NEWS

ホーム > NEWS > 演劇を通じて魂の声を上げる、 どん底を生き抜いてきた女たちのドキュメンタリー 『トークバック 沈黙を破る女たち』 公開に合わせてワークショップも実施!

演劇を通じて魂の声を上げる、
どん底を生き抜いてきた女たちのドキュメンタリー
『トークバック 沈黙を破る女たち』
公開に合わせてワークショップも実施!

 HIV、薬物依存症、育児放棄、DV、レイプ、虐待、貧困・・・二重、三重と苦しみを背負い、偏見や差別を恐れて家族にすら打ち明けることができない女たちが、演劇を通じて自らの体験を踊りや詩で表現する。サンフランシスコで、元受刑者やHIV/AIDS陽性者が所属する素人演劇集団メデアのリハーサル風景や、本番での生命力あふれるパフォーマンスに肉薄。その一方で、メデアで演劇活動をするメンバー8人へのインタビューを通じて、彼女たちが自らの声を上げるまでの過去と向き合う姿や、偏見に立ち向かい新しい人生を歩む姿を捉えたドキュメンタリー映画『トークバック 沈黙を破る女たち』が5月24日(土)より第七藝術劇場、京都シネマ、7月26日(土)より神戸アートビレッジセンターで公開される。

 

 タイトルの『トークバック』とは、沈黙を強いられてきた女性たちが声を上げることや、人々と呼応するというポジティブな意味が込められている。監督は、前作『Lifers ライファーズ 終身刑を越えて』(04)で、アメリカの終身刑/無期懲役受刑者(ライファーズ)と彼らが参加する更生プログラムを通じて自らが犯した罪や被害者に向き合う姿を描いた坂上香。2006年、サンフランシスコの女性刑務所で活動中の“メデア・プロジェクト:囚われた女たちの劇場”(2008年からHIV陽性患者に対するプロジェクトとなる)に出会い、「受刑者が刑務所の中だけではなく、刑務所外でも演劇を行い、演劇後トークバック(観客との対話)が行われるなど、境界線をどんどん超えていくところが革新的だった」(坂上監督)と、以降8年間その活動や活動メンバーに密着してきた。

 

 HIV陽性診断を受けた女性たちは、皆家族や恋人にも長い間その事実を告白することができず孤独に苦しんでいたことがインタビューで次々に明かされる。それだけではなく、それぞれが抱え、時には封印してきた重い過去は、カメラの前で告白するにはあまりにも重く、シビアな状況ばかりだ。しかし、プログラムではまずは自らの過去と向き合う、一番辛い作業からスタートする。自らの体験を詩に書き、メンバーの前で朗読し、真剣な議論を交わす。声を上げることすらできなかった彼女たちが、晴れの舞台で自らの言葉で過去や未来への決意、先祖への誓いを口にするとき、「人は変われる」という逞しさを目の当たりにすることだろう。

 

 坂上監督は「現在の社会で、私たちは沈黙を強いられている。何が私たちを沈黙させているか、また、私たちも他人に沈黙を強いているかもしれないということを、この映画を観て考えてもらえたらうれしい」とメッセージを寄せてくれた。声を上げる彼女たちの演劇やその生き方は、同じ悩みを抱く人に勇気を与えてくれるはず。また日頃社会や個々人の中に内在している偏見によってどれほど声を上げることができず苦しんでいる人がいるか、改めて考える機会を与えてくれる作品だ。上映中に開催予定のワークショップでぜひ生トークバックに参加してみて!




ワークショップ開催予定

【第七藝術劇場】

・5月24日(土)12:15の回上映後、
 「映画を観た後、小さなスポットライトーわたしにも」
 坂上香監督×倉田めばさん(NPO大阪ダルクセンター長/パフォーマー)

・5月25日(日)12:15の回上映後、
 「映画トークバックをトークする」ファシリテーター坂上香監督

 

トークセッション開催予定

京都シネマ】

・5月24日(土)10:40の回上映後、
 レベッカ・ジェニスン(京都精華大学教授)×坂上香監督

・5月25日(日)10:40の回上映後、
 レベッカ・ジェニスン(京都精華大学教授)×坂上香監督

・5月26日(月)10:40の回上映後、
 岡野八代(同志社大学教授)×坂上香監督

(2014年5月22日更新)


Check

Movie Data



『トークバック 沈黙を破る女たち』

●5月24日(土)より、第七藝術劇場、京都シネマ
 7月26日(土)より、神戸アートビレッジセンター にて公開

監督・製作・編集:坂上香

【公式サイト】
http://www.talkbackoutloud.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/164330/