「ミニシアターに普段来ないような人にも
観てほしい」(片元亮監督)
スケールの大きさ、完成度の高さが話題に!
伊丹発の本格サスペンス『ストロボライト』
舞台挨拶レポート
閑静な住宅街で起こった手首を切り落とすという猟奇的な殺人事件をめぐって繰り広げられる本格派サイコサスペンス『ストロボライト』が、9月20日(金)までシネ・ヌーヴォ、9月21日(土)よりシネ・ヌーヴォX、その後も京都シネマ、宝塚シネ・ピピアにて公開される。事件の真相を追う捜査一課の刑事である小林が失われた記憶の先に見た隠された真実とは……。
2010年から兵庫県伊丹市を拠点に、総勢400人以上の市民を巻き込みながら製作。本作がデビュー作となる片元亮監督が手掛けた完全自主制作の映画ではあるが、そのクオリティの高さ、スケールの大きさが話題となり、昨年の第13回 宝塚映画祭では劇場に入りきらないほどの過去最高の動員数を記録した注目作だ。ロードショー公開の初日、主演を務めた福地教光、助演の木下聖浩、そして片元亮監督による舞台挨拶が行われた。
――映画と言うのは東京から先に公開されるのが通常とされていますが、関西から上映することについてはどのようにお考えですか?
片元亮監督(以下、片元監督):映画を上映するなら「東京からだよ」と周りから言われてはいたんですが、伊丹市を中心に関西で撮影した映画なのでやっぱり関西から上映したいという思いがありました。ヌーヴォさんをはじめ、関西の劇場の方々には大変感謝しております。
木下聖浩(以下、木下):僕が最初に完成したこの映画を観たのは、伊丹で行った完成披露上映会でした。そのときは「おーこんな映画が出来たか!」なんて思ってましたが、次は宝塚映画祭に招待いただいて、それで今回のロードショー公開と繋がって感無量です。この勢いで東京上陸したいですね!
福地教光(以下、福地):やっぱり関西からロードショー公開出来るのは嬉しいですね。伊丹市って町おこしの活動が活発なんですよね。この映画も撮影期間は1ヶ月くらいだろうと言われていましたし、最初はここまで大規模な作品になるとは思ってなかったんです。編集作業も入れてトータルで半年くらいで完成するだろうと思ってました。でも、実際かかった製作期間は1年半。伊丹市の方々が市役所や病院を撮影に使用させてくださったり、多大な協力をしてくださったおかげで想像以上のスケールが大きな作品になりましたね。
片元監督:その話をされたらごめんなさいとしか言えないですけど(笑)。この映画は完全自主制作で撮った映画ではありますが、そんな枠を超えて撮ったつもりです。多少は見ごたえがあったんではないかと思っているんですがどうでしょう?
(満席の会場から大きな拍手が!)
木下:伊丹で観たバージョンってコレより長かったですよね? 多少削って編集したからかより観やすくなってますね。
片元監督:もっと台詞を聞きやすくしようとか、こうやって改善のために手直しを加えられるのも自主制作のいいところかもしれませんね。
――日本でも自主映画の制作は活発でたくさん作られていますが、本格サスペンスというのはめずらしいですよね。自主映画の中ではあまり挑戦されない分野に挑戦された理由は?
片元監督:そうなんですよね。自主制作で刑事もの、しかもサスペンスって、まず撮らないジャンルだと思います。でも、だからこそ撮りたいという思いはありました。ミニシアターで上映されるからミニシアターっぽい映画を撮るということではなく、ミニシアターに普段は来ないような方にも来ていただいて、「こんな雰囲気のいい素敵な映画館があるんだ」と気づいてもらいたいというようなメッセージも込めて挑戦しました。
木下:映画の脚本をもらう前に、この映画の小説版を監督に貰ったんです。それで、読後に「コレ自主映画では無理でしょ」と思いました。でも、それを撮りきって上映までこぎ付けた片元監督は素晴らしいなと思います。それが出来たのも伊丹市の市民の方々が作ってくださったサポーターズクラブによる協力があったからこそ。やれば出来るといういい例になったと思います。
福地:僕はサスペンスも初めてでしたし、2面性のある役だったので難しかったです。小説版と映画ではラストシーンが違うんですよね。映画のラストにはいろいろな解釈が出来ると思います。今後どうなるのかとかね。
片元監督:映画としての余韻を残す意味で、映画版ではラストシーンをごっそり取ったんです。小説では全部書いてますからね。どんでん返しますから(笑)。でも、その小説版というのは世に出てませんので(笑)。探してもありません(笑)。
――では、最後にメッセージを。
片元監督:すべて自主でやっておりますので宣伝にご協力いただけると幸いです。よろしくお願いします!
木下:では一言だけ。是非、もう1回観てください。親類一同お誘い合せの上、よろしくお願いします(笑)!
福地:伊丹市のみなさんと一緒に作ったこの1年半は本当に楽しくて、完成したというだけで嬉しくて目頭が熱くなっちゃいました。感想は各々あると思います。ただ、こういう映画が存在している、上映されている。観に行ったということだけでも広めていただければ幸いです。よろしくお願いします!
山口県出身、大阪芸術大学卒の片元監督がなんの所縁もないはずの兵庫県伊丹市で制作した本作は、“伊丹(まち)で遊ぶ”“映画で遊ぶ”をキーワードに発足したサポーターズクラブのバックアップが大きかったという。舞台挨拶で話していた小説版というのも映画がヒットすれば出版されるか!? 関西発信の映画を是非チェックいただきたい。
(2013年9月13日更新)
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