SFアニメの金字塔「マクロス」が歌舞伎とコラボ！

京都・南座でSFアニメの金字塔「マクロス」とのコラボ企画「マクロスFとΔ合わせ 京都南座歌舞伎ノ宴」が開催中だ。

1982年に『超時空要塞マクロス』がテレビで放送されて以来40年超、新シリーズのTV放送や劇場版、ライブなどメディアミックスで様々な展開がされてきた。今回は2008年にTV放送され今なお愛され続けている『マクロスF（フロンティア）』と、昨年、劇中に登場する"ワルキューレ"が単独最後のライブツアーを完走したばかりの『マクロスΔ（デルタ）』が南座とコレボレーション、主要キャラクターが劇場に出現する。

この企画では、『マクロスΔ』に登場する戦術音楽ユニット"ワルキューレ"とYami_Q_ray（ヤミキューレ）、『マクロスF』に登場するシェリル・ノーム、ランカ・リー、そして早乙女アルトが女方の扮装をしている姿も見どころの一つ。

ワルキューレは『京鹿子娘道成寺』の白拍子花子に、また『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』に登場する「歌で銀河を滅ぼす」ことを目的としたYami_Q_rayは白拍子花子の後シテに扮装。ワルキューレとYami_Q_rayの個性が発揮されたビジュアルが楽しめる。

そして、シェリルは歌舞伎の女方屈指の難役と言われる『壇浦兜軍記 阿古屋』の阿古屋に、ランカは白拍子という現代でいえば歌も踊りも得意なアイドルのような『義経千本桜 吉野山』の静御前に、出自が歌舞伎俳優の家柄であるアルトは歌舞伎舞踊の中でも人気が高い『鷺娘』より、儚い美しさが眼目の鷺娘に扮している。

開幕前日にはワルキューレのメンバー、美雲・ギンヌメールの歌を担当するJUNNAがプレオープンイベントに登場。ビックウエストの畠中雄一とトークセッションを行い、コラボ企画をPRした。

一足先に「マクロスFとΔ合わせ 京都南座歌舞伎ノ宴」を体感したJUNNAは声を弾ませながら次のように話した。「実際の歌舞伎のお衣裳をこんなに近くで見られるという感動がすごくて。それぞれコラボしているお衣裳が飾られていて、こんな柄があったんだとか、いろいろ発見することもできました。ワルキューレたちがパネルになっているので、実際の衣裳とパネルとを見比べることもできました」。

歌舞伎の衣裳のワルキューレに、「みんな和装が似合うなって思いました（笑）」とJUNNA。「ワルキューレとぴったりなお衣裳が歌舞伎にあったんだと本当に驚きました。歌舞伎のお衣裳を着ているワルキューレを見て、彼女たちそれぞれの色が出ていると思いました」と続けた。

また、コラボ企画ならではの特別な体験も待ち受ける。「花道を歩けることにびっくりしました。こんな機会はなかなかないと思いますし、今回を逃したら、もう歩くことができないかもしれません。花道を歩いているときに、『娘道成寺』の鐘を見られたのもめっちゃ嬉しかったです！」とJUNNA。畠中も「花道や舞台から見る南座も壮観です！」と声に力を込めた。

舞台上には特設舞台上フォトスポットを用意。また、南座の正面玄関にはオリジナル看板も掲出される。

「マクロスFとΔ合わせ 京都南座歌舞伎ノ宴」を機に、歌舞伎公演を観に行ったというJUNNA。鑑賞したのは同じく『京鹿子娘道成寺』。「踊りだけでその時の気持ちなどを表現されているのを見て、動きだけで見せることはすごく大変だなと思いました。所作もきれいで素晴らしいなと思って、私もそんな表現者になりたいなと思いました」といい刺激を受けた様子だ。

歌舞伎鑑賞はハードルが高いものと思っていたとJUNNA。だが、思いのほか身近な存在だったと話した。「ライブと似ているところがあると思って。私たちのライブでも歌い終わったらみんなが「フ～！」と歓声を上げてくれるように、歌舞伎は俳優の方々が見得をしたら「○○屋！」と大向うの声がかかって。そのライブ感は、私たちのライブをいつも見てくださっている方々にもすっとなじめるのではないかと思います」。

『ルパン三世』、『風の谷のナウシカ』など、アニメ作品を題材にした作品と次々と打ち出している歌舞伎。「マクロスFとΔ合わせ 京都南座歌舞伎ノ宴」でも新たな世界観を楽しめる。開催期間は2月18日(日)まで。

取材・文／岩本

（2024年1月31日更新）