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映画『街の上で』
今泉力哉監督が登壇した大阪舞台挨拶レポート

『愛がなんだ』の今泉力哉監督が、同作のナカハラ役が高く評価された若葉竜也主演で変わりゆく下北沢の街を舞台に紡ぎ上げたユニークな“日常”映画『街の上で』が、テアトル梅田、イオンシネマシアタス心斎橋ほか全国にて上映中。下北沢の古着屋に勤め、下北沢界隈を生活圏にしている青年、荒川青が恋人に浮気された挙句に振られ、落ち込んでいるところに自主製作映画への出演依頼という“非日常”な状況に直面する様を、彼が出会う女性たちとのエピソードを絡めて映し出す。若葉扮する青が、ひょんなことから、思わず笑ったり、つっこんだりしてしまいそうな長回しの掛け合いに巻き込まれていく様は必見だ。主人公・青の元恋人である雪を、『8日で死んだ怪獣の12日の物語 劇場版』の穂志もえか、青が通う古書店の店員・田辺役に、『花束みたいな恋をした』の古川琴音、青に映画出演を依頼する美大生の映画監督・町子役に、『転がるビー玉』の萩原みのり、町子が監督を務める現場の衣装スタッフ・イハ役に『君が世界のはじまり』の中田青渚が扮し、それぞれに異なるフレッシュな魅力を放っている。また、成田凌が重要な役どころで友情出演しているのも注目だ。そんな本作の公開を記念し、今泉力哉監督が登壇し、4月10日(土)にテアトル梅田で上映後に舞台挨拶を行った。
 
今泉監督が「昨年の5月1日に公開予定だったんですが、ほぼ1年延びて無事に公開できて、こうやって満席のお客さんの前で上映できたことがすごく嬉しく思っています」と挨拶し、舞台挨拶は始まった。まずは、主演の若葉竜也の起用について聞かれると「『愛がなんだ』の評判もありましたし、若葉さんだったら、これからの俳優さんと混じっても馴染めるだろうし、中心に居てもらえるんじゃないかと思ったんです。それに、『愛がなんだ』では振られる役ではなかったですが、若葉さんには失礼かもしれませんが、恋愛が上手くいかない役をやらせたらハマるんじゃないかと思って(笑)、オファーしたら受けていただいて。特に今回は、ひたすら受ける芝居というか、自分から能動的に動かずに、ずっとよくわからない人たちに絡まれて困るような役柄だったので、若葉さんで良かったと思っています」と語っていた。
 
そして、『愛がなんだ』のメインキャストであり、本作にも友情出演している成田凌について聞かれると「僕は、あまり役者さんの飲み友達がいないんですが、『愛がなんだ』に出てもらう前から成田さんとは飲みに行ったりしていて。彼もすごく忙しいんですが、『街の上で』の撮影中に1日空けられるかもと聞いて、本当は友情出演って1シーンぐらいなんですが、バカなふりをして成田デーみたいな日を作って、まぁまぁなボリュームにして、俳優役で出てもらいました(笑)」と成田の出演秘話を語っていた。
 
また、本作は下北沢が舞台になっているが、それが日本中どこであっても成立するような、ある街の日常を映した映画になっていることから、関西のどこかを舞台にするとしたらどこにするか尋ねてみると「皆さんもご自分が住んでいる街のこの辺の路地で起こっていてもおかしくないと思ってもらえたら嬉しいです。僕は大学を出た後、大阪の新今宮に1年間住んでいたことがあるんです。だから、新今宮からなんばに向かう南海の通りや動物園前の辺りでうろうろしていたので、あの辺で撮りたいですね。大阪の北側で撮るとしたら、大阪福島間でいつも迷子になって、観覧車を探して梅田に向かっているので、その状況を撮ると思います(笑)。どういう物語になるかわかりませんが(笑)」と自身の体験も絡めて話していた。
 
さらに、舞台挨拶の会場となったテアトル梅田が昨年30周年を迎えたことを受け、ミニシアターについての思いを尋ねてみると「この映画を公開する際にシネコンを含めて公開する方法もあったと思うんですが、まずミニシアターで公開しようと思ったんです。僕は東京の映画館でバイトもしていましたし、ミニシアターで映画を観て監督になったので。劇場のロビーにこの30年の間に公開された映画のチラシやポスターが貼ってあるんですが、そのうちの半分はいかないですが、1/4は観ていましたし、ミニシアターにはお世話になったと感じています。ミニシアターはこれから目が出てくる若い監督や若い俳優、そして若い観客が作品を通して出会う場所だと思っているので、そこが閉まったりしてしまうと、そこで生まれるはずだった時間が5年後10年後に影響すると思っているので、ずっとミニシアターは続けてほしいと思っています」と真摯に語っていた。
 
最後に、監督が「たくさんの人で映画を観た時に同時に笑い声が起きる瞬間のために映画を作っているところもありますし、観終わった後の感想がバラバラになるのも豊かなことだと思っています。この映画に出てくれた穂志もえかさんが、この前言っていたんですが「2回目観たら好きなシーンが変わった」そうなんです。繰り返し観てもらうことで、全部わかった上で面白がることができると思うので、繰り返し楽しんでもらえればと思います」と作品をPRし舞台挨拶は終了した。
 
 
文/華崎陽子



(2021年4月12日更新)


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Movie Data



(C) 『街の上で』フィルムパートナーズ

『街の上で』

▼テアトル梅田、イオンシネマシアタス心斎橋ほか全国にて上映中
出演:若葉竜也
穂志もえか、古川琴音、萩原みのり、中田青渚
成田凌(友情出演)
主題歌:ラッキーオールドサン「街の人」
脚本:今泉力哉、大橋裕之
監督:今泉力哉

【公式サイト】
https://machinouede.com/

【ぴあ映画生活サイト】
https://cinema.pia.co.jp/title/183075/


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