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ガーリー映画かと思いきやおっさんをも魅了!?
「♪ちょっと見てみろよあの女」と
浅川マキの日本語カヴァーが口について出た…

 『イカとクジラ』のノア・バームバック監督の最新作『フランシス・ハ』がいよいよ10月4日(土)より、シネマート心斎橋、京都シネマ、11月8日(土)より、神戸・元町映画館にて公開される。もうすでに公開された東京、名古屋などなどで絶賛される噂が耳に入ってきている人も多いかもしれない。ニューヨークのブルックリンでステージに立つことを夢見て暮すモダンダンサーのフランシスが、同居人である親友の婚約を機に居場所を探して転々とする。そんな応援せずにはいられないキュートな主人公の姿を温かなモノクロームの美しい映像が包み、絶妙な音楽に彩られるオススメ作だ。そこで、本作の魅力を3人の方にそれぞれの目線でテーマを変えてレビュー書いてもらった。

 


 

  ちょっとびっくりするくらい要領の悪いヒロインのフランシスは、NYブルックリンでモダンダンサーを夢見る27歳。

 
 彼氏と別れ、友人とのルームシェアも無くなり、居場所を求めてNY中を転居しまくる。周囲の友人たちはフランシスを「年齢のわりに落ち着かない、少し困ったヒト」と思っているが、本人はおかまいなしだ。いきあたりばったりで、周りに迷惑かけながらも邪気が無いせいかどこかにくめないフランシスは色気もあんまし無く、「ニートにしては元気だな。その元気を就職活動にぶつけてみてはどうだろう」と思わせる。
 
 要するに大人になる一歩手前。
 人生模索中。
 絶賛自分探し中。
 親友に依存する彼女(精神的ビアン?)を、友人は「非モテ系女」と、愛と皮肉をこめて揶揄する。
 
 モノクロームの、ヌーベルバーグを思わせる画面の中、フランシスは笑い、酔っぱらい、踊り、迷い、いらだち、走り、転ぶ。
 
 彼女が夜の町をATM目指して疾走するバックで本作の主題歌、デヴィッド・ボウイ往年の名曲『モダン・ラブ』が流れるが、思わずそこで「『汚れた血』やん!」と口に出した筆者は文句無しにおっさんだし、Tレックス「CHROME SITAR」が流れる場面では「♪ちょっと見てみろよあの女」と浅川マキの日本語カヴァーが口について出た(おっさんダメ押し)。
 
 フランシスの夢と友情と自立がテーマの本作。トリュフォーが撮影したパリの街のように見えるモノクロームのニューヨークが美しい。だが登場人物の台詞によれば家賃は高そうだ。ボヘミアンライフにも資本がいる。なのにあちこちをフラフラして、ときに友人相手に小さな見栄を張りながら最後に「青い鳥」のような幸福を見つけ、人生に新しい一歩を踏み出すフランシスがいとおしい。
 
 その不思議なタイトル(『フランシス・ハ」の「ハ」って何よ?)の意味が明かされるとき、思わず目頭が熱くなった。
 
 この映画を観終わったあと、なんだか心が軽くなり、仲のいい友達に「面白い映画を観たよ」と話したくなるはず。
 
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キングジョー

大阪在住。DJ兼画家兼会社員のガレージパンク愛好家。新刊発売準備中。
 

 

 

 

その① 多屋澄礼 『フランシス・ハ』レビュー

 

その② 小柳帝 『フランシス・ハ』レビュー
主人公フランシスを演じる 女優グレタ・ガーウィグって何者かご存知? はこちら

 



(2014年10月 2日更新)


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Movie Data




©Pine District, LLC.

『フランシス・ハ』

●10月4日(土)より、シネマート心斎橋、京都シネマ
 11月8日(土)より、神戸・元町映画館にて公開

【公式サイト】
http://francesha-movie.net/

【facebook】
https://www.facebook.com/francesha

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/163897/