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ホーム > NEWS > 《生誕百年 木下恵介監督全作品上映》開催記念! 『二十四の瞳』初のブルーレイ版の販売を記念し、 2012年版予告編を編集した橋口亮輔監督が シネ・ヌーヴォでのトークショーに来場!

《生誕百年 木下恵介監督全作品上映》開催記念!
『二十四の瞳』初のブルーレイ版の販売を記念し、
2012年版予告編を編集した橋口亮輔監督が
シネ・ヌーヴォでのトークショーに来場!

 小津安二郎、黒澤明、溝口健二と並び称される日本映画界を代表する巨匠・木下恵介監督。日本映画界最盛期の1950年代は、黒澤明とともに人気・評価を二分し、文芸映画から喜劇、ホームドラマ、青春映画まで幅広いジャンルの作品を発表。そんな木下監督の代表作である、日本初のカラー作品となった『カルメン故郷に帰る』(1951)、や『二十四の瞳』(1954)、『楢山節考』(1958)など全49本を一挙上映する 《生誕百年 木下恵介監督全作品上映》が、シネ・ヌーヴォにて9月7日(金)まで開催されている。本特集の公開を記念し、『二十四の瞳』2012年版予告編を編集した、『ハッシュ!』や『ぐるりのこと。』の橋口亮輔監督がトークショーを行った。

 

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 橋口亮輔監督監督といえば、『ハッシュ!』や『ぐるりのこと。』などで国内外の映画祭で数々の賞を受賞するなど、常に新作が待たれる映画監督のひとり。大阪芸術大学出身で、学生時代には多数の日本映画に触れていたそうで、それ以降も木下恵介監督の作品は幾度となく観直していたそうだ。まずは、『二十四の瞳』2012年版予告編を編集することになった経緯について聞いてみると、「『二十四の瞳』は日本映画の名作中の名作で、僕は何度も観直した作品ですし、何度観てもオープンニングから涙が流れてしまう作品でした。若い頃は、木下監督の作品に対して叙情的でセンチメンタルなイメージを持っていたんですが、今回改めて観直すと「なんて美しいんだろう」と感じたんです。それは、厳しさの中にある美しさを表現した溝口健二監督の『山椒大夫』やロベール・ブレッソンの『抵抗』を観た時と同じ感覚でした。うまく言えませんが、戦争や貧しさなど様々な理不尽なことが襲ってくる中で、個人の人生は何者にも踏みつけられてはならないという、木下監督の強い憤りがこの作品の底辺にあることに気付いたんです。さらに、その怒りや悲しみをそのまま表現するのではなく、美しさに昇華させた作品なんだと改めて気付きました。だから、今回は本物の映画人の仕事に触れることができて、いい仕事をさせていただいたと感じています。90秒の予告編ということで、この映画は反戦映画の傑作でもあるし、高峰秀子さんの女の一代記という側面もあるし、何をメインに持ってくるか、どう伝えようか迷ったんですが、子どもたちのかけがえのなさや美しさを伝えることができればと思って作りました。今回、予告編を作らせていただいて、いい映画は時代を超えてその時代を生きる人に伝わるものがあるんだと気付かされました」と熱く話す姿からは、何度も作品を観直したうえで、本当に心を込めて予告編を作ったことが伝わってきた。

 

 そんな木下監督作品の中で特に橋口監督の思い出に残っている作品を聞いてみると、「高校時代に両親が離婚しまして、その直後に学校をさぼって観に行った映画が木下監督の『衝動殺人・息子よ』(1979)だったんです(笑)。とにかく、あそこまで泣くかというぐらい泣きました。父親が息子を思う強い気持ちに圧倒されて、いまだかつて映画館であそこまで泣いた作品はないぐらい泣きました。だからといって、木下監督に傾倒していったというわけではなかったんですが、最近、木下監督のインタビューなどを見ていると、監督は両親に溺愛されて育ったそうなんです。だから、木下監督はそこまでとことん愛されているのが愛情なんだと思っているとおっしゃっていたそうで、それを聞いてすごく納得できましたし、その木下監督の信念が高校時代の僕に伝わったんだと思うんです。ということは、本気で作ったら本気の思いは伝わるんだと気付かされました」と、意外なエピソードを披露してくれるとともに、木下監督作品から受けた影響を語ってくれた。

 

 また、49作品の木下監督作品の中での橋口監督セレクトを聞いてみると、「やはり、『二十四の瞳』と『カルメン故郷に帰る』、『楢山節考』というバラエティに富んだ入門編としての3作品になると思います」橋口監督が予告編を制作した不朽の名作『二十四の瞳』や、監督オススメの『カルメン故郷に帰る』、『楢山節考』、米アカデミー賞外国語作品賞にノミネートされた『永遠の人』(1961)など決して色あせることのない名作ぞろいの今回の特集上映。橋口監督による『二十四の瞳』を含む3作品の予告編は8月末に木下恵介生誕100年の公式HPで公開とのこと。木下恵介監督による名作をスクリーンで堪能するとともに、予告編も楽しんでみてください!




(2012年8月 2日更新)


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Event Data

『女』(C)1948松竹株式会社


『カルメン故郷に帰る』(C)1951松竹株式会社


『楢山節考』(C)1958松竹株式会社

《生誕百年 木下恵介監督全作品上映》

●9月7日(金)まで、シネ・ヌーヴォにて開催

【シネ・ヌーヴォ劇場公式サイト】
http://www.cinenouveau.com/

【特集サイト】
http://www.cinenouveau.com/sakuhin/kinoshita/kinoshita.html

チケット情報はこちら

【料金】
前売1回券-1200円 前売3回券-3300円 前売5回券-5000円
当日一般-1400円 学生-1200円 シニア・会員-1000円 高・中・小-800円
当日3回券-3900円 当日5回券-6000円 シニア・会員5回券-4500円
〈レイト割引〉19:40以降の作品は1000円均一