齊藤工監督が窪田正孝主演作を引っさげ大阪へ！
映画『スイート・マイホーム』大阪舞台挨拶レポート

第13回小説現代新人賞に輝いた神津凛子のデビュー作を、俳優としても活躍している齊藤工が監督を務め映画化した『スイート・マイホーム』が、9月1日(金)より、TOHOシネマズ梅田ほか全国にて公開される。極寒の地で地下暖房設備の整った一軒家を手に入れた一家が、身の毛もよだつ恐怖に襲われる様子を描く。

窪田正孝が主演を務め、蓮佛美沙子、奈緒、中島歩、窪塚洋介ら豪華キャストが名を連ねている。そんな本作の公開に先立ち、8月25日(金)、TOHOシネマズ梅田で、齊藤工監督が先行上映会の上映前に登壇し、舞台挨拶を行った。

大きな拍手に迎えられた齊藤監督は「コロナ前は、映画が生まれると東名阪にお邪魔するのが常だったので、久しぶりに大阪の地に、しかも監督作を持ってこられて幸せに感じています」と挨拶し、舞台挨拶は始まった。

そして、本作の先行上映会は大阪が初めてだと明かされると「大阪以外は日本だと思ってないので(笑)」と大阪を持ち上げると会場からは大きな拍手が。続けて、「大阪には作品に勢い、追い風をくださるようなエネルギーをたくさんいただいてきた印象があるのでとても心強いです」とさらに持ち上げる一方で、「(大阪の番組では)つかみはないのか？オチは？という空気を肌で感じて背筋が凍る瞬間はありますね(笑)。今日は生放送だったので何度かそんなことが。当たり前のようにオチに向かう会話が素晴らしいし、勉強になります。大阪は大好きです」と盛り上げた。

本作の監督を務めるきっかけを聞かれると齊藤監督は「2019年に話をいただいた」と前置きし、ただ、「原作は目を覆いたくなるような容赦のないもので。活字だからこそ描ける描写がたくさんあった」ことから、「最初は自分には難しいんじゃないか。監督は僕ではない方がいいんじゃないか」と思ったそう。ところが、「コロナ渦に入って、ステイホームになって。聖域、ホームと言われる場所が人によっては逃れられない環境である事象を知って、家と向き合わされた。そこで、この話をいただいたのは必然だったんじゃないかと思うようになった」と振り返った。

また、現場の雰囲気については「大人の都合で子どもを動かすのはやめようというのを念頭に置いて撮影した」と言い、「初日に子役の子が寝るシーンで寝てしまって、起こすのが忍びなかったので、いわば自由時間なんですが、全員昼寝の時間を作って。作品の雰囲気と違って保育園感のある現場だったと思う」と振り返った。続けて、「子どもたちと心を通わせないと親子に見えないと改めて思った」と言い、「窪田さんも蓮佛さんも撮影の合間に、本当の両親のように子どもとの時間を作ってくれて助かりました」と感謝の言葉を述べていた。

そして、撮影現場では「スタッフ・キャストの食べるものと身体のコンディション、クリエイティブというのは繋がっていると思う」と言い、「窪田さんも窪塚さんも腸活などに意識の高い方たちだったので、本作の現場では、腸内環境をよくすることを心掛けた」と振り返り、「オーガニックなお弁当にしたり、お味噌汁や納豆をお弁当に添えたり。その結果、腸内環境を良くすることが作品の仕上がりに関係してくることが実証された気がする」と胸を張った。

最後に齊藤監督が「映画の数もたくさんありますし、上映はあっという間に終わってしまいます。この映画だけでなくいろんな作品が公開されますので映画館で受け止めていただけると嬉しいです。俳優が撮ったというフィルターが時として邪魔をしてしまうこともあると思います」と言葉を尽くした後、「この映画は、家の中で何が起こるのかを映画館という館の中で体感していただくべく作った作品です。スタッフ・キャストの見えない思いを受け取ってくださることが僕らの報いになります」と言い、改めて観客に向かって「僕はこの作品の宣伝部の皆さんと向き合っていると思っていますので、よろしくお願いします」と作品をPRし、舞台挨拶は終了した。

取材・文／華崎陽子

（2023年8月25日更新）