみ、鳥や狐や狼にライオンと言った動物に託されて、皮肉を含んだ処世訓が語られてゆくさまは実にユーモラス。作曲者によれば“大人も子供も楽しめる曲”をイメージした、という。
 西洋と東洋の文化の出会いを軽やかに響かせるアルボラダ木管五重奏団。国際色豊かなメンバーとユニークな顔ぶれが揃った、興味深い演奏会となりそうだ。




アルボラダ木管五重奏団
〈Kansai Soloists & Ensembles 11〉

●11月20日(日)16:00 ザ・フェニックスホール

【プログラム】
モーツァルト:歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」K558序曲
ラヴェル:組曲「クープランの墓」(木管五重奏編)
フランセ:木管五重奏曲 第1番
ベリオ:作品番号獣番
ツェムリンスキー:ユモレスク

平野一郎:いそぽのふゎぶらす
      ~語りと木管五重奏による天草版伊會保(イソップ)物語
      2011年 ザ・フェニックスホール委嘱初演
      【語り】茂山童司

【問い合わせ】 ザ・フェニックスホールチケットセンター■06-6363-7999

(2011年10月26日更新)


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アルボラダ木管五重奏団                                              ニコリンヌ・ピエルー(フルート) フロラン・シャレール(オーボエ) ブルックス・信雄・トーン(クラリネット) 東口泰之(バスーン) 垣本昌芳(ホルン)
アルボラダ=スペイン語で「夜明け」「朝」。夜に歌う「セレナーデ」に対し「朝の歌」の意味も持つ。
平野一郎(作曲)                        茂山童司(語り)
10月18日、茂山氏を迎えて初稽古直前、ザ・フェニックスホールの舞台にて。向かって左より、                             平野一郎、アルボラダ木管五重奏団、茂山童司。