JR神戸線「立花駅」北口から徒歩約3分。静かな立地にある
JR神戸線「立花駅」北口からアーケードのある立花商店街を北へまっすぐ歩くこと約3分。右手に串カツの店、左手にクリーニング店がある十字路に差し掛かったら、右側の道へ。緑の多い千歳公園の手前に、横幅の長い暖簾が印象的な落ち着いた趣の店「地鶏もも焼き専門 角鶏(かっけい) 立花店」が見えてくる。
「角鶏」の本店は西宮の阪神今津駅近く。本店オーナーが約20年前の宮崎旅行中に立ち寄った焼鳥屋で「もも焼き」に出会い、その味に衝撃と感動を覚えたのが始まり。この美味しさを周りの人に伝えたいと、宮崎の「もも焼き」を食べ歩き、一番最高の「もも焼き」だと思った店に弟子入りして修行。それから3年後の2006年に西宮市に「角鶏 本店」をオープンさせた(2017年1月に現在の場所に移転)。2013年にオープンした2号店となる立花店でも今津本店とまったく同じメニューが食べられ、一度「地鶏もも焼き」を食べたお客さんはその美味しさのとりこになり、リピーターになる人も多いという。
1階は一人でも気軽に入りやすいカウンター席になっている
入り口の暖簾をくぐり店内に入ると、L字になったカウンター席が9席ある。一人でも入りやすい雰囲気で、目の前の厨房からは「もも焼き」を焼く炭火の、香ばしく落ち着いた残り香が漂ってくる。
グループで訪れたら2階の座敷がおすすめ。最大15名収容可
2階はゆっくり落ち着ける座敷席になっている。グループで「水炊き」などを楽しむなら、こちらがおすすめだ。予約もできるので人気シーズンや週末などは予約しておくほうが無難だ。
名物の「地鶏もも焼き」はクセになる味
「地鶏もも焼き」を頼むと豪快な火柱にまず驚かされる
1階カウンターの目の前では、秘伝の味付けがされた鶏もも1枚が、炭火を使った独自の焼き方で焼かれ、豪快な火柱が上がる。炭火は鶏が硬すぎず柔らかすぎず、早すぎず遅すぎずに注意しながら火加減が難しいそうで、焼いている間は目も離せない。ほとんどのお客さんが注文するため、常に火柱が上がっている状態だ。次々と焼いていく店主の手際のよさには見とれるほどだ。
名物の「地鶏もも焼き」(骨付き・バラシ)1100円
熱々の状態で提供される「地鶏もも焼き」(1100円)。鶏は九州の契約農家で育てられた「もも焼き」に適した鶏を使っているそう。炭火独特の香りを感じながらほおばると、口の中に鶏肉本来の旨味と塩味を中心とした独特の味が広がり、一度食べたらクセになるというのも納得だ。さすがに看板メニューだけあって一人で一皿食べられるほど箸が進む。濃いめの「尼レモンサワー」との相性もばっちりで、こちらもいくらでも呑めそうだ。
「地鶏もも焼き」は持ち帰り用もあり、同じ量・同じ価格で販売している。店内のお客さんがお土産用として追加注文したり、また持ち帰り用を求めて来店したりするお客さんも多いそう。またストックやお土産にも最適な、長持ちする「冷凍真空パック」バージョン(1100円)も販売していて好評とのことだ。
「タタキ」(ポン酢)770円も人気メニュー
名物の「地鶏もも焼き」を先に紹介したが、「地鶏もも焼き」の前に注文したいメニューが「タタキ」(ポン酢770円/醤油880円)。表面だけを香ばしく炙ったタタキは、臭みもなく地鶏ならではの弾力がある。タタキ上のたっぷりのネギと、下に敷かれたオニオンスライスとの相性も絶妙だ。
ボリューム満点の「水炊き」1人前2100円。注文は2人前から(写真は2人前)
鍋シーズンの冬はもちろんのこと、通年おすすめなのが「水炊き」(1人前2100円/注文は2人前から)。鶏肉、ミンチ、野菜盛り合わせ、豆腐、〆の雑炊などが付いたボリューム満点の鍋で、特に〆で食べる雑炊は、鶏の旨味が凝縮された出汁が効いて絶品。追加で具材(鶏肉990円、ミンチ660円、野菜盛り合わせ770円 ほか)も頼めるので、グループで行くときには特におすすめ。「水炊き」は来店予約とともにあらかじめオーダー予約しておくと確実だ。
写真右の「尼レモンサワー」(440円)は、今年の干支にちなみ、魔除け・厄払いの意味がある縁起のよい「八方にらみの寅」(反対側にはあまがさき観光局公認ロゴ)が描かれた専用タンブラーで提供される。キンキンに冷えた状態が長く続くタンブラーなので、アツアツの「水炊き」はもちろん、「地鶏もも焼き」との相性もばっちりだ。
「もも焼き1本1本を大事にしています」と立花店店主の大河内 昭さん
「こちらの店は今年夏で9年になります。宮崎で有名な『もも焼き』ですが、関西では知らない人がまだ多く、初めて『もも焼き』を見た人はまずその真っ黒さにびっくりされます。『もも焼き』を大事にしているのでメニューはそんなに多くないのですが、ほかにも『タタキ』や『鶏刺し』も定番人気です。春からの新メニュー『尼レモンサワー』も評判がよく、これから夏にかけては特にさっぱりと美味しくいただけ、鶏との相性もいいのでおすすめです」と、店主の大河内 昭さん。
本場宮崎の「地鶏もも焼き」を知っている人も知らない人も、“宮崎”ならぬ“尼崎”の「地鶏もも焼き」を味わいに、ぜひ一度「地鶏もも焼き専門 角鶏 立花店」に訪れてみてはいかが。一度食べたら、またその味が恋しくなり、いつしかリピーターの仲間入りになっているはずだ。
取材・文・撮影/滝野 利喜雄