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ホーム > NEWS > フィクションとドキュメンタリーを織り交ぜて “奇才・中島らも”の世界を多角的に捉えた 『らもトリップ』が大阪で公開中! 公開初日に行われたトークショーの模様もレポート!

フィクションとドキュメンタリーを織り交ぜて
“奇才・中島らも”の世界を多角的に捉えた
『らもトリップ』が大阪で公開中!
公開初日に行われたトークショーの模様もレポート!

 作家、コピーライター、俳優、ミュージシャンなど、多彩な才能でファンを魅了した故・中島らもの世界を、フィクションとドキュメンタリーを交えて描いた『らもトリップ』がシネ・リーブル梅田にて3月23日(金)までレイトショー公開され、その後5月19日(土)より神戸の元町映画館で公開される。中島の短編小説3篇の実写化と、大槻ケンヂや竹中直人ら故人と親交の深かった各界著名人がエピソードを語るドキュメンタリーを織り交ぜながら“中島らもワールド”がスクリーンに甦る。

 

 本作は、企画から制作、配給、公開までの全てを東京芸大生が中心となって製作。中島らもの短編小説3篇(『クロウリング・キング・スネイク』、『微笑と唇のように結ばれて』、『仔羊ドリー』)の実写化を、それぞれ東京芸大の学生が監督を務め、故人と親交のあった松尾貴史や嶋田久作、勝村政信らが出演を快諾し、学生たちが“中島らもワールド”の映像化に挑戦した。

 

 ドキュメンタリーパートは、中島とも親交が深く、『SF サムライ・フィクション』(1998)や『TAJOMARU』(2009)で知られる中野裕之が監督を務め、監督自身の中島らもとの思い出とともに、俳優の宇梶剛士や大槻ケンヂ、竹中直人、チチ松村、古田新太や日広エージェンシーで中島と6年半仕事を共にした宮前賢一らが語る中島のエピソードを交えて、中島らもの人物像を浮き彫りにしていく。




★トークショーレポート★

 『らもトリップ』の公開を記念し、公開初日の3月10日(土)にシネ・リーブル梅田でトークショーが開催された。トークショーには漫画家で笑殺軍団リリパットアーミー立ち上げメンバーのひさうちみちお、中島らもの妻・美代子夫人、長男で元マネージャーの中島晶穂、『らもトリップ』のフィクションパートの脚本を監修した編集者の小堀純、同じく監修のガンジー石原が登壇した。

 

らも_photo1.jpg まずは、完成した映画を観た感想について聞いてみると、中島らも夫人の美代子さんは「この映画が出来て、本当に嬉しかったです。らもも喜んでくれていると思います」と感謝のコメント。また、長男の中島晶穂は「色々な関係者が中島らもという人間の印象について本当にバラバラなことを言う。それが面白かったです。私にとっては父親ですが、父としての中島らもは(私のことを)あまりかまってくれませんでした。マネージャーとして見た中島らもは面倒くさいおじさんでした(笑)」と、中島らもについてふたつの側面から述べていた。そして、音声トラブルによって登場シーンがカットされてしまったガンジー石原は「実は僕もこの映画に出させてもらう予定で、撮影までしたんですが、全部カットされていました(笑)。だらだらと喋ったのがあかんかったのかなと心配になりましたけど(笑)。そうじゃなくてよかったです」と裏話を披露すると、それを受けた小堀は、「この映画にガンジーが出てなくて本当によかったです(笑)。らもさんの幽霊がいたずらをしてガンジーに出るなと言ったのでしょう。この映画を持ちかけられたのはもう一昨年前になると思います。脚本が完成するまで半年間ほど一緒に仕事をしましたが、らもさんも若い人と仕事するのが好きだったし、色々大変でしたが、面白かったです」と語っていた。一方ひさうちは、「仔羊ドリー(作家である藤原(勝村政信)が多忙なため、クローン人間を作り、仕事を押し付けようとすることから始まるドタバタコメディ)をみて、昔自分で自分の竿をくわえる事に挑戦したことを思い出しました。でも、自分のクローンとのセックスを想像しましたが、私には無理だと思いました(笑)」とコメント。笑いを誘っていた。

 

 映画の感想を語ってもらうだけでも、色々と裏話がこぼれ、会場からは笑い声がこぼれていた。そして、妻である美代子さん以外は映画に出演していない登壇者の面々に、映画同様に中島らもとの思い出を語ってもらうことに。ひさうちは、「(印象的な思い出は)らもさんと九州に行った時かな。その前の晩にらもさんがお漏らしをして、部屋をびしょびしょにしてしまったという話をらもさんがしていて。でもそれが、なんだか嬉しそうなんです。らもさんには色々なダンディズムの哲学があったと思うのですが、その中でも『自己破滅型のダンディズム』というのがあって、自分の恥ずかしい話を披露するのが、彼のかっこよさでしたね」と語るとそれを受けたマネージャーでもあった中島晶穂は、「僕もマネージャー時代、お漏らしをされて、ズボンを買いに行かされました(笑)。僕が忙しくしているのに、本人はパンツを脱いでぼーっと座っているんですよ。あれには困りました。しかもちゃんと請求しないとズボン代も払ってくれないんです(笑)」と笑いを誘うと、小堀も、「らもさんは下はゆるかったけど、吐いた所は見た事なかったなぁ。それもダンディズムかって言われると、それはただ酒に強いだけだったんじゃないかな(笑)」、するとひさうちがすかさず、「違います。“吐く”というのは正常な人だからできる、体のメカニズムなんです。らもさんはもう吐く事も…(笑)」と、さすがに中島と関係の深い面々だからこその秘話に客席からは、ひっきりなしに笑いがこぼれていた。

 

らも_photo2.jpg その後、東京公開の際に好評を博した、中島らもが「笑殺軍団リリパットアーミー」で頻繁に行っていた「ちくわ投げ」に、大阪でもやってほしいというリクエストが殺到し、急遽行われたカネテツデリカフーズから提供されたちくわ投げで会場は大盛り上がり。はじめは威勢よくちくわを投げていたものの、お客さんにちくわを行き渡らせるため、登壇者全員が舞台をおり、配り始めたため、一時は舞台に誰もいなくなるというハプニングも。それでも、ちくわをゲットできた観客は満面の笑みでちくわ片手に映画を鑑賞していた。

(2012年3月22日更新)


Check

Movie Data

ドキュメンタリーパート『らも語り』 


短編パート『クロウリング・キング・スネイク』


短編パート『微笑と唇のように結ばれて』


短編パート『仔羊ドリー』
(C)2012「らもトリップ」製作委員会

『らもトリップ』

●3月23日(金)まで、シネ・リーブル梅田にてレイトショー公開
●5月19日(土)より、元町映画館にて公開予定

【ぴあ映画生活サイト】
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