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PFFで審査員特別賞を受賞した『大拳銃』で
一躍注目の監督となった新鋭・大畑創監督の
最新作『へんげ』大畑創監督会見レポート

 2009年に行われた《第31回ぴあフィルムフェスティバル》で審査員特別賞を受賞し、松田龍平が絶賛した『大拳銃』で一躍注目の監督となった新鋭・大畑創監督の最新作『へんげ』が、5月19日(土)より6月1日(金)まで第七藝術劇場にて、6月2日(土)より8日(金)まで元町映画館にて、その後京都みなみ会館にて公開される。自分が自分でなくなっていく、そして、最愛の人が見知らぬ存在に変化してしまったら…という恐怖に襲われる夫婦の姿を描く。独特の緊張感を感じさせる重低音サウンドや、まったく先が予想できないストーリー、そして、観客の予想を遥かに上回るという衝撃のクライマックスにも注目だ。本作の公開にあたり、大畑創監督が来阪した。

 

 夫を突発的に襲う奇妙な発作に悩む、静かな住宅地に暮らす平凡な若い夫婦。その異様な病状に妻は、言い知れぬ恐怖と不安に苛まれていた。そして、妻の献身的な介護に関わらず、謎の奇病は悪化していく。遂には夫の体が変わり始め……というのが本作のストーリー。まずは、映画のアイデアを思いついたきっかけについて聞いてみるとー

 

henge_監督.jpg大畑創監督(以下、大畑):実際に身体が変化する様を撮ることと、変身してしまうことに対するプレッシャーで怯えている人物を両方撮れることが面白いと思い、前から変身ものの映画を作りたいと思って脚本を考えていたんです。そこから、一般的な日本の家庭の一員が変身して、昼間のリビングに堂々と化け物がいる姿を思いついて、そういう物語であれば自主映画でも撮ることができるんじゃないかと思ったんです。

 

 本作は、“変身もの”の映画であるにも関わらず、一切CGは使われておらず、衝撃のクライマックスシーンも全て特撮で撮られている。特撮での撮影にこだわった理由は?

 

大畑:お金があれば、CGを使うという手もあったと思うんです。今回はなぜ、昔ながらの撮影技術である特撮を使ったのかというと、特撮というのは、被写体が確実にカメラの前に存在してるんですよね。つまり、ちゃんと存在しているものをちゃんと撮ることができるというのが特撮の強みだと思いますし、特撮は嘘をついてないんです。この映画に関しても、小さい規模の映画なので、ちゃちいように見られてしまうかもしれないですが、堂々と嘘はつかずにやりたいと思ったんです。

 

 そんな特撮ならではのアクションシーンはもちろんだが、本作の面白さを支えているのが、妻役を演じた森田亜紀の存在感につきるだろう。夫が変化していく姿に怯え、そして妻自身の心情も変化していく様を見事に演じきっている。大畑監督はどのように演出していたのだろうか。

 

大畑:衣装合わせの時に僕が森田さんに伝えた設定は、主婦で服装に気を使ってないわけではない、というイメージぐらいだったのに、森田さんは私物の衣装を持ってきてくださっていて、それがけっこう身体にぴったりフィットする、身体のラインが出るようなものが多くて、着てみたら主婦然とはしているけれども、どこか艶かしいという、僕のイメージにぴったりだったんです。だから、僕がどうこう言わなくても、森田さんというのは素晴らしい女優さんなので、どこか疚しい欲望を秘めているという野性的なイメージをつかんでくださっていましたし、キャスティングの勝利ですね(笑)。

 

 最愛の人が見知らぬ存在に変わっていく恐怖を描いた本作といい、経営に苦しむ町工場の経営者がヤクザから発注された拳銃を作るようになっていく姿を描いた『大拳銃』など、大畑監督の作品には奇想天外な物語が多いとともに、全編をとおして緊迫感が続いているのが特徴のように思える。監督はどのように映画を作ろうと思っているのだろうか。

 

大畑:バカみたいなんですが、僕はただ単に、自分が面白いと思ったことを映像化しているだけなんですよね。そういう思いで映画を作っている中で、お客さんがメッセージを汲み取って、感じ取ってもらえれば嬉しいです。逆に、言いたいことありきで作られた映画って、押し付けがましいように思うんです。緊迫感については、この映画は純粋なホラー映画として作ったわけではないですが、次に何が起こるかわからない、何かが起こるんじゃないかという緊迫感は常に出したいと思って演出していました。

 

 5月19日(土)より公開される第七藝術劇場では、本作『へんげ』に加え、『大拳銃』が併映されることも決定! 大畑監督の才能を世に出した《第31回ぴあフィルムフェスティバル》で審査員を務めた松田龍平から絶賛された傑作を観ることができる貴重なチャンスだ。さらには、5月19日(土)には、監督らによる舞台挨拶も決定。ぜひ、映画を観た後で監督の生の声を聞いてほしい。




(2012年5月18日更新)


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Movie Data


(C)2012 OMNI PRODUCTION

『へんげ』

●5月19日(土)より6月1日(金)まで、第七藝術劇場にて公開
●6月2日(土)より8日(金)まで、元町映画館にて公開
●京都みなみ会館にて公開予定

【公式サイト】
http://www.hen-ge.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/158384/


Event Data

5月19日(土)には、大畑監督が来場する舞台挨拶も!

【日時】5月19日(土) 20:50の回上映後
【劇場】第七藝術劇場
【登壇者】大畑創監督/森田亜紀(出演)/信國輝彦(出演)/寒河江弘(ミニチュア制作)