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映画『心の傷を癒すということ《劇場版》』
神戸で行われた完成披露試写会&
制作者によるトークイベントレポート

2020年1月にNHKにて放映され、大きな反響を呼んだ同名ドラマ全4話を、再編集し劇場公開する『心の傷を癒すということ《劇場版》』が、2月12日(金)より、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸ほかにて公開される。阪神・淡路大震災の際、多くの被災者の“心”に寄り添う壮絶な日々と、彼を懸命に支えた家族との絆を、実在の精神科医・安克昌氏をモデルに描く。自らも被災しながら被災者の人々に寄り添い、心のケアに奔走した精神科医・安和隆に柄本佑が扮し、彼を支える妻・終子を尾野真千子が演じている。そんな本作の公開を記念し、1月15日(金)、本作の企画を務めた京田光広氏(NHKエンタープライズ近畿総支社企画事業部)とドラマ版の総合演出の安達もじり氏(NHK大阪拠点放送局制作部)を迎え、OSシネマズミント神戸で完成披露試写会とトークイベントを行った。
 
そもそもの始まりは、京田氏が、東日本大震災後に安克昌氏の原作に出会い、これをいつかドラマにしたいと思い、安達氏に企画を渡し、安達氏も安先生の魅力に魅了されたことから、ドラマの企画がスタートしたという。安達氏が、「安先生の原作は、2時間ぐらいで一気に読んでしまったんですが、安先生の息づかいみたいなものが心に響きましたし、グサッとやられた感覚がありました。安先生の関係者の皆さんの話を聞いていると、安先生は本当に魅力的な方だったんだと痛感しました」と語った上で、本イベントに登壇できなかった尾野真千子と主演の柄本佑からのビデオメッセージが流された。
 
まずは尾野が、「神戸にお伺いしたかったのですが、こういうご時世ですので、ビデオメッセージとさせていただきます。申し訳ありません」と前置きした上で、「この作品は、ひとりでも多くの方に観たこと、感じたことを伝えたくなるような、これからも受け継いでいきたくなるような映画です。この作品が伝えている温かく優しいメッセージが、ひとりでも多くの方に届いてほしいです」と真摯に語り掛け、続いて、柄本は「この作品は2020年の1月にNHKドラマとして放送されたんですが、まさか劇場版として、しかも大きなスクリーンでこの作品を観てもらえるとは思っていなかったので、非常に感動しております。神戸での撮影だったので空き時間に神戸の街を歩かせていただいて、すごく自分の肌に合う街だと思いました。とても暮らしやすい街だと思ったので、また早く神戸ロケのある作品に出会えないかと思っております。この作品が映画になることで、もうひとつ安先生のご家族にプレゼントできるものが増えたことがとても嬉しいです。震災や心のケアなどが題材になっていますが、1本のエンタテインメント作品として肩肘はらずにフラットに楽しんでいただけたら、と思います」とメッセージを送った。
 
メッセージを受け、柄本と尾野のキャスティングの話題になると、安達氏は「元々、佑くんとはいつかご一緒したいと思っていました。そこで、この企画が立ち上がった時に、年齢も含めて見た目も安先生に雰囲気が似ているように感じてお声掛けしたところ、快諾していただけました」と柄本のキャスティングの理由を明かしていた。京田氏も「僕はご本人にお会いしていないので」と前置きした上で「佑くんが安先生に似ているというよりも、佑くんなりに表現してくれたことがすごく良かったんじゃないかと感じています。似ている、似ていないよりも、佑くんがすごかったんだと感じています」と柄本を絶賛。また、尾野について安達氏は、「この物語自体にすごく感情移入してくださって、ものすごく自然体で神戸に生きている人として存在してくれていたので、佑くんの放つオーラもあったと思いますが、非常に肩肘の張らない、すごく穏やかな現場でした。佑くんと尾野さんが夫婦としてそこにいるような時間がすごく多かったように感じる、素敵な現場でした」とふたりの雰囲気を褒め称えていた。京田氏も「安先生のご家族とスタッフでご挨拶も兼ねた食事会があったんです。普段はそんなことまずないんですが、ご家族にあなたの役は誰がいいかと聞いてみたんです。その時にピンポイントで尾野真千子という名前が上がって、その場で全員がピピっときたんです。見事、最高のコンビでした」と大絶賛だった。
 
また、神戸での撮影について聞かれると安達氏は、「神戸のシーンはほぼ神戸でロケをしたんですが、たくさんの皆さんにご協力いただけて、避難所の撮影も300人ぐらいの方にご参加いただきました。神戸の皆さんと一緒に作らせていただいたような感覚でしたし、そういう思いが画面に映っているのではないかと思います」と感慨深く語っていました。そして、人と距離をとらなければならないコロナ禍の中で映画が公開されることについて京田氏は、「安先生のドラマを作るに当たって、僕もご家族にまず届けたいと思っていましたが、それはドラマでやり遂げたつもりでいました。それが映画になって、まさかこのタイミングで緊急事態宣言が出るとは思っていなかったので、いろいろ考えたんです。実は、今日も僕はオンラインでやりましょうと言ったんですが、劇場も含めて、やはり神戸の方々にはスクリーンで観てほしいということで今日を迎えて、これだけの方に来ていただけたということを考えると、この時期にこの映画は絶対に多くの人に届けなければならないんだと思ったんです。プレゼントは終わったから、日本中の人にこの作品を届けるんだと安プロデューサーから言われているような気がしています。もうひとつは、佑くんも言っていましたが、映画なので、ひとつのエンタテインメントとして、肩肘はらずに楽しんでほしいと思います。家族愛や夫婦愛、素晴らしい人間愛に満ち溢れた映画なので、そういうことを思いつつ映画の世界に没頭していただければと思います」と語り、安達氏も「この作品は、安先生の思いに寄り添って作りました。元々安先生の本から始まった作品ですので、映画をご覧になったら、ぜひ安先生の本を読んでみてください。コロナ禍の中でも、人の思いみたいなものだけは繋がっていたいと思いますし、自分にできることは、今できることを精一杯やるしかない、と思っております。思いのバトンをリレーするように、この作品を観ていただいた方に安先生の思いが伝わってくれれば嬉しいです」と語り、イベントは終了した。
 
取材・文/華崎陽子



(2021年1月18日更新)


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左から、ドラマ版総合演出の安達もじり氏、本作の企画を務めた京田光広氏

Movie Data



(C)映画「心の傷を癒すということ」製作委員会

『心の傷を癒すということ《劇場版》』

▼2月12日(金)より、シネ・リーブル梅田、
シネ・リーブル神戸ほかにて公開
出演:柄本佑、尾野真千子、濱田岳
森山直太朗、浅香航大、清水くるみ
上川周作、濱田マリ、谷村美月
趙民和、内場勝則、平岩紙
キムラ緑子、石橋凌、近藤正臣

【公式サイト】
https://gaga.ne.jp/kokoro/

【ぴあ映画生活サイト】
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