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《第12回京都ヒストリカ国際映画祭》が開幕!
“松竹映画100周年”プログラム上映を記念し、
山田洋次監督がオープニングセレモニーに登壇

“歴史”をテーマにした世界で唯一の映画祭として国内外から注目を集め、今年で12回目を迎える「京都ヒストリカ国際映画祭」が、10月31日(土)に開幕。今年は初めて“シアター”と“オンライン”を併せたハイブリッド型での開催にチャレンジし、ワールドプレミア・ジャパンプレミアの最新作をはじめ、今年100年を迎えた松竹映画の数々、スーパーヒーローへと繋がる東映子ども時代劇、生誕100年を迎えるフェデリコ・フェリーニの歴史映画にいたるまで、多彩な全85作品の上映が予定されている。《第12回京都ヒストリカ国際映画祭》の開催にあたり、山田洋次監督作『たそがれ清兵衛』の上映後、会場の京都文化博物館3階フィルムシアターでオープニングセレモニーが行われた。
 
まずは、京都ヒストリカ国際映画祭実行委員長・武田功が、「コロナ禍の中で、この映画祭を開催するに当たって、慎重に議論を重ねて参りました。皆さんが安心、安全に参加していただけるように、リアルな劇場での上映と、オンラインでの開催というふたつの方法での新しい試みにチャレンジ致しまして、今日から開催となります。オンラインを通して、日本中の方々にこの映画祭を知っていただくことが我々にとっての成功になります。それが今の映画業界の力になればと思っております」と挨拶。続いて、京都府副知事・山下晃正が、「この映画祭を開催するかしないか議論を重ねて参りましたが、私は絶対にやってほしいとお願いを申し上げました。それは、昨年の京都アニメーションの事件の後で京アニの社長さんとメールのやり取りをする中で、「1mmずつ進んでいます」と社長さんがおっしゃったんです。今回のコロナも1mmでもいいから前に進んでほしいということで多くの方にご無理を申し上げて、今日の日を迎えることができ、山田洋次監督にも来ていただくことができました。山田監督には、松竹の撮影所の中に立命館大学映像学部の実習棟を作っていただく際に大変お世話になりました。その際に山田監督から「私は撮影所で映画のことを学びました。だから、映像を志す学生には撮影所で学んでほしい」というお言葉をいただきました。こういう風に文化は受け継がれていくんだと思いました。今回の映画祭もたくさんの人の思いで支えていただいています。ぜひ、来年は平穏な中で13回目を迎えたいと心から願っています」と語った。
 
次に、株式会社松竹撮影所代表取締役会長・大角正が登壇し、「私は、今上映された『たそがれ清兵衛』の宣伝プロデューサーでした。久しぶりに本編をスクリーンで観ることができて、より一層感激いたしました。今回のヒストリカ映画祭では“松竹映画100周年”というプログラムが組まれております。松竹という会社は、新京極が発祥の地です。どれだけ会社が苦しい状態になっても、京都の土地だけは絶対に売らなかったんです。今のMOVIX京都もそうですし、ホテルにお貸ししているところはありますが、地べたは松竹のものです(笑)。1920年に松竹は初めて映画に進出いたしました。最初は東京の蒲田に撮影所を作り、その後、大船と太秦にのふたつの場所で映画を作っておりました。僕は太秦生まれなんですが、当時、太秦には大映、東映、松竹、日活、東宝と5社の撮影所があったんですが、今は東映さんと松竹だけです。僕は、今の太秦の現状を憂いています。どうにかして、太秦を活性化したいと思っています。なかなか時代劇は世界に出ていけませんが、今、大正時代を舞台にした『鬼滅の刃』が大ヒットしているように、アイデア次第で時代劇もヒットすると思いますので、京都の太秦が活性化していくように頑張っていきたいと思います」と松竹の歴史と京都への思いを語っていた。
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最後に、山田洋次監督が登場し、「京都には100年以上にわたる時代劇制作の伝統があります。その伝統がこのヒストリカ映画祭で守られていることが、とても嬉しいですし、有り難いことだと思っています。正直、時代劇の力はなくなっているような気がしていますが、黒澤明監督の『羅生門』や溝口健二監督の『雨月物語』と『西鶴一代女』、この3作品と小津安二郎監督の『東京物語』を含めた4作品は、世界の映画史の中でも諸外国の傑作を凌いでベストテンに入るだけの力を持っているし、それだけの評価をされている、国宝のような映画なんです。映画に国宝という制度がないのを私は残念に思っているんですが、国宝制度ができれば、『羅生門』と『雨月物語』は間違いなく国宝に指定されるはずです。そういう作品を生み出したのが京都の撮影所に集った映画人たちであり、その映画人たちを支えたのが京都の街と京都の人々だと思っています。これからもこの映画祭がいつまでも盛んに続くよう願っています。そして、京都・太秦における映画制作がもっと盛んになって、素敵な時代劇が生まれてくれることを心から願っています」と挨拶し、オープニングセレモニーは終了した。
 
《第12回京都ヒストリカ国際映画祭》は、11月8日(日)まで開催中。
 
取材・文/華崎陽子



(2020年11月 2日更新)


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Event Data

《第12回京都ヒストリカ国際映画祭》

▼11月8日(日)まで、
京都文化博物館3階フィルムシアターにて
※料金など、詳細は公式サイトに掲載。

【公式サイト】
https://historica-kyoto.com/

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